イントロを改めて聴いた時、
わたしはこの曲が実はアルバムの大トリなのではないかと思った。
思い返すと、いつも半径3メートル内の距離にクリープハイプがいた。
私の世界の中に、いつもクリープハイプがいた。
好きな人ができたときは狂ったようにリバーシブルーを聴いていた。
破花を聴いて勉強のことで悩んでいたときに前に進もうと決意できた。
初めて行ったクリープハイプのライブでは、新曲を歌います、と前置きしてから愛の点滅を演奏してくれて、赤と黄と緑の3色に照らされ演奏するメンバーを今でも鮮明に思い出すことができる。
鬼が出る頃には、学校でもクリープハイプは話題になるバンドになっていた。
思い返すと、
嬉しいときも悲しいときも
怒ったときも寂しいときも
いつもいつもクリープハイプがいた。
人に言えないことも、
自分ではどうしようもないことも、
クリープハイプは全部受け止めてくれて、
私が吐き出しきれない感情を代わりに叫んでくれていた。
今回のアルバムもたくさんの感情が詰まっている。
相変わらず誰かに腹を立てたり
汚いものを見るような目でしか周りを見れなくなったり
無いに等しい可能性を信じてみたくなったり
恥ずかしいくらい情けなくなったり
誰かを羨ましくも嫉ましくも思ったり
下ばかりでなく上も向いてみたり
思い出してちょっと寂しくなったり
新しいことに挑戦していることもあるけど、
やっぱりどの曲もクリープハイプで、
クリープハイプにしか出せない感情がそこにはあって、
歌詞カードを見ながら、
何度も何度も頷きながら、
何でクリープハイプは
こんなに自分の感情に当てはまるのだろう
何でこんなに心に響くのだろう
そう思いながら聞いていた。
その中で、1曲だけ、他の曲とは違う、と思った曲がある。
このアルバムの最後の曲、バンド。
この曲だけは、優しく笑っていた。
今までの祐介の世界を、世界観の世界を、そしてクリープハイプの世界を話してくれた。
この曲を聴いていると
私は自分なりに
クリープハイプの曲がいつも自分のそばにいる理由がわかった気がした。
曲に合わせていろんな感情を持って、
嬉しかったり、悔しかったり、
いろんな経験をして、乗り越えて、
そうやって1番頑張って生きてきたのは
誰よりもこの4人。
そんな4人が演奏するから、
思ったことが包み隠さず伝わってくる。
4人が音楽にぶつける感情を
そのままわたしたちが受け取って
それぞれまた新たな世界観を作ってるんだ。
そうやってクリープハイプの世界が
どんどん広がっていくんだ。
なんていいアルバムなんだろう
なんていいバンドなんだろう
気付いたら涙が溢れていた。
そして、アルバム1曲目の手が流れ出した。
いつのまにかリピート再生にしていたらしい。
イントロを改めて聴いた時、わたしはこの曲が実はアルバムの大トリなのではないかと思った。
ギターが、ベースが、ドラムが、そして声が、まっすぐ前を見て音を飛ばしているように聞こえた。
前には未来がある。
未来に向かって駆け出す音がある。
たまには昔に返ってみることもあるけど、それでも未来を見つめて進み出す4人が頭に浮かぶ。
これからクリープハイプはどんな感情を得て、どんな曲を鳴らすのだろう、と思うと、
ワクワクして、涙はもう止まっていた。
いつまでもわたしの世界観の中にクリープハイプの曲がありますように。
智薪 18歳 滋賀県