yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第三百八十二話 負けることを知りて、勝つ -【愛知篇】徳川家康-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第三百八十二話負けることを知りて、勝つ

来年の大河ドラマでも話題の、三河国、岡崎城に生まれた武将がいます。
徳川家康(とくがわ・いえやす)。
1603年の江戸開府から始まった徳川幕府は、世界的にも例を見ない安定した政権で、260年以上、平和を保ちました。
織田信長や豊臣秀吉が、領土拡大、海外出兵を第一に掲げたのとは対照的に、家康は、旗印にこう書きました。
『厭離穢土欣求浄土』(おんりえど・ごんぐじょうど)。
意味は、「この世は地獄のようなものだけれど、それを極楽浄土に変えていこう」。
先祖からの教えを貫き、万人の民が平和に暮らせる世の中を願ったのです。
また、家臣を大切にしたことも有名で、三河出身の家臣で構成された、三河武士の忠誠心は絶大。
家康のピンチをことごとく救いました。
秀吉に「家康、おまえが持っている最高の宝はなんだ?」と聞かれて、こう答えたと言います。
「私にとって一番の宝は、私のために命をなげうつ武士500騎でございます」
では、家康は、一点の曇りもない、誰からも尊敬される聖人君主だったのでしょうか?
家康の裏の顔を示す言い伝えも、数多くあります。
何を考えているのかわからない「たぬきオヤジ」。
策略家で冷徹、表面では笑い、心は氷のよう。
信長や秀吉のようなスター性、カリスマ性が少なく、地味で平凡。
屈辱を受けても、ただひたすら耐えるだけ…。
しかし、そんな家康の影の側面にこそ、彼が誰も成し遂げられなかった、長きに渡る天下統一を成し遂げる礎があったのです。
家康を天下人に押し上げた原動力。
そこには、二つの大きなコンプレックスがありました。
ひとつは、物心ついた頃から18歳になるまで、人質として暮らしたこと。
もうひとつは、三方ヶ原の戦いで、武田信玄に敗れたこと。
負けることで勝つことを知った戦国時代のレジェンド。
徳川家康が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

徳川家康は、1542年12月26日、三河国、岡崎城城主・松平広忠(まつだいら・ひろただ)の嫡男として生まれた。
松平家は、現在の愛知県豊田市を中心として栄え、岡崎城を本拠として三河国統一をはかっていたが、尾張の織田氏が台頭。
その勢いは、松平家を脅かす。
岡崎城に近い、安城城が織田氏によって落ちたのを見た城主は、すぐさま、今川義元(いまがわ・よしもと)に服従することを選択。
織田氏に対抗しようとした。
その証として、6歳になったばかりの家康は、今川家の人質になる。
まだ甘えたい盛りの子ども。
親から引き離される。
現在の愛知県岡崎市から、静岡県静岡市までの道中。
今川の駿府城まですんなり行くはずだったが、途中、アクシデントが起こる。
家臣が松平家を裏切り、家康は、今川ではなく尾張の織田家におくられてしまう。
那古野で家康は軟禁状態。怖かった。
幼くして、死を感じる。
親に捨てられ、誰も自分を守ってくれない状況。
ただひたすら泣いた。
結果、予定どおり駿府城に行くことになるが、那古野での囚われの時間が心と体に刻み込まれた。
「ボクは、この世にいらない人間なのかもしれない」

徳川家康の幼少期の人質時代。
所説あるが、決して不自由なことばかりではなかった。
相次いで父も母も亡くなったことを知り、寂しさに落胆するが、岡崎城の世継ぎとして大切に教育を受けた。
中国の古典や、臨済宗の僧侶による説法。
さらには、弓道、馬術、剣術など、天下人になるべく帝王学は惜しげもなく注がれた。
幼い家康に、それらを拒否する権限はない。
ただ、それらを享受し、咀嚼し、自分の養分に変えていった。
負けず嫌いで短気。
剣術も、思うようにできないと、泣き叫びながら、相手にくらいついた。
ある夜、城の中庭で月を見ながら思う。
自分は、ここで生きていくしかない。
どこにも帰るところはない。
ならば、ここで成果を出さねば、生きている価値がない。
あそこにいればもっと自分はやれる、あの場所なら自分は力を発揮できる、そんな考えではダメだ。
今いる場所で、今いる環境で、結果を出さないかぎり、自分に明日は…ない。

徳川家康は、幼少期から青年期まで、今川義元のもとで暮らす。
元服、結婚。
初陣では結果を出した。
当初、岡崎城に戻されるはずだったが、義元が家康を手放さない。
駿府に留まる。
しかし、歴史はここから大きく動く。
桶狭間の戦い。
今川は、織田軍に敗北をきす。
こうして、家康は岡崎城に帰還。
やがて織田家につく選択をする。
家康は、当時、今川義元の、元という字をもらって元康と名乗っていたが、22歳のとき、元の字を捨て、家康と名乗ることにした。
それは、人質時代へのリベンジ、決別でもあった。
家康は、三河の地を平定。
ますます織田家に信頼を受ける。
そうして迎えた三方ヶ原の戦い。
相手は、宿敵、武田信玄。
越後の上杉謙信と同盟を結び、徹底抗戦。
でも、負けた。
武田は、強かった。
浜松城に逃げのびるが、たくさんの大切な家臣を失う。
家康は、このときの敗北を忘れないように、最も情けない自分の姿を絵に画かせた。
『顰像』(しかみぞう)。
この敗北には、たくさんの教訓がある。
それを思い切り後悔するために、絵を自分がいつも目に入る場所に飾った。
負けることがダメなのではない。
負けることから何を学ぶかが大事。
人質時代、情けない自分から何を得るかが大切。
負けることに向き合った徳川家康は、誰も成し遂げない偉業をこの世に残した。

【ON AIR LIST】
WHEN YOU'RE DOWN (FUNKY MAMBO) / Joe Bataan
BLUE CHRISTMAS (Live) / Norah Jones
HERE TODAY AND GONE TOMORROW / Ohio Players
I'M A LOSER / The Beatles

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけと野菜のグリル 2色ソース

今回は、岡崎市で盛んに栽培されている野菜、なすを使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけと野菜のグリル 2色ソース
カロリー
245kcal (1人分)
調理時間
15分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • キャベツ
  • 3枚
  • なす
  • 1本
  • パプリカ(赤)
  • 1/4個
  • パプリカ(黄)
  • 1/4個
  • 【旨辛ダレ】
  • 味噌
  • 大さじ1/2
  • 砂糖
  • 小さじ1/3
  • ごま油
  • 小さじ1/2
  • 長ねぎ
  • 5g
  • しょう油
  • 大さじ1/2
  • 大さじ1/2
  • 白ごま
  • 小さじ1/2
  • 豆板醤
  • 小さじ1/2
  • 【レモンソース】
  • レモン汁
  • 小さじ1
  • バジル
  • 1枚
  • マヨネーズ
  • 50g
  • 塩・こしょう
  • 適宜
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐす。キャベツ、なす、パプリカは一口大に切る。
  • 2.
  • 魚焼きグリルで(1)を火が通るまで5分ほど焼く。
  • 3.
  • 2種類のソースは、それぞれ混ぜ合わせる。レモンソースはミキサーにかけて、混ぜ合わせる。
  • 4.
  • (2)を皿に盛り、(3)のソースを添える。
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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドラマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、『ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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