|
|
「さよならもいわずに」 上野顕太郎
ずしんとくる。ギャグ漫画家の上野顕太郎さんが奥さんを亡くされたことを留めた漫画作品。ひとりの男性が愛する女性を、ある日、突然、失ったことについてが描かれています。
なにか大切なものがあって、それを大切にしたくて日々を過ごし、そしていつの日か、それを誰かに伝えなければならないとしたら、僕はそのことを、どれだけ伝えることができるだろうか。
毎日を生きていることに、ひとつ意味を持たせるとしたら、愛するひとがいたことを、もしもそのひとがこの世界からいなくなってしまったとしても、一分一秒でも長く、伝えていくことなのかもしれない。それは直接的に誰かに伝える、ということではなくて、そのひとのことを想いながら生きていく、ということも含めて。
漫画家である作者の上野さんは、漫画家だからこそ、その業を注ぎ込んで、この作品を描いたのだと思います。表紙カバーのデザインの素晴らしさ含め、その表現の業のすべてに、そしてこの作品を描ききったという事実に、ものすごく励まされました。 |