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村上RADIO ~村上の世間話2~

村上RADIO ~村上の世間話2~

こんばんは。村上春樹です。
村上RADIO、今夜は「村上の世間話」第2回目です。僕の好きな音楽をあれこれかけながら、そのあいだに世間話みたいなことをします。どれもあまり役には立ちそうにない、むしろしょうもない話です。前にどっかで書いたか、話したか、そのへんもよく覚えてないんだけど、まあいいですよね。適当に聞き流してください。日曜日の宵の時刻、むずかしいことは抜きにしてのんびりくつろぎましょう。

<オープニング曲>
「Madison Time」Donald Fagen

リスナーからメッセージをいただきました。愛知県のアルパカさんからです。
「猫山さんの声はよく聞きますが、羊谷さんの声も聞かせてください」
ということです。

はい、そういえば最近、羊谷さんを見かけませんでしたね。お仕事でしばらく北海道に行ってらしたんだそうです。でも今日はスタジオにお呼びしています。
こんにちは羊谷さん、おひさしぶりです。
メエエエ。(羊谷)
it's supposed to be fun
lou rawls
it's supposed to be fun
BLUE NOTE
まず1曲かけます。ルー・ロウルズが歌う「It's Supposed To Be Fun」。2人で旅行に出かけて、それはすごく楽しいはずだったのに、いったいどうしてこんなひどい結果になっちまったのか? うーん、そういうことってときどきありますよね。ちょっとしたことで事態はがらっと暗転します。一寸先は闇です。みなさんも気をつけてくださいね。


世間話① 網代の猫の店番
伊豆の熱海の先に網代(あじろ)という町がありまして、そこでは道路沿いにずらっと干物屋さんが並んでいます。その中に猫が店番をしている店があるという話を耳にしまして、ちょっと前のことですが、本当かなと思って足を運んでみました。猫に干物屋さんの店番がつとまるものでしょうかね? 店番をしているうちに、ついぺろっと売り物を食べちゃったりするんじゃないでしょうか。

で、その「ひもの銀座」をしばらくうろうろと行き来してみたんですが、結局、猫が店番をしている干物屋さんは見つかりませんでした。もしいたら写真を撮ろうと思っていたんだけど、残念。

でもそのときに発見したんですけど、網代の干物屋さんの店先に干してある干物って、だいたいみんな本物じゃなくて、紙に書かれた絵なんです。まあ、車の往来の激しい道路沿いに並んでいる店だから、本物を吊しておくと排気ガスで汚れてしまいますよね。だから絵に描いた魚が干してあるんです。

そんな絵の中にはとても上手に描かれたものもあり、かなりイノセント・アートみたいなものもあり、なかなか面白かったです。しかしまあ、絵に描かれた干物なら、猫が店番していてもおかしくはないかも、ですよね。

僕は干物ではアジとカマスが好きです。あったかいご飯で食べるとおいしいですよね。
メエエエ(羊谷)。
ホッケも悪くないと北海道帰りの羊谷さんはおっしゃっています。
SENSIBLE SHOSE
DAVID LEE ROTH
THE BEST
RHINO
次は僕の好きなデイヴィッド・リー・ロスさんの歌です。歌う曲は「Sensible Shoes」。「分別のある靴」とでも訳すんでしょうか。どんなにお金持ちでも、ハンサムで女性にモテても、「分別のある靴」を履いてなければ人は幸福になれない……そういう内容の歌です。まあ、そのとおりかもしれないですね。
デイヴィッド・リー・ロスって、昔いたフレディ・キャノンになんとなく雰囲気が似てますよね。と言っても若い人にはわからないか……。フレディ・キャノン、僕はかなり好きでした。

世間話② 新横浜駅前の社会奉仕
僕は一度、違反点数がたまって、運転免許停止処分になったことがあります。で、免許を回復するために、半日の講習を受けてそれから社会奉仕というのをやりました。

社会奉仕って何かというと、街角に立って横断歩道の旗持ちをやるんです。横断歩道を歩行者が渡るとき、旗を出して車に注意を促す役です。僕は神奈川県民なので、新横浜の駅の近くの横断歩道で、それを30分ほどやりました。

そんなことをしてたら、「あれ、村上さんじゃないですか、こんなところで何をやっているんですか?」みたいなことを誰かに言われるんじゃないかと、けっこう怯(おびえ)えていたんですが、ありがたいことにそういうことも起こらず、無事に社会奉仕を終えて、運転免許を回復することができました。

思うんですけど、横断歩道で旗持ちをしている人の顔なんて、歩行者はいちいち見ないんですよね。よかった……というか、みなさんも速度違反には気をつけてくださいね。“Sensible Shoes”を履き忘れないようにしてください。
DOODLIN'
les double six
les double six
RCA VICTOR
次はフランスのコーラス・グループ“Les Double Six”です。別名The Double Six Of Paris。ダブルシックスっていうと、JAGUARの12気筒エンジンを思い出しますが、こちらは六人組の小洒落たコーラス・グループです。どうしてダブルシックスっていうかというと、まず6人でコーラスを歌って、そこに多重録音でもう一度コーラスをすっぽり被(かぶせ)せるんです。だからダブルシックス。彼らがホレス・シルヴァーの名曲「Doodlin'」を歌います。これ、ほんとに素敵なコーラスです。

世間話③ 村上なんたら
僕は朝に家の近くを走っているんですが、この前走っているときに、2人連れのおじさんに呼び止められまして。まあ、おじさんといっても僕より年下だと思うんだけど。「このへんに村上なんたらっちゅう作家の家があると聞いたんだけど、わかりますかね?」と訊かれました。で、僕は「さあ、聞いたことありませんねえ」ととぼけて、そのまま逃げたんだけど、そういうのってほんとに困るんですよね。

しかし、わざわざうちを探しに来るくらいなら、フルネームくらいちゃんと覚えてきてほしいと思いますよね。「村上なんたら」はないですよね。よほど村上龍の家を教えてやろうかと思ったんだけど……というのはもちろん冗談ですが。

ところで、朝早く近所を走っていると、同じ猫さんたちとよく顔を合わせて、けっこう顔見知りになります。「なんだ、朝早くからまたこのおっさんかよ」みたいな顔で見られたりしてね。ときどき呼ぶとやってきて、頭をなでさせてくれます。
ニャアアア(猫山)。
Rainy Night In Georgia
amos garrett
THIRD MAN IN
PIONEER
エイモス・ギャレットの歌う「雨のジョージア」“Rainy Night In Georgia”。オリジナルはトニー・ジョー・ホワイトですが、ブルック・ベントンの歌で有名になった名曲です。
Winner Take All
ROBERT JOHN
Back on the Street
Celeste
ロバート・ジョンが1980年に発表したアルバム『Back On The Street』から“Winner Take All”。勝者は総取り、勝負に勝ったものが1人で全部かっさらっていきます。アメリカの大統領選挙なんかもそうですね。勝った候補者が、その州の選挙人をすべて獲得する。これは、友だちに恋人をとられそうになっていて、「そんなことは許さないぞ、Winner Take All方式で一発勝負しようじゃないか、負けた方は潔く去るんだ」と宣言する男の歌です。ま、いろいろ大変そうですね。がんばってください、恋人をとられないように。

世間話④ 絶対大丈夫
少し古い話になりますが、去年ヤクルトスワローズが日本シリーズを制して優勝しました。ヤクルトファンの僕としては、それはまあたいへんめでたいことだったんですが、そのとき高津監督が選手に向かって言った「絶対大丈夫」という言葉が、ちょっとした流行語みたいになりました。

そのときも気になったんだけど、「絶対」というのはけっこう危険な言葉なんです。だからそんなに簡単に使っちゃいけないと、僕なんかは考えて生きてきました。だって「絶対大丈夫」ってみんなにきっぱり宣言して、その結果、もし大丈夫じゃなかったら、「なんだよ」みたいなことになってしまいますよね。でも去年の高津監督の場合は、なぜかすべてがうまくいって、結果オーライだったわけです。素晴らしいですね。

もし僕がスワローズの監督だったら、「きっとたぶん大丈夫だよ」とか「ま、96パーセントはオーケーさ」とか言って、選手たちをしらけさせていたんでしょうね。そういうのって性格ですよね。僕なんかは「絶対大丈夫」とは、たぶん言えそうにない。絶対に言えないか……っていうと、どうだろう、考え込んでしまいますけど。まあ、野球の監督になるつもりは絶対ないですから、どうでもいいようなもんですけど。
The Beat Goes On
BUDDY RICH
BIG SWING FACE
PACIFIC JAZZ
景気よく行きます。バディ・リッチの楽団が演奏する「The Beat Goes On」。1967年のソニー&シェールのヒット曲です。作曲はソニー・ボノ。ビルボードの6位まで上がりました。ここで歌っているのはバディー・リッチの娘、キャシー・リッチです。

バディー・リッチのドラムってとことん無反省というか、なにしろバシバシとご機嫌です。このリッチさん、入院したときに看護師に「何かアレルギーはありますか?」と尋ねられて、「カントリー&ウェスタン音楽」と答えたそうです。ジャズ馬鹿っていうか、素敵な話ですね。
LET YOU GO
MATT NATHANSON
SINGS HIS SAD HEART
Acrobat Records
次はアメリカ人のシンガー・ソングライター、 マット・ネイサンソンが歌います。「Let You Go」。僕はこの人わりに好きなんです。2018年に発表したアルバム『Sings His Sad Heart』(悲しき心を歌う)からの1曲です。



世間話⑤ 甲子園球場
僕は長年にわたってヤクルトスワローズのファンをやってまして、神宮球場も大好きですが、日本でいちばん素敵な野球場はどこかって言われると、やっぱり甲子園球場ですね。あそこはなんていうか、別格です。スコアボードがスクリーンになってしまって残念ですが、ボストンのフェンウェイ球場みたいに旧式のままにしておけばよかったのにね。

僕は小学生の頃、兵庫県西宮市の夙川(しゅくがわ)っていうところに住んでまして、そこから甲子園球場までは自転車ですぐだったんです。だからよく自転車に乗って野球を観に行きました。とくに高校野球の外野は入場無料でしたから、子どもが夏休みの暇をつぶすのにはなにしろ最高でした。王さんが早実のエースとして優勝した頃です。相当古い話ですけど。

甲子園球場、中に入って古ぼけた薄暗い階段をのぼっていくと、目の前に芝生の緑が突然さあっと開けます。緑の芝生と、真っ白なユニフォームとボール、そして青空。それを目にしたときの感動って、ちょっと表現しがたいです。他の球場では味わえない雰囲気です。そのときの心の震えみたいなものを今でもよく覚えています。だからドーム球場って、苦手なんです。まず行きません。

TEA FOR TWO
NINO TEMPO & APRIL STEVENS
Sweet and Lovely THE BEST OF NINO TEMPO & APRIL STEVENS
Varèse Sarabande
ニノ・テンポとエイプリル・スティーヴンス。
お兄さんと妹のデュオ・コンビ、「Tea For Two」を歌います。



世間話⑥ 甲子園球場の弁当
甲子園球場の話の続きです。甲子園球場でいちばんよく僕が覚えているのは、なんといっても夏の高校野球での「かち割り」ですね。氷を割って、金魚すくいのビニール袋みたいなのに入れただけのものなんだけど、これを買って頭とか首筋を冷やして、それで溶けた水をストローでちゅうちゅう飲む……これがなにしろ最高にうまいんです。六甲山系の地下水を使って作った氷なんだそうです。

野球を見るのに飽きると、甲子園の海岸に行ってひと泳ぎします。しばらく海で泳いで帰ってきて、また外野席で野球を見る。見ていて暑くなると「かち割り」で頭を冷やす。その繰り返しが楽しかったです。今でも「かち割り」ってあるんでしょうかね?

Still Got The Blues
GARY MOORE
STILL GOT THE BLUES
Virgin
ゲイリー・ムーアといえば文句なくこれですよね。「Still Got The Blues」、何度聴いても泣けます。エリック・クラプトンのカバーも素敵ですが、今日は本家本元、ゲイリー・ムーアでじっくりと聴いてください。

「恋なんてゲームだとうそぶいていたおれなのに、君のことがどうしても忘れられない、もうずいぶん昔のことなのに、今でも心にぽっかり穴があいてしまっている」

……うーん、切ないですねえ。

<収録中のつぶやき>
素晴らしいですねえ~~。

世間話⑦  アンドレ・プレヴィンのレコード
僕はレコード・コレクターなので、世界中の中古レコード屋をこまめに回っていますが、わりによく値切ります。「もうちょっとこれ安くなりませんか?」みたいな感じで。ただ東京のレコード屋さんでは、まず値切りません。東京の人って、値切られるのに馴れてないみたいで、うまくいかないんです。関西ではわりに普通のことなんですけど。

でも、海外のレコード屋さんではよく値切ります。「これだけ買うから、こっちは少し安くしてくれない?」みたいな感じで。そこで店主とあれこれやりとりがあって、商談が成立します。そのやりとりの中で、相手の持っている商品知識とか、音楽の趣味とかを微妙に探り合うわけです。そういうのって、けっこう楽しいんです。「おぬし、やるな」みたいな感じになりまして。

昔どこかの本で、まだジャズ・ピアニストだった頃のアンドレ・プレヴィンが、中古レコード屋に行った話を読みました。そこで前から探していた珍しいレコードを見つけたんだけど、値付けがかなり高かったので、店主と値段の交渉をしたんです。「もうちょっとなんとかならない?」みたいに。
すると「いや、それは珍しいレコードだから値引きできないけど、そのかわりに、あんたが一緒に持っている、そのアンドレ・プレヴィンのレコードをタダで付けてあげるよ」と言われたそうです。プレヴィンさんも腐っちゃいますよね。中古レコード屋、僕もいろんな面白い経験をしました。いつかじっくり話したいですけど。

DADDY'S HOME
MACEO PARKER
MO’ROOTS
VERVE
メイシオ・パーカーがドゥワップの名曲「Daddy's Home」を演奏します。この曲、いつ聴いてもいいですよね。
単身赴任っていうか、遠くまで出稼ぎに出ていたお父さんが、「もうすぐうちに帰るからね、待ってるんだよ」……と子どもに語りかける歌です。しみじみしちゃいます。
オリジナルはシェップ&ザ・ライムライツ、1961年のヒットソングです。
さて、今日の言葉は、僕が英和辞典の例文で見つけた言葉です。
英和辞典の例文ってよく見ると、なかなか味わい深いものがあります。

Little things please little mind.
日本語だと「小人、小事に興ず」となりますが、何のことだかよくわかりませんね。わかりやすく言うと、little things(ちっぽけなことがら)は、little mind(ちっぽけな魂)をpleaseさせる、つまり喜ばせるんです。
しょうもない人間は、しょうもないことに喜ぶ、という意味です。
これ、ほんとにそのとおりです。僕も何度かそういうのを経験しています。
たとえば僕の書いた小説の批評なんかで、つまらない、どうでもいいような部分を取り上げてすごく褒めてくれる人がいます。僕は「そういうの、どうかなあ」と思うんですが、まあ褒められているからいいか……とか思っていると、そういう人って、なぜかまたつまらない部分を取り上げて、今度はすごく腹を立てたりするんです。なんか消耗しますよね。精神衛生良くないです。だから、僕はそういうものとはできるだけ関わりを持たないように心がけて生きています。
みなさんも気をつけてくださいね。リアルにクールに生きていきましょう。

それではまた来月。

リスナーのメッセージに答えました

リスナーのメッセージに答えました

太郎丸(33、男性、東京都)

毎回楽しくラジオ拝聴しております!音楽に詳しくない自分にとって、この番組は様々な楽曲に触れられる素敵な機会です。私は一人旅が好きなのですが、旅の道中に聞きたくなる音楽特集をやってもらいたいです。さまざま場所に旅をされている村上春樹さんの旅のお供の音楽が気になります!!
――――こんにちは。なかなか面白そうな企画ですが、僕は実は旅行をするときって、あまり音楽を聴かないんです。音楽を聴くのはだいたいうちにいるときか、あるいは車を運転しているときか、走っているときです。ですから旅の道中に聴く音楽と言っても、とくに頭に浮かばないです。すみません。
モリちゃん(56、男性、静岡県)

和田誠さんと言えば麻雀放浪記ですね。角川春樹がエグゼクティブプロデューサーで高品格が出演してました。和田誠さんは今夜は最高!にも出ていました。もう一度観てみたいです。
――――平野レミさんのお話だと、和田さんは昔よく麻雀をなさっていたということですが、僕は和田さんと麻雀したことってないですね。一度くらい卓を囲んでみたかったな。どんな麻雀だったんだろう? 麻雀、僕はあまりうまくないですが。
長財布(42、男性、北海道)

これまでの放送とは毛色がちょっと違って、今回は今回で楽しかったです。ヘレン・メリルの子守唄にはたまげました。世の中にはいろんなレコードがあるんですね。しかし何を歌っても、力のあるシンガーは上手いですね。いつか中間派の特集を組んでくれたら嬉しいです。村上RADIOですっかり気に入ってしまったので。
――――中間派の特集、いいですねえ。そのへんはしっかり僕の個人的好みでもあります。いつか念入りにやってみたいけど、そんな渋い特集を喜んで聴いてくれる人はどれくらいいるのかな? ちょっと心配です。
どんぐり(39、男性、神奈川県)

『村上radio 公開収録〜和田誠レコード・コレクションより』、自宅で聴きました。和田誠さんといえば、素朴なタッチで独特なイラストが印象に残っています。そのレコード盤の音源も、絵と同じで優しくて温かいもの(村上さんが選曲したものですが)が多い印象で、楽しく聴いていました。特に山本邦山さんとヘレン・メリルの共演レコードは驚愕しました…レコード蒐集したいけれどお金が追いつかないので、少し控えていますが、こういう音源を聴くとやはりレコードの可能性を感じますね。今からボリュームを最大限に下げて、レコード聴いてみようかなあ。とても公開録音と思えぬ、村上さんの語り口に感心しました。最後の大君、読みました!少し登場人物が多く戸惑いましたが、それは最初だけで、すんなりと内容が入ってきて、特にモンロー・スターには感情移入しやすかったです。未完なのが惜しいですが、よく練られた翻訳だったことがわかりました。
――――最後の大君、読んでいただいてありがとうございます。僕はもう盆栽いじりのような心持ちで、フィッツジェラルドの翻訳をうじうじと手仕事でやっております。日の当たる縁側で猫を撫でながら・・・といってもうちには縁側もなく、猫もいませんが。楽しんで読んでもらえるとなによりです。
JBLの子猫(42、男性、宮城県)

和田誠さんと村上春樹さんの共著であるポートレイト・イン・ジャズを20年近く愛読しています。4月の放送の終盤では涙が自然とこぼれました。ラジオから流れてくる、お二人の中に通い合う思いに心が震えました。音楽をラジオで聴く素晴らしさってこういうことなんだと。ありがとうございました。
――――水丸さんが亡くなって、和田さんも亡くなって、フジモトマサルさんまで亡くなってしまって、いささか呆然としています。三人とも大好きなイラストレーターだったのですが。大事な才能が世の中から次々に失われていって、ほんとに残念です。
株式会社 アルパカ(48、男性、愛知県)

ねこやまさんの声はよく聞きますが、ひつじだにさんの声も聞かせてください
――――そうですね。そういえば最近、羊谷さんを見かけませんでした。今度声をかけておきます。きっとスタジオに来てくれると思います。
チャガメイ(56、女性、東京都)

和田さんのコレクションということもあって、いつもと違う切り口での選曲で楽しめました。あの頃のミュージカル曲は、ディクテーションをしたら100点満点で87点は取れそうなくらい歌詞が聞き取りやすく、ほのぼのしていて平和でした。村上さんと和田さんのポートレイト・イン・ジャズ、単行本とCDを持っているので、和田さんのご冥福をお祈りしながら、また聴きながら読み直してみます。
――――ありがとうございます。考えてみたら「ポートレイト・イン・ジャズ」は100パーセント、二人の個人的趣味を持ち寄ってできた本でした。ああいう贅沢な本ってもうなかなか作れないんです。
アデーレ(54、女性、京都府)

和田誠さん、フランクシナトラのレコードを繰り返し聴いていらしたのですね。レコードの擦れた音が、なんとも味わい深くて、まるで和田誠さんにかけてもらっているような気がしました。ありがとうございました。
――――シナトラ、いいですよね。僕のシナトラのレコードはけっこうたくさん持っています。和田さんのシナトラ・コレクションはまさに圧倒的でしたが。シナトラって、高音から低音まですごくきれいに、自然にカバーできるんです。おまけにたっぷり歌心がある。そして男の色気もある。そんな歌手ってなかなか他にいません。不世出という言葉がぴったりの歌手でしたね。
ラジ公(60、男性、東京都)

ついに「ラストタイクーン」が村上訳で読めるなんて!歓迎です。いつか番組で「小説特集」もやって下さい。
――――えー、実を言うと、僕はこの番組ではあまり小説の話はしないようにしております。音楽の話をするのは好きだけど、小説家が小説の話をするのって、なかなかむずかしいものなんです。なんかちょっと恥ずかしいしね。すみません。
木枯らし2号(36、女性、岡山県)

生後7ヶ月の娘と一緒にタイムフリーで聴きましたが、娘はドレミの歌がとても気に入ったようです。音が流れてくるスピーカーをじっと見つめ、にこにこしがらドレミの歌に聞き入っていました。わたし自身、サウンド・オブ・ミュージックが大好きなので、久しぶりにドレミの歌が聞けて楽しい気分になりました。子供に聴かせたい音楽というテーマの回など今後企画してほしいです。子供に届く音楽は、大人により強く届くような気がします。これからも村上radioの放送、また、村上さんの作品を応援しています。
――――子供向けの村上RADIO、なかなか面白そうですね。そのうちにやるかもしれません。うちにある音源をちょっと探してみましょう。なんかあったかなあ・・・?娘さんによろしく。
ゆきねこ(44、女性、京都府)

村上RADIOは、リアルタイムではなく、ちゃんとゆっくりできる時間を作ってradikoで聴いています。日常の雑多なものから離れる時間を作って下さる貴重な番組です。しかし聴き終わった後は、身の回りのことや、世の中の嫌なニュースや事件についても、きちんと考えようという気持ちになれます。そして、「風の歌を聴け」の中のラジオのシーンを想い出します。これからもそんな境界線のような番組であり続けて下さい。
――――ラジオっていいですよね。テレビよりもうまくすっと日常を離れられるんじゃないかな。そういうことを可能にしてくれる素敵な番組がもっと増えてくれるといいんだけど、なかなかむずかしいかも。
ブルージャイアント(18、男性、東京都)

村上さん、こんにちは。僕は新宿に住んでいる高校生です。人生ではじめてのラジオの投稿なので正直、何書いていいか分かりません。今回はプレゼント欲しさに投稿することにしました。僕が18歳っていうことで進路の悩みでも書いてみようと思います。多くの高校生が自分が何になりたいか悩んでいると思います。僕もその例外ではなく自分がどうすればいい人生を送れるのか分かりません。好きなことで食って生きるのがいい人生だとは思いますが、仕事にできるほど好きなことに熱量があるわけではありません。いい大学、つまりは偏差値の高い大学に行けば人が言うエリート人生っていうのは送れるとは思いますが、いい会社に入って、いいもの食べる、そんな人生をいいとはなんだか思えません。それよりも僕は勉強ができる方ではないのでいい大学に入ろうとは思えないのですが。村上さんが思う人生の理想像ってなんですか?自分が特にしたいことがない場合、大学ではなにを学べばいいですか?村上さんなにかアドバイスお願いします。長々と失礼しました。
――――僕も高校時代には自分が何をすればいいかなんて、ぜんぜんわかりませんでした。五里霧中、暗中模索、試行錯誤・・・などなど実に四字熟語の世界でした。まさか小説家になるなんて、当時は思いも寄らなかった。ましてやラジオでDJをやっているなんて・・・。要するに、人生は成り行きみたいです。だから基本的には成り行きに流されていくしかないんだけど、人間関係だけは大事にしましょうね。困ったときには近くにいる人がきっと役に立ってくれます。
雀のかたびら(60、女性、東京都)

和田誠さんのレコードコレクションは和田さんのイラストを思わせる素直さ、光がフラットに当たるような選曲だと感じました。南太平洋を映画館で観たっけな~と瞬時に蘇り、頭の何処かにしまわれた記憶が掘り出され、音楽って(脳かも)面白いです。私は和田さんのパートナーの平野レミさんが好きで大昔、金魚すくいで我が家に来た金魚にレミちゃんと名付けてました。その金魚は元気すぎてバケツからジャンプして床に飛び出してましたが。レミさんもフラットな光が似合うお方です。
――――番組の終わったあと、会場のみなさんの前でレミさんとトークをやったんですが、話し出すとなかなか止まらない方で、かなり長いトークになりました。みんな大笑いで、とても楽しかったですが。
30個のフルーツケーキ(55、女性、大阪府)

貴番組のお陰で、毎月、月末の日曜日が待ち遠しくなりました。村上さんの軽快な語り口は、やはり文字では表現できず、ラジオの有り難さを噛みしめています。今後も末永く貴番組が続くよう願っています。
――――ありがとうございます。僕も本当は週に一度くらいのペースで番組をやりたいのですが、そんなことをしていると、本職の小説が書けなくなってしまいます。月に一度でしばらくは我慢してくださいね。
ビフ(48、男性、島根県)

村上さん、いつも楽しみに拝聴しています。レコードプレーヤーを僕も20ぶりにホコリをかぶった場所から出して、自分の寝室に置きました。長い間、CDとかMDとかカセットもたまに、割と聴いていた方ですが、子供たちが寝室からいなくなり、自分の部屋で寝るようになって(妻も別部屋になり)、これをきっかけにレコードを復活させました。タイミングを見計らったように、中古レコードのセールが近くのショップングモールであり久々に指先が黒くなるほどタイトルとアーティストの書いてある場所をペラペラと探しました。実はこのラジオを聴き始めて気になっていた「フォーシーズンズのアイダホ」を探したのですが、巡り合わなかったですね、残念。でも、そういうのがネットと違っていいなって感じです。まさに通い詰める村上さんのスタイル、勉強になります。あんまり中古レコード店は近くにないのですが、足を向けようと思う今日この頃です。
――――「アイダホ」、アナログLPで見つけるのは難しいかもしれません。でもがんばって見つけてください。レコード・コレクションの極意は根気と無駄足です。
さつはる(49、男性、東京都)

いつも、和田さんと村上さんの著書Portrait in Jazzを手元に置いて、仕事中にパラパラとめくり、たまたま開いた演奏家の曲をApple Musicで探して聞いています。お二人のように曲ひとつひとつに対して愛を感じることはできないですが、気持ちいいな、と思う曲は繰り返し聞いています。質問です。ちょうど遠い太鼓を読んでいたのですが、今なら、どの国のどんな街で小説を書きたいですか?その理由などあれば教えてください。
――――今はどこでもいいです、小説が書けるなら、贅沢は言いません。どこだって、小説が書けるだけでハッピーです。
たまたまあびたまたたび(38、男性、神奈川県)

和田誠さんのLPコレクションを聴ける日が来るなんて思っても見ませんでした。大切にご保管されていたのか、スクラッチノイズなども全くなく、非常にクリアに聴こえ、主人の亡くなった、寂しさを吹き飛ばすように、村上春樹さんの手によって落とされるその針先には、美しいメロディが灯っていました。
――――レコード・コレクションからは(本の蒐集もそうですが)、人柄がじわっと伝わってきます。コレクション、けっこう大事なんです。まわりの人はけっこう迷惑するかもしれませんが。
ボンバーちゃん(51、男性、東京都)

感想ではなく質問なのですが、仕事で行き詰まったとき、村上さんの場合は原稿が進まなくなったときですが、心の入れ替えというか、何かいい方法はありますか?
――――簡単です。行き詰まったら、書かないことです。原稿は抽斗にしまって、何か違うことをやりましょう。僕の場合だと、たとえば翻訳とか、ランニングとか、レコード磨きとか。
かぜまちそらまめ(47、男性、千葉県)

素敵な番組内容でした。和田誠画伯と平野レミさん。おふたりの物語を、音楽を通して知ることが出来たような気がしました。夢でまたふたりが会えたならと思います。おふたりを思う村上春樹さんのやさしさ、並大抵のものではないですね。新刊を必ず買って読みます。ありがとうございました。
――――ありがとうございます。新刊、買ってもらえるとうれしいです。そのためにもこれからも手抜きいっさいなしで、せっせと執筆に励みます。
リエ(57、女性、福岡県)

前半は和田さんが好きそうなレコードだなぁと聴いていたのですが、後半はぶっ飛びました!ヘレン・メリルの子守唄、不良っぽい坂本九さん、そして浜口庫之助さんの歌!いや、まさかこういうものが聴ける日が来るなんて。嬉しい驚きでした。和田さんが、三谷幸喜さんと大竹しのぶさんとの鼎談で、レミさんが「ご飯できたよー」と言ってくると、とにかくどんなに仕事がのっていても中断して食べる、とおっしゃっていたのが忘れられません。(当時、三谷さんが離婚したばかりで、僕はそれが出来なかったと言ってました)本当にもっと長くお元気でいてほしかったです。次回の放送も楽しみにしています。
――――いつもとは違う選曲で、僕もずいぶん楽しかったです。こういうのもたまにはいいですよね。いつもと違う筋肉を使っているみたいで。いろんな筋肉、使わなくてはね。
みつまゆ(26、女性、大阪府)

娘が生まれまして、ミルクをあげながらイヤフォンで聞きました。うちの子は食に興味がないのかミルクを飲むのを嫌がり、あげるのに1回50分ぐらい時間をとられます。月に1度のラジオを聞いて、その度に私の娘は月齢を1つずつ重ねていきますね。次、聞く時にはもっとミルクを飲むようになってるといいなぁ。ちなみに男の子が生まれたら、漢字は変えるつもりでしたが「はるき」にしようと思っていました。「はる」が付く名前、かっこいいですよね。ラジオを聞いていますと、村上さんは色んな人との繋がりを大切にされているなと思います。曲は正直分からないのですが笑、(すいません)昔、スーパー銭湯にある舞台カラオケの受付のバイトをしてた事があり、フランク永井は知っていました。夜霧よ今夜も有難うも聞き覚えがあり、懐かしいなぁと思いました。村上さんはカラオケとかに行って歌ったりはされないのですか??来月、娘は5ヶ月になっています。ラジオ楽しみにしています。
――――「村上RADIO」を毎月聴いていれば、きっと音楽に詳しくなります。音楽って身体で自然に覚えていくものです。「これ、いいなあ」と思ったら、それは身体がその音楽をナチュラルに受け入れているということです。僕は「はるき」という名前があまり好きじゃなかったんだけど、歳を取るとなんか馴れてしまいました。なんでもけっこう馴れるものです。娘さんによろしく。
ママゴリラ(55、女性、茨城県)

いつも楽しく聴いています。この春から、末娘が高校生になり、吹奏楽部に入部しました。中学の時には、卓球部だったので親の私はビックリしました。入部理由は、「サックスがかっこよかったから」だそうです。今は、少しずつ曲が吹けるようになってきたようです。素人の私が、アドバイスは出来ないのですが、娘に何かしてあげられることはあるのか…村上さんからアドバイス頂けたら嬉しいです。
――――楽器、マスターできるといいですね。残念ながら僕は楽器ができません。いくつかの楽器に挑戦はしてみたのですが、日々の地道な練習が苦手なもので、モノになりませんでした。小説って、日々の音階練習とかいらないから楽です。サックス吹きの娘さんによろしく。スタン・ゲッツを目指してください。
チューニング中(54、女性、東京都)

和田誠さんは、私の父とほぼ同い年なのです。私は父と音楽の話をしたことはほとんどないと思うのですが、今回和田さんのレコードを聴かせていただいて、あぁ父も若い頃こんな音楽を耳にしたことがあったのかなぁ…と思いを馳せました。音楽を通してつながっていく想いってありますよね。
――――人って十代の頃に聴いた音楽や、読んだ本や、観た映画に一生染まってしまうみたいです。僕もそうでした。十代って、それだけ多感な時期なんですね。その頃に通り抜けてきたものごとが、一生を通じて大事な財産になります。
猫に黒田節(60、男性、千葉県)

いつも楽しくお聴きしています。猫山さんもご存じのヘレン・メリルさんですが、まさかあんな曲を歌っていたとは……。すごいインパクトで、逆に目が覚めてしまいそうな子守唄でした。同じマニアックな選曲でも和田さんは春樹さんとは微妙に守備範囲が違い、いわば中心から同じくらいの距離はずれているけど、3次元的に方向が違う、みたいな面白さを感じました。何言ってるか自分でもわかんないですが。今回は公開録音だったそうですが、ご本人が言われたほど緊張されているようにも感じられず、聴きやすかったです。音楽がそれだけで戦争や伝染病をとめることはできないけど、暗いニュースで疲弊し、マヒしかかった心をひととき休ませて、また次の行動に移るエネルギーをこっそりと与えてくれるものだと思います。これからも心についた傷にじわっと効く放送をよろしくお願いします。
――――ヘレン・メリルは同じLPの中で「五木の子守歌」も歌っていまして、こちらも素晴らしいです。機会があったら是非聴いてみてください。
かえるちゃん(36、女性、大阪府)

好きな和田さんの遺されたコレクションを大好きな村上さんのナビゲートで聴ける日が来るなんて。贅沢な放送でした!村上さんとone decade違う時代の音楽もまた素敵ですね。和田さんが傷ひとつなく保たれていたレコードを想像しながら聴きました。毎度放送の最後にある引用の言葉も楽しみにしているのですが、私は村上さんのファンで、和田さんのファンで、和田さんの奥様の平野レミさんのファンでもあるので、今回の最後のthey can’t take that away from meの和田さんの訳詩は、まるで天国から和田さんがレミさんに宛てた詩のように感じられて、ぐっときちゃいました。これからも放送を楽しみにしています。
――――放送のあとのトークで、レミさんは会場の皆さんに「あまり人のことを好きになっちゃだめよ。相手の人がいなくなるとつらいから」みたいなことをおっしゃっておられました。本当に仲がよかったんですね。
抹茶モナカ(47、男性、北海道)

いつも番組を楽しく聞いています。今回の和田誠さんのコレクションからの選曲企画は、追悼の感じもあり、もし自分が死んだ時、こんな風にコレクションからあれこれ偲んで貰えたら嬉しいな、と思いました。村上さんは孤立のイメージが強いけれど、深い付き合いの仲間がいて羨ましいとも思いました。村上さんのコレクションからの選曲ではなかったのが新鮮というか、気楽に聞けて、これはこれでありだと思いました。
――――僕はとくに「孤立している」わけではなく、いちおう普通に(比較的)健全な社会生活を送っています。ただ同業者とべたべたするのはあまり好きではないので、その結果、他業種の方々との付き合いが多くなっているかもしれません。安西水丸さんとか和田誠さんとか、さっぱりとしてとても気持ちの良い方々でした。

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 「世間」という言葉は、日本人独特の感覚らしい。World(世界)でもSociety(社会)でもなく、Seken(世間)。そう考えると、世間話というのはなんともラジオ的ですね。村上さんの「小確幸」な世間話をお気に入りの音楽付きで聴けるのは、梅雨の間のほっとする時間でした。Still Got the Blues、村上DJならでは選曲で泣けます。新型コロナで人と人のディスタンスができてしまった今、世界や社会が大きな力に揺さぶられている今、「世間話」や「小話」の大切さを痛感します。それにしても、昔の甲子園球場と海岸に行ってみたくなりますね。(エディターS)
  • 「村上の世間話」の第二弾です。村上さんの世間話はどれもくすっと笑える楽しいお話ばかりでした。村上さんの個人的なお話を聞くことで、ラジオ特有の親近感がより多く伝わる気がしています。いかにも「ラジオ」だなあと感じます。羊谷さんの久しぶりのご登場も聞いていて、ほっこりしました。(AD桜田)
  • 今年もヤクルトスワローズが好調ですね。ヤクルトファンと阪神ファンはシーズン序盤に調子がいいと総じて不安がります。村上さんも「絶対大丈夫」とは思えないようで、いまのところやや不安な面持ちです(構成ヒロコ)
  • まさか、村上春樹さんが駅前で横断歩道で交通整理の旗を振っていたとは! そうですね。人生経験で無駄になることはありません。僕も見習います(何を!( ´艸`))(GP 延江浩)
  • 村上春樹さんの新横浜駅の社会奉仕の話… ファンの人に話しかけられたけど、その人は春樹さんのことに気が付かなかった話… ヤクルトスワローズの監督になったらどんな声をかけるかの話… 中古レコード屋さんでレコードを値切る話… 春樹さんの意外な素顔が見えてくる、ちょっとクスっとする話は、暑くなりそうな夏の夜に、ライトビールを片手に聞きたいものです。(レオP)
  • 今回は村上さんの世間話パート2。徐々に周りでも世間話が戻ってきました。そして村上さんのこうしたラジオエッセイを楽しみにされてる方も多いのではと思います。何気ない話と音楽を楽しんでいただけたら嬉しいです。(キム兄)

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。