微分積分も既読スルーの理由も制服を脱いだ先のことも2年前にいなくなった君のことも。
クリープハイプのことだって、本当はあたし何にも知らなかったんだ。
微分積分も既読スルーの理由も制服を脱いだ先のことも2年前にいなくなった君のことも。
クリープハイプのことだって、本当はあたし何にも知らなかったんだ。
出会ったときから、少しずつ少しずつ理解してきたつもりだった。荒くて、鋭くて、だからこそ魅力があって、息もつけないほど熱くて、苦しくなって、でも馬鹿みたいに繰り返して聴いてたのは14の夏だった。馬鹿みたいに子供だった。死ぬまで一生愛してくれる人がいつか現れると思ってた。
あれから、3年。
たった、3年。彼らは、もっと遠くに見える。ずっと高いところにいるように見えて、実は地下深くに沈んでいるようにも見える。あたしは、ずっと追いかけてきた。走った。置いて行かれないように。走った。息が切れるほどに。やっと捕まえたと思ったら、次の瞬間にはまた別の場所に、魚みたいだ。するりするりと逃げていく。逃げていくのに、彼らは残していく、ちゃんと。世界観。
わからない、と思った。
歌ってることも、声も、音も、彼らが言いたいことも、あたしには、わからないんだ、と思った。でも繰り返して聴いた。調子の悪いCDプレイヤーをばしばし叩きながら、夜中まで聴いた。あのときと同じだ。初めてクリープハイプを聴いた、あの夏。わからないからこそ知りたいんだ。共感しなくたって、同感じゃなくたって、音楽に関係ない。満足できないよ、まだまだ。だから、もっと聴いていたい。だから、もっと会いに行きたい。貪欲に生きたい。届かない気持ちも、すれ違うもどかしさも愛おしいと思えるまで、ずっとずっと追いかけようと思った。彼らは変わった。わたしも変わった。でも、彼らの音楽を聴いていたい、いつまでも。高校生が終わっても、バイト始めても、会社でクソみたいに怒られても、恋人に浮気されても、本当にすきな人ができても、ずっと、聴いていたい。だって、いつになったらちゃんと理解できるかわかんないしね。
これが、あたしの世界観とクリープハイプへの気持ちです。
通学電車より愛を込めて。
きいろいかえる 16歳 宮城県