yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第三百九十九話 変わり続ける -【音楽家のレジェンド篇】筒美京平-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第三百九十九話変わり続ける

50年以上続く、『サザエさん』のテーマ曲。
モータウン風の爽やかなメロディは、今も人々の心をとらえて離しません。
では、この曲を作曲した人の名前をご存知でしょうか。
その人の本名は、渡辺栄吉(わたなべ・えいきち)。
作った楽曲は、3000曲以上、シングル総売り上げ数は、歴代第1位の7560万枚。
希代のヒットメーカー、筒美京平(つつみ・きょうへい)です。
1960年代の、いしだあゆみ『ブルー・ライト・ヨコハマ』、
1970年代の、南沙織『17才』、郷ひろみ『男の子女の子』、
1980年代の、早見優『夏色のナンシー』、少年隊『君だけに』、
1990年代の、NOKKO『人魚』など、年代ごとにヒット曲を連発。
時代の流行を敏感にとらえ、洋楽のサウンドを随所に織り交ぜながら、唯一無二の楽曲を世に送り出してきたのです。
特に1975年に発表した、太田裕美の『木綿のハンカチーフ』は、従来の歌謡曲を大きく進化させた作品として、日本の音楽シーンに衝撃を与えました。
筒美は、表舞台に出るのを嫌がり、裏方に徹したことで有名です。
さらに「歌謡曲が好きだったわけではない」と言って、はばかりませんでした。
大学時代は、地味で、決して明るいとは言えない学生。
ただ音楽が好きで、洋楽の沼にどっぷりはまっていました。
そんな彼が、いかにして日本の音楽史にその名を刻むレジェンドになったのか。
そこには、職業作曲家として変化に殉じる、強い覚悟があったのです。
誰も到達できない頂に登り詰めた、歌謡曲の神様、筒美京平が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

作曲家、編曲家の筒美京平は、1940年5月28日、現在の東京都新宿区に生まれた。
赤坂にある霊南坂幼稚園に通う頃、ピアノを習う。
教えてくれたのは、童謡『サッちゃん』などを作った作曲家、大中恩(おおなか・めぐみ)。
基本的にクラシックを学んだが、時々、美空ひばりも弾いてくれた。
楽しかった。
弾いた音は、天にのぼり、教会の壁を震わせる。
小学校から大学まで、青山学院。
週に1回の礼拝の時間には、伴奏でピアノを弾く係だった。
文化祭では、『慕情』などの映画音楽をメドレーで弾いて大きな拍手をもらう。
世界でどんな曲が流行っているか、常にチェックを欠かさない。
ヒットチャートに入った曲のレコードを全て買ってきて、むさぼるように聴く。
ただ、歌謡曲と名のつくものは、全部嫌いだった。
学園内にある花壇の手入れを率先してやる。
夜、遅くなるまで花々に自分で配合した肥料を与えた。
音楽と植物が友だち。
人とつるむのが苦手だった。
1日誰とも口をきかなくても、洋楽が心を満たしてくれた。
青山学院大学に進学して、ジャズにのめりこむ。
ジャズバンドでピアノを弾く。
このバンドにいたひとつ上の先輩が筒美に新しい扉を用意することなど、そのときはまだ想像もしていなかった。

筒美京平は、青山学院大学でジャズバンドに入る。
ウッドベースを弾いていたのが、のちに作詞家になる、ひとつ上の先輩、橋本淳(はしもと・じゅん)だった。
筒美は、大学卒業後、レコード会社に就職。
洋楽の担当になる。
いち早く、作曲家のすぎやまこういちに師事していた橋本は、筒美の言葉を覚えていた。
それは「いつか、曲をつくってみたいな」。
すぎやまこういちを筒美に紹介する。
会社勤めをしながら、筒美は、すぎやまに作曲を学んだ。
ようやく訪れた、チャンス。
橋本が作詞し、筒美が曲をつくり、のちに子門真人として一世を風靡する、藤浩一(ふじ・こういち)が歌う、『黄色いレモン』。
売れなかった。
さんざんな結果に、筒美は思う。
「会社勤めをしながら片手間にやるなんて、無理だ。
作曲を極めたい。何より、ヒット曲を書きたい!」
ペンネームを、鼓が平に響くと書いて、鼓響平と書いたが、当時、左右対称の名前のほうが縁起がいい、という意見があり、筒美京平にした。
27歳で会社を辞める。
翌年の1968年。早くも大ヒットを飛ばす。
それが、いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』だった。

『サザエさん』の4コマ漫画に、切符を買うときに「ブルーライトヨコハマまで、1枚」と、つい言ってしまうオチが画かれた。
筒美京平は、それを読んだとき、「ああ、これがヒット曲か」と思った。
日本中のひとが口ずさむ。
喫茶店に行っても、ラジオをつけても、自分の作った曲が流れてくる。
「もう二度と、ヒットしない曲は、嫌だ。
書きたい曲を書くんじゃなくて、ヒットする曲を書こう!」
その決意は、固かった。
筒美は、あらためて、最新の洋楽を聴きこむ。
かつて少年時代やっていたように。
流行っているものは、何でも取り入れた。
モータウン、ソウル、ディスコ、ブルース。
それらを、歌謡曲に翻訳、移植した。
変わること、変わり続けることが、進化の代名詞。
以前作った曲を聴き返すことは、なかった。
大切なのは、今、何が流行っているか。
今、何がヒットするか。
歌謡曲の神様は、職業作曲家としての矜持を貫いた。
「僕が狙うのは、ヒットじゃない。大ヒットなんです」

【ON AIR LIST】
サザエさん / 宇野ゆう子
木綿のハンカチーフ / 太田裕美
真夏の出来事 / 平山三紀
ブルー・ライト・ヨコハマ / いしだあゆみ
魅せられて / ジュディ・オング
強い気持ち・強い愛 / 小沢健二

【参考文献】
『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』著・近田春夫(文春新書)
『MUSIC MAGAZINE』 特集「追悼・筒美京平」

★今回の撮影は、「日本基督教団 霊南坂教会」様にご協力いただきました。ありがとうございました。
 

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけと春野菜のガーリックソテー

今回は、春野菜を使った、こちらの料理をご紹介します。

霜降りひらたけと春野菜のガーリックソテー
カロリー
179kcal (1人分)
調理時間
10分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • 菜の花
  • 10本
  • 春キャベツ
  • 1/4玉
  • にんにく
  • 1片
  • オリーブオイル
  • 大さじ1
  • バター
  • 10g
  • しょう油
  • 大さじ2
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐす。にんにくは薄い輪切りに、塩茹でした菜の花は食べやすい大きさに、キャベツは一口大に切る。
  • 2.
  • フライパンにオリーブオイルを熱し、弱火でにんにくを炒め、こんがりとしたら取り出す。
  • 3.
  • (2)に霜降りひらたけとキャベツを加え、しょう油とバターを入れて中火で炒める。最後に菜の花とにんにくを加えて全体を混ぜ合わせる。
  • recipe LIST

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ARCHIVE

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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドラマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、『ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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