2009年12月25日 金曜日 21時50分。
電車を降りた莉菜(りな)は、ふうっと吐いた息が白くなって消えていくのを、ぼんやりと見ていた。迎えに来るように悠希(ゆうき)にメールを送ったのは2分前。駅から自宅までは近いとはいえ、走っても5分はかかるだろう。それに、雪がこんなに積もっているのだ。おそらく、今家を出たばかりだろうから、もう少しかかるかもしれない。やっぱり悪かったかな、と一瞬思ったが、悠希は最近家に籠もってばかりいるから、たまには外に出たほうがいいだろうと済ました。
ひゅうっと冷たい風が吹き抜ける。寒さに身震いをして、腕をさする。
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