半径3mの「世界観」ライナーノーツ
「世界観」はいつもの毎日を、今日という一日にしてくれる

またあのハイトーンボイスが聞こえる

朝がきた。
今は私の話をしたいからって壊す勢いで携帯のアラームをとめる。昨日みたニュースをみて朝ごはんを食べ、ださい制服に身を包み家を飛び出す。
タバコを吸った男を抜かし、顔見知りの後輩を無視し、ギリギリで地下鉄に乗り込む。行く先は暗くて何も見えないけど、毎日正しく時間通りに進んでくれる。次の駅を降りれば、もう少しで学校だ。

今年、あの子を追いかけるようにしてこの学校に入学した。
あの子が私の存在に気づいてくれるのならば。あの子と少しでも話せるのならば。その気持ちだけで何もかも頑張れた。

あの子に彼女がいることは知っていたけど

同じ高校に入れたら一緒に帰れるかな?手をつなげるかな?彼女と別れてくれるかな?私を好きになってくれるかな?

今となっては淡い初恋だった。あの子が彼女と別れた頃にはこの恋は冷めていた。
あの子の全てを知りたかったのに、あの子の手の感触を知ることはなかった。
なんてよくある話で笑えないよな

そんなことを思って坂を登ればもう見慣れたおんぼろ校舎。なんとなく授業を受ければ、学校の半分が終わる。キラキラしている彼女たちと見比べている自分に嫌気がさす昼休みはいつも長い。でもそばにいる友人とくだらない事をしているこの長い時間はとても愛おしい。長めのチャイムでこの時間は終わってしまう。なんとなく授業を受けて、なんとなく部活に行けば、もう帰りのチャイム。さっきの朝と同じ道をたどって、この日を振り出しに戻す。

一つだけ違うことは「世界観」が一緒だということぐらい。
「ぐらい」ほどの大きさで私に寄り添ってくれる。

「世界観」はいつもの毎日を今日という一日にしてくれる

この「バンド」に出会えて本当に良かった。
大好き。

もん子 15歳 神奈川県