MURAKAMI RADIO
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こんばんは。村上春樹です。村上RADIO、今日は1950年代後半から60年代にかけて活躍した二人のアメリカ人ギタリストの特集です。チェット・アトキンスとデュアン・エディ。どちらも今では話題に上ることも少なくなったし、「そんな名前は聞いたこともないよ」という方もおられることでしょう。しかしこの二人は、間違えようもないそれぞれの独自のスタイルを持っていて、後輩のギタリストたちに多大な影響を与えました。今日はその二人の残した足どりを辿りたいと思います。

今ではエリック・クラプトンとかジェフ・ベックとか、「ギター・ヒーロー」と呼ばれる人たちが数多く存在していますが、それ以前はギターひとつで名を売るミュージシャンってほとんどいませんでした。ギタリストといえば、どれだけうまくても、だいたいが地味なセッション・ミュージシャンだったんですね。主役はあくまで歌手だった。

しかしそんな中でチェット・アトキンスとデュアン・エディは、自分の名前でメジャー・レーベルからアルバムを出し、ヒットさせることができました。そしてその存在は若いギタリストたちのお手本となりました。「よし、おれもがんばれば、あんなかっこいい存在になれるんだ」ってね。

実は今年1月、ロックバンド「ポリス」のギタリスト、アンディ・サマーズさんがスタジオにわざわざ遊びに来てくれました。ということで、今日はアディさんとの対談も交えてお送りします。楽しんでください。
Rainbow
Chet Atkins
Mister Guitar
RCA Victor
In The Mood
Chet Atkins
Finger-Style Guitar
RCA Victor
チェット・アトキンスは1924年にテネシー州の田舎に生まれ、2001年に77歳で亡くなりました。ナッシュヴィルを中心にソロイスト、セッション・ミュージシャン、プロデュサーとして活躍し、いわゆる「ナッシュヴィル・サウンド」の確立に大きく寄与した人です。

当時のカントリー音楽は、エルヴィス・プレスリーを始めとするロックンロール勢に押されて輝きを失いつつあったんですが、アトキンスが先頭に立って、「カントリー・ルネサンス」とも言うべき新しい流れを打ち立てました。

僕はとくにカントリー音楽のファンというわけではないんですけど、チェット・アトキンスの音楽はなぜか好きで、昔から好んで聴いていました。彼の音楽の良いところは、とてもリラックスして楽しんで聴けることですね。今の世の中、テクニックの達者なギタリストは山ほどいますが、こんなに楽しそうに悠々とギターを弾ける人ってあまりいません。音楽雑誌「ローリング・ストーン」は「歴史に残る100人の偉大なギタリスト」の21位にアトキンスを選んでいます。歴史的にみればもっと上でもいいような気がしますが。

まずは彼の彼らしい演奏を二曲聴いてください。「レインボー」、そしてグレン・ミラー楽団の演奏で有名な「イン・ザ・ムード」。
Concerto In C Minor(Rachmaninoff)
Chet Atkins
Mister Guitar
RCA Victor
I Feel Fine
Chet Atkins
Chet Atkins Picks On The Beatles
RCA Victor
チェット・アトキンスはカントリー音楽に限らず、ジャズからロックからクラシック音楽に至るまで、広いレパートリーの楽曲を取り上げて演奏しました。そしてどんな曲でも、自分のスタイルに引き寄せて楽々と心地よさそうに演奏しました。YouTubeで彼の演奏ぶりを見ることができますので、是非ごらんになっていただきたいんですけど、なにしろすごいテクニックです。

彼の演奏は「ピッキングスタイル」と呼ばれていまして、独特のものです。ピックをつけた親指で低音弦を弾き、トントントンと軽やかなベースノートをつけます。そして残りの三本の指でメロディーを奏でます。よくまあそんな器用なことができるものだと感心してしまうんですが、本人はにこにこしながら演奏しています。昔はYouTubeなんてありませんでしたから、「いったいどうやってこんな演奏ができるんだろう?」と不思議に思っていたものです。

それでは彼の広いレパートリーの中から、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番第一楽章と、ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」を聴いてください。でもね、僕の持っているレコード・ジャケットのクレジットはチャイコフスキーではなく、「ラフマニノフのハ短調ピアノ協奏曲」になっています。チャイコフスキーとラフマニノフ、どっちでも同じようなものだと思ったんでしょうかね。しかし考えてみればとんでもない間違いですよね。
One Mint Julep
Chet Atkins
Teensville
RCA Victor
Bluesette
Chet Atkins
Progressive Pickin'
RCA Victor
うちにはチェット・アトキンスのLPがけっこうたくさんあります。どうしてこんなにあるんだろうと自分でも不思議に思っていたんだけど、要するに中古レコード屋さんに行って、レコードあさりをしていて、ジャズにもクラシックにもロックにもめぼしいものがなく、しょうがないからカントリー音楽のコーナーをぱらぱらと見ているようなとき、アトキンスのレコードが安い値段で売られていると、つい買ってしまうんですよね。そういう事情もあります。せっかくレコード屋に来たからには、何か買って帰りたいと。

あと二曲かけましょう。レイ・チャールズの歌でヒットした「ワン・ミント・ジュレップ(One Mint Julep)」と、ハーモニカも吹くジャズ・ギタリスト、トゥーツ・シールマンズが作曲した「ブルーゼット」です。

<収録中のつぶやき>
これは親指で低音を引きながらこっちでメロディーを引く、すごくややこしいでしょ。テクニックがすごいんだよね。でもそれを感じさせないんですよね。のんびり弾いているように聴こえてしまう。
村上)今日はスタジオにとても特別なお客さまが見えています。ポリスのアンディ・サマーズ!アンディさんは、僕の本をぜんぶ読んでいるということで、今日はわざわざ会いに来てくれました。とても光栄です。アンディさんとの対話を聴いてください。


村上)やあ、アンディ!日本のコンサートを終えたんですね。

アンディ)三回公演しましたけど、日本でコンサートができてとてもハッピーです。

村上)オーディエンスはポリス時代の曲を聴きたい人も多かったんじゃないかと思うんだけど。

アンディ)そうですね。でも最後までお楽しみを取っておくという感じで。

村上)最も影響を受けたギタリストは誰でしょうか。

アンディ)子どものころはたくさんいました、ほとんどがジャズのギタリストです。ウェス・モンゴメリーとかケニー・バレルとか、グラント・グリーンとかジミー・レイニーとか。彼らが僕にとってはスペシャルでいつも聴いていました。

村上)ケニー・バレルは僕も大好きです。彼は素晴らしいですよね。

アンディ)ケニー・バレルのレコードはすべて聴きました。一番影響を受けたギタリストです。アメリカのジャズクラブで彼の音楽を聴いて、すごかったです。人間的にも素敵な人です。L.A.に住んでいて、ちょっとクレイジーだったけど……16歳、17歳のときも彼らをたくさん聴いていました。それから大人になってL.A.に引っ越して、音楽イベントでケニー・バレルのインタビューをして、わあ、なんてこった?っていう感じでした。

村上)この前特集したのが、チェット・アトキンスとデュアン・エディなんです。二人の伝説的ギタリストですね。

アンディ)僕も彼らが大好きです。みんな彼らのフィンガーピッキングを真似したいとよくコピーしました。一生懸命聴きながら。非常にいいギタリストだと思います。

村上)どんな音楽も聴かれるということですね?

アンディ)いろんな種類の音楽を聴きます。チェット・アトキンスとかマール・トラヴィスとか。自然な音楽の耳というか、ウェス・モンゴメリーとかケニー・バレルとか、ジャズの方により専念したというか、そういう音楽を聴くようになりました。

村上)ポリスでは何年間演奏したんですか。

アンディ)8年間だったと思います。長いです。でももっと長くてもよかったと思っています。でも音楽はまだまだ続いていくものです。商業的な意味で、今でも売れているんです、あの頃の音楽が。LPもあったしCDもあったしテープもありました。いまはいろんなテクノロジーがあるけど、ポリスはメディアが代わってもポリスであり続けます。とてもラッキーなことだと思っています。

村上)僕の本をたくさん読んでくれているということで、とても光栄です。

アンディ)全部読みましたよ。新作をいつも楽しみにしています。僕の家の棚にはたくさんあなたの本があります。

村上)全部!ところで、自伝を書いたそうですね、書くのも好きですか。

アンディ)はい、書くのも好きです。自伝も書きましたし、フィクションの短編も書きました。僕にとって鍵になっているのは、全ての短編に少しギターのエッセンスが入っているということです。40の短編を書きました。少し多いかもしれませんが。いずれか読んでいただけるとうれしいです。音楽から影響を受けて書くという意味では、春樹さんもジャズが好きだし、似ていますよね。

村上)音楽からいろいろ学んだことがあります。

アンディ)初期の作品を読んだときに、あなたのインプロヴィゼ―ジョンは音楽でソロを弾いているような感覚だなと思いました。

村上)僕にとってはリズムが最も重要です。リズムがなければストーリーはどこにもたどりつかないし、ハーモニーも重要です。そしてインプロビゼーション(即興)。この3つの要素がとても重要です。

アンディ)僕も同じです。ティーンエイジャーのころからずっと音楽を勉強し続けていて、練習もしています。いつもそれが頭にあります。他の芸術を見るときも、いつも音楽のエッセンスを探してますが、春樹さんの小説の中にもそれを感じるのです。

村上)どうもありがとうございました。お話ができてとても光栄でした。

アンディ)こちらこそ楽しかったです。
Rebel Rouser
Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology
Rhino Records
The Lonely One
Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology
Rhino Records
「村上RAIO」今夜は二人の伝説のギタリスト、チェット・アトキンスとデュアン・エディの音楽をお送りしています。

デュアン・エディ、正確にはドウェインと発音するんじゃないかと思うんですが、まあ、別にどっちでもいいです。1938年にニューヨーク州で生まれ、2024年(去年ですね)の四月に亡くなりました。86歳でした。若い頃はジェームズ・ディーンを思わせるシャープなマスクで人気を博し、俳優として映画に何本か出演しています。チェット・アトキンスが南部の田舎町のおっさん風のもっさりした風貌だったのとは対照的ですね。もちろんそちらはそちらでそれなりの味わいがあるんですけど。

デュアン・エディの演奏スタイルはtwangy guitarと呼ばれていました。twangyというのは楽器の弦をビンビン鳴らすことで、低音弦を深く震わせる個性的な奏法のせいで、twangyはエディの代名詞のようになりました。このスタイルはベンチャーズやシャドウズにも影響を与えています。派手なテクニックを見せびらかすのではなく、あくまでクールにギターをうならせるのがエディの売りになっています。かっこいいです。実を言えば、僕はずっと彼のギター・サウンドを携帯の着メロに使っております。

そんなtwangyぶりが遺憾なく発揮されている初期のヒット曲を二曲聴いてください。まず「Rebel Rouser」、これはエディとリー・ヘイゼルウッドが共作した曲で、1958年5月に全米ヒットチャートの6位にまで上がり、ミリオンセラーを記録しました。Rebel Rouser、反逆児、騒動を起こすやつ、みたいな意味ですね。エディの野太いギターに、サキソフォンをからめたスタイルが、これ以降の定番となります。そして続けて、メロディアスな「The Lonely One」、これもエディとヘイゼルウッドの共作です。
Peter Gunn
Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology
Rhino Records
Shangri-la
Duane Eddy
Twangin' The Golden Hits
RCA Victor
デュアン・エディとチェット・アトキンス、演奏スタイルも音もずいぶん違いますが、二人ともグレッチというメーカーのギターを愛用していました。グレッチ社はチェット・アトキンス・モデルと、デュアン・エディ・モデルという特別モデルを発売しています。

グレッチは60年代ギブソンとフェンダーに押されて経営不振に陥り、生産をやめたんですが、今では復活してリイシュー・モデルを生産しているということです。僕はギターには詳しくないので、どこがどう違うのかまったくわかりませんけど。

英国の前衛的グループ、アート・オブ・ノイズが1986年に、デュアン・エディのギターを大々的にフィーチャーして「ピーター・ガン」をリリースし、ヒットさせています。もともとは1960年にエディがヒットさせた曲だったんですが、これをダンス・ミュージックに作り替えていて、とても楽しい演奏になっています。でもこのアート・オブ・ノイズとの演奏は、以前おかけしたことがあるので、今日はオリジナルの演奏で聴いてください。こちらもかっこいいです。低音弦がなにしろびしびし効いていますね。
それからこれも低音弦を余すことなく響かせる「シャングリラ」を聴いてください。レターメンの歌で有名になった古いバラード曲です。
(Dance With The) Guitar Man
Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology
Rhino Records
デュアン・エディはデビュー以来ずっとジェイミーという、フィラデルフィアの小さなレコード会社からレコードを出していたんですが、1962年にRCAビクターに移籍します。大メジャー・レーベルですね。マイナー・レーベルのスターをメジャー・レーベルが札束を積んで引っ張ってくるというのは、この時代にはよくあることでした。

RCAはその前にエルヴィスを同じようにサン・レコードから引き抜いています。その結果、エディは本拠地をアリゾナ州フェニックスから、ナッシュヴィルの一流スタジオに移すことになります。

エディはRCA移籍後すぐにヒットをとばします。「ギター・マン」です。Dance with the Guiter Man。これもエディとヘイゼルウッドの共作、サキソフォンはジム・ホーンです。全米ヒットチャートの12位まで上がりました。レコーディングはフェニックスで行われたんですが、バックコーラスはハリウッドでオーヴァーダブされました。コーラス・グループはレベレッツとクレジットされていますが、グループの実際の名前はブロッサムズ、ダーリーン・ラブが入っています。
The Trembler
Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology
Rhino Records
エディはどういうわけかアメリカ本国より、英国での人気が高く、レコードの売り上げも英国の方が目覚ましくて、イギリスの若者たちの間で一種カルト的な存在になっていたみたいです。ビートルズのギタリスト、ジョージ・ハリソンも十代の頃からデュアン・エディの熱心なファンでした。そして1987年に英国で二人は共演し、レコーディングしています。曲は「The Trembler」。作曲のクレジットはラビ・シャンカールとデュアン・エディとなっています。なんかちょっと不思議な組み合わせですね。聴いてください。ジョージ・ハリソンは憧れのエディのバックで、いかにも楽しそうにスライド・ギターを弾いています。
Intermezzo(Provost)
Chet Atkins
Chet Atkins In Three Dimensions
RCA Victor
今日のクロージング音楽はチェット・アトキンスの演奏するハインツ・プロヴォスト作曲の「インテルメッツォ(間奏曲)」です。美しい曲ですね。
二人の伝説のギタリスト、いかがでしたか? どちらの演奏も初めて聴いたという方も多くいらっしゃるかもしれません。こういう音楽、今となってはなかなか聴く機会もありませんから。でもいいですよね。スタイルは「古式豊か」みたいなところはありますが、芯があるというか、時代を超えて語りかけてくる何かが感じられます。いずれにせよ、今日はあくまで村上の個人的な趣味に沿ってこのプログラムをお届けしました。楽しんでいただけるとよかったのですが。

さて。今月の言葉は知る人ぞ知る、作家の村上春樹さんの言葉です。
「真の理解とは、多くの誤解の積み重ねのことだ」

僕は長い間、小説を書いて生活してきたわけですが、本を出すたびに、さまざまな意見や批評が寄せられました。好意的なものもあり、批判的なものもありますが、その中にはどうみても事実誤認、誤解としか思えないことも少なからずあって、そういうのってちょっと違うよなとか思いました。でも、こっちもまあ忙しいし、一つひとつ「それは違うよ」とか反論しているわけにもいきませんから、柳に風とサクサク受け流していたのですが、今になってみると「それでよかったんだな」と実感します。というのは誤解も間違いも偏見も、年月が経過するとみんな自然にばらけて、溶けて、まるごとひとつの気分みたいなものになってしまうからです。そしてそのひとつになった気分って、基本的にというか総体的にというか、不思議に「なるほどな」とか思わず腕組みしてしまうんです。

みなさんも他人から誤解され、場合によっては非難されて、腹が立ったり落ち込んだりした経験はおありじゃないかと思います。でもね、あまり気にしない方がいいです。時間がたてば、すべては溶けて丸まって、落ち着くべきところに落ち着きます。もちろん中にははっきり反論すべき誤解もあるでしょうが、もしそれほど大したことじゃなければ、僕みたいに適当に受け流しているのがいちばんじゃないかな。あとは時間がうまく解決してくれます。時間は偉大です。頑張ってくださいね。

それではまた来月。

スタッフ後記

スタッフ後記

  • いやはや。あのアンディ・サマーズさんが突然の!春樹さんファンだとは知りませんでした。ポリス時代に一度会っているのです。もう30年近く前のこと。スーパースターらしからぬ、気さくな人柄はそのままでした。またねーと、手を振りながらスタジオを後にしていきました。今度こそ来日ライブを見なければ!(延江GP)
  • 今回の村上RADIOはギタリストの特集だし、アンディ・サマーズと村上春樹さんの対談も聞けたし、来月はエリック・クラプトンが来日するし、ギター好きにとってはなんとも嬉しい春になりました!(CAD伊藤)
  • 1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件。当時大きなショックを受けましたが、その2年後に村上さんが「アンダーグラウンド」を発表したことにもとても驚きました。「アンダーグラウンド」は事件の関係者62人にインタビューを重ねたノンフィクションです。村上さんの事件や社会との向き合い方、その緻密さと粘り強さに唖然としました。未読の方はぜひお読みください(構成ヒロコ)
  • 今月は、スタジオにポリスのアンディ・サマーズが登場、スペシャルな「ギタリスト」編になりました。アンディは、村上さんの作品をすべて読んでいるというロック・ミュージシャンです。ギターのエッセンスが入った40以上の短編を一冊にしたそうですが、いったいどんな小説集なのでしょう。一度読んでみたいですね。(エディターS)
  • ギターを演奏する姿ってかっこいいですよね。中3の頃ポールマッカートニーを心に宿しギターに挑戦したんですが、1か月で断念してしまったので、次は(もっと身近で右利きの)伊藤さんに聞いてみようと思います。今ならFコードもクリアできる、はず。(ADルッカ)
  • 今回の「村上RADIO」は、ギターを主役の座に押し上げた二人のギタリスト特集でした。最近、春樹さんはカントリー音楽に興味が向いているのでしょうか、これまで番組ではあまりかからなかった音楽ジャンルです。一方、今回は春樹さんが着メロにしている曲のオリジナルも流れ、いつもより個人的な趣味が反映された回となりました。(キム兄)

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。