yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第四百六話 信念を貫く -【今年周年のレジェンド篇】オードリー・ヘプバーン-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第四百六話信念を貫く

今年、没後30年を迎えた、伝説の映画女優がいます。
オードリー・ヘプバーン。
彼女は、晩年の多くの時間を国際連合児童基金、ユニセフの仕事に費やし、親善大使としてアフリカ、南米、アジアを訪問。
恵まれない子どもたちのための援助活動を、積極的に行いました。
1992年に、アメリカ合衆国から大統領自由勲章を授与されましたが、そのわずか1か月後の1993年1月20日、病のため、スイスの自宅でこの世を去りました。
享年、63歳。
大女優の早すぎる死は、全世界に哀しみをもたらしました。

子供のころ、ナチス占領下のオランダで、迫りくる死の恐怖と飢餓状態に襲われた彼女は、ユニセフ親善大使を受けるとき、こんな発言をしています。
「わたくしの全人生は、このお仕事のためのリハーサルだったのです。
わたくしは、ようやく、この役を得ました!」

24歳のときに出演した『ローマの休日』で、アカデミー賞主演女優賞を受賞して以来、『麗しのサブリナ』『ティファニーで朝食を』など、立て続けにヒット作に恵まれ、美の象徴として、名実ともに大スターであり続けた彼女ですが、実は、容姿へのコンプレックスや、父を失ったトラウマなど、多くの苦しみの中にいました。
ユニセフの活動をしているときでさえ、こんな揶揄する言葉を受けました。
「あなたがしていることは、実際のところ、全く無意味なことなんですよ。
子どもたちの苦しみは、ずっと昔からあったし、今後も続いていくことでしょう。
オードリー、あなたは子どもを救うことで、彼らの苦しみをただ単に長引かせているだけなんです」
そう言われたオードリー・ヘプバーンは、静かに、こう返しました。
「なるほど、そうですか、じゃあ、あなたのお孫さんのことで話を考えてみましょう。
いいですか、お孫さんが肺炎になっても、決して抗生物質を使わないでください、お孫さんが事故にあっても、断じて、病院に連れて行かないでください」
オードリーは、自らの体験から、ある信念を持っていました。
その強い思いを、生涯、手放すことはありませんでした。
彼女が抱えた苦しみ、そして、揺るぎない信念とはなんだったのでしょうか。
ハリウッド黄金時代を支えた偉大なる女優、オードリー・ヘプバーンが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

オードリー・ヘプバーンは、1929年5月4日、ベルギーのブリュッセルで生まれた。
同じ年のおよそ1か月後、ドイツで、ひとりの女の子が誕生する。
『アンネの日記』で知られる、アンネ・フランク。
二人は、数奇な運命に導かれるように、13歳のとき、同じようにナチス占領下のオランダで過ごした。
自らの爪を食べるほどの飢餓状態だったオードリーは、反ドイツのレジスタンス活動の資金集めのために、やせ細った体で、バレエを踊っていた。
同じころアンネは、おびえながら、地下で日記を書いていた。
オードリーは、駅で貨車に詰め込まれていくユダヤ人の姿を見た。
特に覚えているのが、ひとりの少年。
父親に着せられたのか、大きなサイズのコートを羽織り、青白い顔をしていた。
やがて列車の中に呑み込まれていく少年の姿を、ただ見送るしかなかった。
13歳の少女は、あまりに無力だった。
このときの体験は、生涯、彼女の心から消えることはなかった。
アンネ・フランクは強制収容所に送られ、15歳で亡くなった。
アンネは、日記に書いた。
「この太陽の光と、雲ひとつない青空を見ることができるだけで、私は幸せです」

オードリー・ヘプバーンの母は、オランダの貴族、ファン・ヘームストラ家に生まれた。
一方の父は、ボヘミア生まれのイギリス人。
ひとつの職を長く続けられない性格。さらにファシズムに傾倒。
熱烈に愛し合って結婚したが、夫婦になると、争いが絶えなかった。
母はしつけに厳しく、父はオードリーに優しかったので、幼い彼女は、父を慕っていた。
ところが、オードリー6歳の時、母の留守中に、突然、父が失踪。
何も告げぬまま、いなくなる。
ショックだった。彼女は自分が捨てられたと思う。
「私は、誰からも必要とされていない存在なんだ…」
その喪失感は、少女の心を蝕み、毎日、泣いた。
幼いオードリーの不安をさらに助長させるように、世界は、戦争に向かって走り始めていた。
母は子どもを連れて、一時オランダに戻るが、あまりにふさぎ込むオードリーを心配して、イギリスの女学校に入れる。
寄宿舎でも、他の子どもとうまくなじめない。
自分という人間に価値が見いだせない。
ただ、彼女は、そこで自分が夢中になれる唯一のものに出会う。
それは、バレエ。
バレリーナになることが、夢になった。
踊っているとき、初めて自分を好きになれた。

オードリー・ヘプバーンが、10歳のとき、第二次世界大戦が勃発。
オランダは中立国として安全だと母親は判断したが、翌年の1940年に、ドイツがオランダに侵攻。
オードリーというイギリス的な名前は危険だと思った母は、エッダという偽名にした。
とてつもない飢えが、街を飲み込む。
チューリップの球根を食べて、なんとか生き延びる。
ガリガリにやせ細っても、レジスタンス支援のため、バレエを踊った。
そこに、自分の存在価値を見出した。
みんなが拍手をくれる。ふらふらでも踊り続けた。
戦争が終結し、オランダが解放されたとき、ユニセフの前身、連合国救済復興機関から支援物資が届く。
オートミールを一気に食べて、吐いてしまう。
ただ、そのときのチョコレートの美味しさに、涙を流した。
脳裏に、あの少年の青白い顔が浮かんだ。
貨車に詰め込まれる、だぶだぶのコートを着た少年。
晩年、オードリーは、こんな言葉を残した。
「スターと呼ばれるようになった今でも、私には、ひとつの信念があります。
それは、私たちは、この世界に飢えと戦争を持ち込んではいけないということ。
この世界は、平凡な人間の、平凡な幸せのために存在し、存在し続けなくてはいけないということです」

【ON AIR LIST】
魅惑のワルツ / パーシー・フェイス・オーケストラ
ムーン・リヴァー / オードリー・ヘプバーン
ス・ワンダフル / フレッド・アステア&オードリー・ヘプバーン
トゥモロー / クインシー・ジョーンズ feat. テヴィン・キャンベル

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけとじゃがいものバター炒め

今回は、6月頃から旬を迎える野菜、ピーマンを使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけとじゃがいものバター炒め
カロリー
153kcal (1人分)
調理時間
10分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • じゃがいも
  • 1個
  • ピーマン
  • 1個
  • ベーコン
  • 2枚
  • バター
  • 10g
  • 小さじ1/4
  • こしょう
  • 適量
  • パセリ
  • 適量
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐす。
  • 2.
  • ベーコンは2cm幅に、ピーマンは輪切りにする。じゃがいもはよく洗い、皮ごとくし形に切る。
  • 3.
  • フライパンにバター(半量)を熱し、じゃがいもを炒めて、フタをして5分ほど蒸し焼きにする。
  • 4.
  • じゃがいもに火が通ったら残りのバターを加えて、ベーコン、霜降りひらたけ、ピーマンの順に炒める。塩、黒こしょうで味を調え、お好みで刻んだパセリをちらす。
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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドラマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、『ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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