yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第三百四十六話 自分の背中の押し方を自分で学ぶ -【伝説のミュージシャン篇】フレディ・マーキュリー-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第三百四十六話自分の背中の押し方を自分で学ぶ

今も絶大な人気を誇る、唯一無二のボーカリストがいます。
フレディ・マーキュリー。
イギリスのロックバンド・クイーンのボーカルとして、数々の伝説を残しました。
昨年から今年はじめにかけて、クイーン50周年、フレディ没後30年の記念イベントが日本でも開催され、大きな話題を呼びました。
今年3月20日には、2008年、ウクライナで開催された「クイーン&ポール・ロジャース」のライブ映像をYouTubeで公開。
フレディ亡きあと、ポール・ロジャースをボーカルに加えた新生クイーンが、ウクライナ第2の都市・ハリコフの自由広場でライブを行ったのです。
オープニング曲は、『One Vision』。
メンバーのロジャー・テイラーが、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な演説の言葉をもとに作った曲です。
音楽には、チカラがある。
音楽には、自分の命をかけても、それに値する奇跡がある。
音楽には、世界中のひとをつなぐ魔法がある。
そう信じ続けたフレディの魂が宿ったようなライブでした。
彼らの願いは届き、ウクライナへの募金活動をより広めることになったのです。
フレディは、自らの病の重さを知り、限りある命を実感したとき、メンバーにこう語りました。

「僕は、今までと違う感じにはしたくないんだ。
病気のことは、なるべく他のひとに知られたくないし。
とにかく、ただ、働けなくなるその時まで、これまで通り仕事がしたい。
残された時間がないなら、なおさら、多くのものを遺したい。
そうすることで、ようやく、正気を保っていられるのかもしれない」

映画『ボヘミアン・ラプソディ』のクライマックスは、ライヴ・エイドでの演奏シーン。
フレディが大切にしてきた父からの教え「善き思い、善き言葉、善き行い」が、具現化されたようなコンサートでした。
彼は常に、自分で自分の背中を押すような人生を歩んできました。
それがイバラの道であっても、かまわない。
前に進むために、背中を押すのは、自分しかいないと信じていたからです。
多様性を歌い、己の生きざまを歌に込めたアーティスト、フレディ・マーキュリーが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

フレディ・マーキュリーは、1946年9月5日、現在のタンザニア、当時はイギリス保護国だったザンジバルで生まれた。
8歳のとき、インドの英国式寄宿学校に入る。
孤独だった。
内気で無口な少年。
同級生たちも、どう接していいかわからない。
早くもフレディは、悟っていた。
「根本的に、ひとは、ひとりきり。誰も助けてくれない」
音楽が好きだった。
一度聴いた曲は、すぐにピアノで弾ける。
バンドをつくり、歌うときだけ自分を表現できた。
17歳のとき、家族が住むザンジバルに戻るが、革命が勃発。
虐殺が行われた。
フレディ一家は難民となり、イギリスに逃れるが、そこから貧しい暮らしが始まる。
両親との間には、深い溝ができていた。
愛されているという実感が、彼にはなかった。
のちに彼はインタビューで語った。

「アーティストはみんな、まるで自信がないものなんだ。
びっくりするくらい、一流のアーティストはみんな一緒。
子ども時代、不幸で孤独。
愛情を受けてこなかったから、ひとの関心を集めるためだったら、なんでもやるんだよ。
その必死さがないやつは、みんな途中でやめていく。
そして、自分で自分の背中を押すスイッチを見つけたやつだけが、スターになるんだ。
どんなスイッチか…それはね、自分を笑い飛ばせるかどうかだよ」

フレディ・マーキュリーは、難民としてやってきたイギリスで、多くの差別に苦しんだ。
芸術や音楽にのめりこむことで、それを忘れる。
特に音楽には、根拠のない自信があった。
正式に習ったわけではない。誰かに師事することもない。
でも、自分の歌にはカリスマ性がある。
そう信じて疑わなかった。
幼い頃から、相反する二人の自分に気づいていた。
派手にパフォーマンスしたり、ギリギリまでふざけて観客を挑発する、悪魔のような自分。
そして、おとなしく、無口で、きっちり仕事をこなす、真面目で誠実な自分。
その二つを、どちらも損なうことなく持ち続けること。
それが、彼をスターに押し上げる。
ステージでは、自分の中にものすごい力を感じた。
まるでモンスターがいるようだった。
傲慢な自分が頭をもたげる。
そんなときは、無敵だった。
誰にも負けない。
世界に吠えた。
オレはここにいる! もっとオレを愛してくれ。

フレディ・マーキュリーは、高みを目指した。
できるだけ大きな規模でコンサートをやって、とんでもない数の観客を魅了したい。
世界中を回って、自分という存在を知らしめたい。
そうすることが、幼い頃味わった孤独への復讐だった。
でも、あるときから変わった。
奇しくも、幼い頃、父に諭されていた、あの言葉が蘇る。
「善き思い、善き言葉、善き行い」。
今まで以上に、おふざけを続けた。
レオタードを着て、王冠をかぶり、ショートパンツで走り回る。
自分で自分を笑う。真剣に笑う。
大観衆と対峙しながら、いつも己に向かって語りかけていた。
「それを自分でわかってやっているなら、問題ない」

フレディ・マーキュリーは、自分の背中を自分で押し続けた。
「僕が死んだら、少しは、価値と中身があるミュージシャンとして、みんなの記憶に残るかな。
まあ、死んだあとのことは、ノー。どうでもいいよ」

【ON AIR LIST】
ONE VISION / QUEEN
MR.BAD GUY / Freddie Mercury
LOVE ME LIKE THERE'S NO TOMORROW / Freddie Mercury
MADE IN HEAVEN / Freddie Mercury

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけと春キャベツのキッシュ

今回は、春野菜を使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけと春キャベツのキッシュ
カロリー
198kcal (1人分)
調理時間
25分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • 春キャベツ
  • 200g
  • 桜えび
  • 大さじ3(6g)
  • 2個
  • 牛乳
  • 100ml
  • ピザ用チーズ
  • 大さじ2
  • 小さじ1/2
  • オリーブオイル
  • 小さじ1
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐす。春キャベツは食べやすい大きさに切る。
  • 2.
  • フライパンにオリーブオイルを熱し、霜降りひらたけ、春キャベツを炒め、塩で味を調える。
  • 3.
  • ボウルに卵を溶き、牛乳とチーズ、桜えびを混ぜる。
  • 4.
  • 耐熱皿に(2)と(3)を入れ、オーブントースターで火が通るまで焼く。
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ARCHIVE

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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドラマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、『ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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