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村上RADIO~歌詞を訳してみました~

村上RADIO~歌詞を訳してみました~

こんばんは、村上春樹です。今夜の“村上RADIO”は訳詞特集です。
英語で歌われている歌詞を、僕が日本語に訳してみました。それを読みながら、音楽を聴いていこうと思います。

というわけで、素敵な歌詞、面白い歌詞を持つ曲をいくつか選んでみました。
「洋楽は歌詞がわからないから嫌だ」という方も世間には多いと思いますが、歌詞を理解すると音楽の世界がぐっと広がります。
僕は十代初めのころからアメリカのヒットソングが好きになって、シングル盤を買ってきては歌詞を暗記して、そんなことをしているうちにだんだん英語に興味を持つようになりました。その頃覚えた曲は、レイ・チャールズの「I Can’t Stop Loving You」とかリック・ネルソンの「Travellin’ Man」とか、今でも全部しっかり歌えます。今日は歌いませんけど(笑)。
そのおかげで、今では翻訳家みたいなことまでやるようになりました。ポップソング、けっこう役に立ちます。

今夜は訳詞特集です。今日は坂本美雨さんと二人で番組をお送りします。
僕は昔から音楽の歌詞を訳すのが大好きで、暇さえあればやっていて、『村上ソングズ』(文・村上春樹 絵・和田誠)という本も出しました。今日はそこから何曲か選んで読みます。それとは別に僕の好きな歌を4、5曲、この番組のために新しく訳してみました。といっても、すぐにできちゃうんですけどね。
Madison Time
Donald Fagen with Jeff Young & the Youngesters
The New York Rock And Soul Revue ‎– Live At The Beacon
Giant Records 1991
Polka Dots And Moonbeams
Mel Tormé
Six Classic Albums
Real Gone 2016
Polka Dots And Moonbeams
Bob Dylan
Fallen Angels
Columbia 2016
1曲目は「月光と水玉模様」(Polkadots and Moonbeams)、これ知ってます?1940年のヒット曲です。トミー・ドーシーとフランク・シナトラのためにつくられた曲で、シナトラの歌でヒットしたんだけど、これはボーイ・ミーツ・ガールの話なんです。この中にでてくるpugnosed dreamがすごくわかりにくいんだけど、pug noseというのは犬チンのような、ちょっと上を向いた鼻のことです。英和辞典を引くと獅子っ鼻と出てきてイメージがよくないんだけど、外国の女優で言うとロザンナ・アークエットとかシシー・スペイセク、日本だと研ナオコさん。キュートな感じですよね。それがpug noseで、ちょっと上を向いた鼻の、夢のような素敵な女の子のことなんです。彼はそういう女の子に出会うわけです。 じゃあ歌詞を読みます。
「月光と水玉模様」

夜のガーデンパーティーで踊っていたら
誰かにどすんとぶつかって
「あら、ごめんなさい」という声がきこえた。
振り向いたとたん
水玉模様と月の光が、僕の目に飛び込んできた。
そしてそこには、上向きの鼻の
夢みたいな女の子がいた。

音楽が始まり、僕は取り乱した心のまま
思い切って彼女を誘ってみた。
「次の曲を踊ってくれませんか」
すると僕のおっかなびっくりの腕の中に
上向きの鼻の素敵な女の子が入って
水玉模様と月の光が
夢みたいにまぶしく輝いた。

僕ら二人がいつまでも踊り続けているのを
みんなが不思議そうに見ていた。
みんなの目には疑問が浮かんでいたけど、
僕の心にはその答えがすべてわかっていた。
いや、その先にあるものだって。

ライラックと笑い声に包まれたコテージ。
そこで二人はいつまでも幸福に暮らしました、
みたいなことになるんだよ。
そして彼女の上向きの鼻にキスをするとき、
僕はいつだってあの、水玉模様と月の光を目にするんだ。
今日はメル・トーメの歌なんですが、それが途中でボブ・ディランに変わります。
木村ディレクターがうまくつないでくれました。聴いてください。

「月光と水玉模様」メル・トーメ~ボブ・ディラン

水玉模様というのは、水玉模様のドレスを着てるんです。「ごめんなさい」と振り向くと、水玉模様のドレスを着た彼女が月の光に照らされている……。ロマンチックですよね。美雨さんはポルカドッツのドレス、持ってます?(美雨:持ってましたね)。最近あんまり見かけないけど、いまでも着ていると誰かとぶつかるかもしれない。
God Only Knows
The Beach Boys
The Pet Sounds Sessions
Capitol Records 1997
次はブライアン・ウィルソンがつくった「ゴッド・オンリー・ノウズ」をビーチボーイズが歌います。今日はビーチボーイズの普通の盤ではなくて、伴奏を抜きにしたアカペラ・バージョンです。あまり皆さんは聴いたことがないと思うので、今日は特別にかけます。ブライアン・ウィルソンは優れたソングライターなんですけど、残念なことに作詞家に恵まれなかったんです。ジョン・レノンやポール・マッカトニーのように作詞も作曲もできるという人じゃなかったから、それがビーチボーイズの弱点みたいになってる。「ゴッド・オンリー・ノウズ」は「ペット・サウンズ」に入っているんだけど、このときの作詞家はトニー・アッシャー。じつは結構いいんです。例えば、この曲の出だしは「いつも必ず君を愛するなんて、言い切れないかもね」とか「もし君が僕から去っても、人生はそのまま続くかもね」とか、わりに引き気味に始まるんだけど、結局熱烈なラブソングになる。仕掛けがなかなか渋いんです。
「神様しか知らない(ゴッド・オンリー・ノウズ)」

いつも必ず君を愛するなんて
言い切れないかもね
でも空から星がなくならない限り
僕の愛を疑う必要はない。
いつか君にもそれをわかってもらえる
君のいない人生がどんなものか
それは神様しか知らない。

もし君が僕から去っても
人生はそのまま続くかもね。
でもそれでは、この世界が
僕に示せるものなどひとつもないんだ。
そんな人生になんの値打ちがあるだろう。
君のいない人生がどんなものか
それは神様しか知らない。
素敵なラブソングですよね。ボックスもののセットにしか入っていないバージョンなんです(*緑色のボックス、The Beach Boys The Pets Sounds Sessions)。ビーチボーイズのコーラスがどれくらいきれいかよくわかります。ビーチボーイズのメンバーは三人兄弟と従兄。みんな近所に住んでいて、子どものころから夜になると集まってアカペラで練習してたんです。10歳くらいのときからブライアンが仕切ってました。だからアカペラにも年季が入ってる。(美雨:声が溶け合うようにできてますね……)。例えば、お前3度下げて歌えよとか、よくできるなと思うんだけどね(笑)。ザ・フォー・フレッシュメンというジャズのコーラスを模範にしてやっているから、3度ずつじゃなくてちょっと違うのも入ってくる。7度とか。その辺もすごいです。
The Music Played
Blossom Dearie
The Lost Sessions From The Netherlands
Fondamenta 2018
「音楽が始まった」

それまで愛が占めていた場所に
今は怒りの沈黙がある。
そして君の瞳は
見たことのない光を浮かべている。
もし僕が正しい言葉を見つけられたら
君は留まってくれたかもしれない
でも僕が口を開こうと振り向いたとき
ちょうど音楽が始まったんだ。

そのとき言うべきだったことを
僕は何ひとつ言えなかった
僕の心は、僕の頭に
勝ちを譲ってしまった。
そして僕はその代償を
支払うことになった。
音楽が始まったとき
ほかの誰かがすでに君を腕の中に収めていた
僕は君の愛を失ったんだ
音楽が始まったときに
「音楽が始まった」(The Music Played)、ブロッサム・ディアリーです。この曲はウド・ユルゲンスが作って、マット・モンローが英語でカバーしてヒットした。このブロッサム・ディアリーが歌うCDは最近発売されました。なんか放送局で録音したテープみたいですね。
なかなかせつないシチュエーションです。ここで「ひと言」言っておけばうまくいったのに、プライドが邪魔して言えなかったんですね。言おうかなと思ったら音楽が始まっちゃったという。具合が悪いですよね。後悔したときには、他の男の人が彼女を腕に収めていた……。(僕の心は僕の頭に勝ちを譲ったという表現で、プライドの高さを表現しています)心は痛がっているんだけど頭が押しとどめているんですね。
僕はプライドに邪魔されたことはなかったな、そういえば。もともとあんまりないのかもしれない(笑)。
On A Slow Boat To China
Barry Manilow
Duets
Arista 2011
次は「中国行きのスロウ・ボート」。1950年代にビング・クロスビーとローズマリー・クルーニーのコンビでヒットしました。ローズマリー・クルーニーはジョージ・クルーニーのおばさんです。ジョージ・クルーニーもきっと歌がうまいだろと監督が歌わせてみたら、あんまり下手だったんでみんながずっこけたという話がありますけど。今日はバリー・マニロウとベッド・ミドラーという、ちょっと濃い、芸達者のコンビで聴いてください。この曲の二人、なかなかいいです。
僕が生まれて初めて書いた短編小説のタイトルは「中国行きのスロウ・ボート」でした。(美雨:そちらを先に知りました)。僕は短編小説を書いたことがなかったんで、小説を書く前に、まず最初にタイトルをつけた。曲から引っ張ってきて「中国行きのスロウ・ボート」と。そこからどんな話ができるだろうというところから始まったんです。最初に話があったわけじゃなくて、その言葉からどんなふうに話が膨らんでいくんだろうというふうに最初から書いていったわけですね。あ、こんなふうに書けば小説って書けるんだというふうに発見して。(美雨:ふつうは書けないですけどね、笑)。短編はいまもだいたい同じで、先にタイトルを決めちゃって勝手にどんどん書いていくということがほとんど。筋とかプロットとかほとんど考えない。(美雨:この曲に影響を受けてということではないんですか?)ただ言葉のイメージだけです。そういうのはずいぶんたくさんある。その後に書いたのが「貧乏な叔母さんの話」というタイトルで、これも題名から物語ができちゃったという面白い書き方です。僕はそういうのが好きなんです。言葉がイメージを辿っていくというのが好きなんですね。
「中国行きのスロウ・ボート」

中国行きのスロウ・ボートに
君を乗せたいな
そして僕だけのものにしたいんだ

君をしっかり腕に抱いて
いつまでも離さないんだ
ほかの男たちなんぞ
浜辺で涙にくれていればいい

僕らは海原の真ん中にいて
空には大きな月が輝き
君の固い心を溶かしてくれる

中国行きのスロウ・ボートに
君を乗せられたらな
そして僕だけのものにできたらな
訳詞で一番難しいのは韻です。英語って韻を踏みますよね。韻を踏むために、日本語で無理な言葉を引っ張ってきている場合が多い。それをそのまま訳していると変な訳になってくる。だからその辺をどういうふうに作り替えるかというのがコツになってきます。日本語は韻を踏まず、どちらかというとムードや情感で流れていくんだけど、英語の場合はまず韻を踏みますから。
Snoopy Vs. The Red Baron
The Royal Guardsmen
Snoopy Vs. The Red Baron / Snoopy And His Friends
Collectables 2001
次は「スヌーピー対レッド・バロン暁の空中戦」。スヌーピーが犬小屋に座って、第一次世界大戦の戦闘機のパイロットの真似をするやつです。知ってます?(美雨:はい、絵は浮かびました)。それからつくった歌なんです。彼の宿敵がレッド・バロン。これはドイツの戦闘機乘りで、これとスヌーピーが大空中戦を繰り広げるという歌です。
「スヌーピー対レッド・バロン 暁の空中戦」

二十世紀の初めの頃
晴れ渡ったドイツの空に
エンジン音が囂々と響き
戦闘機が大きな鳥となって舞い上がる。
操縦桿を握るのは、その名も高き
フォン・リヒトホーフェン男爵。
80人が彼に挑み、80人が命を落とし
緑なす墓地に葬られた。

10、20,30,40,50、もっとたくさん。
レッド・バロンは数を積みあげていく。
80人が彼に挑み、そしてやられた。
必殺の撃墜王、ドイツの誇るレッド・バロン。

僕があいつを仕留めてやると
スヌーピーは心に誓う。
カボチャ大王にうまい作戦を教わって
ドイツの撃墜王に得意のドッグファイトを挑む。
大笑いしている男爵に
しっかり照準を合わせる

レッド・バロンは追い詰められる
すべてを試し、もう打つ手はなし
そこでスヌーピーはとどめの一撃
そしてもう一撃
レッド・バロンは万事休す
くるくる錐もみして落ちていく
昔からこの歌が好きなんだけど、この間「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」という映画でレオナルド・ディカプリオがこの曲をラジオを聴きながら一緒に歌っているシーンがあって、「あ、これだ!」と思った。(美雨:2回も観られたとか?)。そう、2回観ました。面白い映画です。アメリカで観て、ちょっとわからないところがあったので、日本で字幕付きで観ました。
これはロイヤルガーズメンというほぼ一発屋のバンドがヒットさせました。(美雨:この曲だけなんですか?)。いや、「帰ってきたレッド・バロン」という続編があります(笑)。
Mr. Sheep
Randy Newman
Born Again
Warner Bros. Records 1979
次は「羊くん」ですね。ランディ・ニューマンの曲です。ニューヨークの地下鉄で、どこかのおっさんが寝転んで、通勤客を馬鹿にして、「お前ら羊じゃねぇか」とからかう歌。じゃあお前はなんなんだと言いたくなるところもあるけどね。この中で羊くんの鳴き声をやるところがあるんだけど、英語だと「バー」と言うけど、日本語だと「メェ~」。
実際の鳴き声も聴いてみましょう。(美雨:バー寄りの声もあるし、メェ寄りの声もありますね、笑)。
というわけで、毒のあるランディ・ニューマンらしい歌です。僕も大好きな曲です。
「羊くん」

よう、ミスター、どこ行くの?
仕事に遅れそうなんだね
気をつけなよ
ブリーフケースを落っことしちゃうよ
ほらほら、案の定だ、とろいなあ
急ぎ足で歩いて行く
地下鉄の階段を降りていく
電車に乗り遅れないように
でも傘を忘れたのは
ちっとまずかったね

気の毒な羊くん
濡れちゃってるじゃないか、羊くん
さあ、歩き続けて、羊くん
歩き続けなくちゃ

おれだってきついことは言いたくない
意地悪いことも言いたくない
あんたの言うとおり
この世界はただでさえ厳しい場所だ
ほんとにおっしゃるとおりだよ
でもあんたを見て何を感じるか
そのありのままを
わかってもらいたい
だから今ここで、思っていることを
ひとつぶちまけちゃおう
俺の言いたいことは
俺の言いたいことはね
さあ、言うぞ

めえええええええ

めえめえ羊くん
しっかり歩き続けなくちゃな
ランディー・ニューマンは堅気の勤め人をからかったり背の低い人をからかったり、非常に皮肉というか毒があるというか、問題のある歌を歌うことが多いんです。でもすごくきれいなメロディを書く人でもあって、その辺のバランスというかアンバランスがなかなか素敵なんですよね。
Opportunities (Let's Make Lots Of Money)
Pet Shop Boys
The Very Best Of The Singles
EMI 1991
さて次はペット・ショップ・ボーイズの「ひと儲け」。原題は「Opportunities(Let’s Make a Lot of Money)。たくさんのお金を儲けよう。僕はこの曲の最初のフレーズ、「おれには頭がある。きみにはルックスがある。一緒に金儲けをしようじゃないか」というのが結構好きで、昔から聴いてます。(美雨:私も10歳くらいの時、よく聴いてました!)。
『1Q84』という小説を書いたとき、この曲がちょっと頭に浮かんでいて。というのは、あれは売れない作家志望の青年と10代のきれいな女の子を組み合わせて、ベストセラ―をつくっちゃおうという編集者の話なんですよ。この雰囲気に近いんですよね、一種の詐欺というか。一人の悪いやつがもう一人を悪事に誘っている。でも誘っている奴が胡散臭い。ソルボンヌ大学を出てるとか、数学の博士号を持ってるとか、結構吹くんだけど、ほとんど嘘。こんな悪事の計画はうまくいかないと僕は思っているんだけど、とにかく一生懸命誘ってます。
「ひと儲け」

おれには頭がある
きみにはルックスがある
一緒に金儲けをしようじゃないか
きみには腕力がある
おれには脳みそがある
組んでがっぽり儲けようじゃないか

雑魚たち相手に計画を練ったり
そんなあれこれは、もうあきあき
表に車を待たせている
こんな話、うまくいきっこない
おれが求めているのは、できるパートナーだ
しっかり仕事がやれるやつだ
なあ、どうなんだ
きみは金持ちになりたくないのか?

そう、世の中にはたくさんのチャンスがある
大事なのはそれをつかむタイミングだ
なあ、世の中にはいっぱいチャンスがある
なけりゃ、自分で作るまでさ

おれには頭がある
きみにはルックスがある
一緒に金儲けをしようじゃないか
きみには腕力がある
おれには脳みそがある
組んでがっぽり儲けようじゃないか

きっとうまくいかないですよね(笑)。
Polka Dots And Moonbeams
Bud Shank Quartet
Bud Shank Quartet Featuring Claude Williamson
World Pacific Records 1957
今日のエンディングはバド・シャンクがフルートで演奏する「月光と水玉模様」。僕は高校時代、バド・シャンクの「フルート・アルバム」という日本編集のLPを買って、ずいぶん聴きこみました。なかでもこの「月光と水玉模様」は最高に美しい。そういう影響もあって、僕は大学生のとき先生についてフルートを習ったこともあるんだけど、結局ものになりませんでした。フルートって難しいです。文章を書いているほうがずっと楽ですね。
今日の最後の言葉。ヴァン・ヘイレンのリード・シンガー、デイヴィッド・リー・ロスの1981年のお言葉です。彼が「ジャーニー」というバンドについて語ります。

「おれとしてはあまり人を嫌な気持ちにさせたくないんだけど、正直に言わせてもらえば、ジャーニーってほんとカスだよね」
(I don’t want these people to take it personally. But, I mean, Journey stinks.)

こういう率直きわまりない発言って、いいですよね。なにが「あまり人を嫌な気持ちにさせたくない」だとか、言いたくなるけど、でもこんなこと堂々と口にして人生を送っていられたら楽しそうです。ダイヤモンド・デイヴ、最高です。最近どうしているんでしょうね。

今日はここまで。またお会いしましょう。

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 村上春樹さんによる訳詞で、秋の夜を楽しむ。なんとも贅沢な秋の夜となりました。庭を眺めると、鈴虫らしき歌声も。虫たちもラジオを聴いていたようです。(延江エグゼクティブプランナー)
  • 普段何気なく聞いている曲も、村上春樹さんの素晴らしい訳で、より深くその曲の世界観が伝わってきましたね。今回はとても貴重な回でした。僕はヴァン・ヘイレンもジャーニーも大好きです。(CADイトー)
  • 美雨さんが読む「中国行きのスロウ・ボート」は素敵だった。訳詞の朗読と“On A Slow Boat To China”の曲を、僕はこれから何度も聴くだろうと思う。そして村上さんの短編集の帯を思い出した。「1983年、『中国行きのスロウ・ボート』が出版され、おかげで僕たちは愛しあうことも忘れ、夢中で読みふけった年だった」――。今年は村上春樹さんが小説家になって40周年、村上RADIOや村上JAMもあった。2019年は、僕たちにとって忘れられない年になった。(エディターS)
  • 「歌詞を訳してみました」の春樹さんの訳詞はいかがでしたか?春樹さんと美雨さんの朗読もまた素敵で、聞いていると、歌の世界が頭の中に景色のように広がって、違う世界に連れて行ってくれるよう。そうそう。番組スタッフで、村上RADIO公式ツイッターです。を作りました。(@Murakamiradiofm)です。フォローしてくださると嬉しいです。番組情報のみならず、スタッフ目線でいろいろつぶやきます。(レオP)
  • 村上さんの訳詞とエッセイが楽しい『村上ソングズ』のまえがきにはこうあります。“こういう文章はおそらく、実際の歌を聴きながら読んでいただくといちばん良いのだろう。うちに来ていただいて、紅茶とクッキーでもお出しして、レコードを一枚一枚ターンテーブルに載せながら説明できると理想的。ほんとに、のんびりそういうことができるといいんですけどね。”今回の放送は、それが半ば実現した形となりました。『村上ソングズ』和田誠さんの絵も大好きです。(構成ヒロコ)
  • 今回の「村上RADIO」は、村上さんによる訳詞を曲と共にお届けしました。音楽の中だけに存在する世界には、どんな物語があるのか、紐解いて下さっています。その物語には真理も隠されているはずで、個人的には、「村上ソングズ」に書かれていた大好きな訳詞、「神さましか知らない」を放送できたことが、嬉しいことでした。(キム兄)

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。