朝吹真理子 新読書生活のすすめ
締めくくりの今回は歴史や本を愛する朝吹さん流のものの見方、考え方、
そして、本との付き合い方などをうかがいました。例えば歴史ある街にある
一本の道、もしくは身近な場所にある道。今その道に見える風景は、
今を生きる人の姿だけですが、歴史や時間を考えると、そこには
様々な人の姿や思いが交錯しています。そんなことを感じとったり
調べたりすることで、人は今に限らず様々な歴史の瞬間を
共有することができるのです。そんな道と同じ位置にあるのが、一冊の本。
一冊の本を手元に置いておくことで人は、一本の道のように
いつでもその道を通れるように、一冊の本といつでも出会うことができます。
例え今読まなくても1年後、3年後、もしくは10年後に読み、
その世界と出会うことができる。朝吹真理子さんが作家として目指しているのは、
そんな人に寄り添うことができる作品を生み出すこと。
その作品を読むことによって読者が自分の過去と向き合えたり、
自分では意識しなかったその心の新たな真実と出会えたり。本だけに限らず、
映画や舞台、そして一本の道の持つ物語だったり。
まさに「TIMELESS」な世界がそこにはあります。
丁寧に綴られた朝吹真理子さんの「TIMELESS」、その丁寧さこそ
朝吹作品の魅力であり、朝吹さんの芸術、文化、文学に対しての愛情。
3回のお話を通じて、そんな朝吹真理子さんの作家として生きる姿勢、
情熱に触れることができました。