STRAIGHTENER Special Live Tour "ACOUSTIC" LIVE REPORT

LIVE REPORT

SCHOOL OF LOCK!リスナーには、正直言って、ストレイテナーはなんかノれるロックバンド、くらいにしか思っていない人が多いと思う。
確かに、かっこよくてノリもいいバンド、だけど、それだけが全てじゃない。
それを心から言いたい。それが証明されたライブに行ってきた。

Special Live Tour "ACOUSTIC"

ストレイテナーは私が最も多くライブに行っているバンドだが、アコースティックという形態は初めて。宮古島のイベントでやると聞いたとき、行きたくて仕方がなかったので今回このようなチャンスをいただけて本当に嬉しかった。

場所は渋谷のDUO MUSIC EXCHANGEというライブハウス。彼らが普段廻るツアーを考えると、非常に小さいハコである。入ると椅子が整然と並んでいて、私服の人が多くいつもとかなり違う雰囲気。

1月に発売されたシングルに収録された "Toneless Twilight" でライブは幕開け。 "TOWER" と "奇跡の街" が続いてきたとき、完全にアコースティックの世界に引き込まれた。選曲がまたいい。ライブ当日は彼らのニューアルバムの発売日であったが、新旧織り交ぜたセットリストは多くのファンを射抜いただろう。

"SIX DAY WONDER" は特によかった。原曲とは全く違う顔を見せた。聴きながら考えた。CDに入っているのも、いつものライブで聴くのも、こうしてアコースティックアレンジされたのも、全て "SIX DAY WONDER "だ。だとしたら結局音楽に完成形というものは存在しない、ということになる。そんなの当たり前だ、だからライブがあるのではないか、と言われたらそれまでなのだけれど、それでも改めてそれを実感させられた。音楽の本質に触れた気がした。

本編は、 "ネクサス" で終了。アコースティックバージョンがCD化されているので何度も聴いていたが、生の音に触れることで思わず感動して涙が出そうになった。アンコールの "MAGIC WORDS" は、始まった瞬間から手拍子が響き、メンバーもオーディエンスも笑顔の絶えない瞬間だった。

メンバーもいつもと違いリラックスした様子でしきりに客席に話しかけてきた。ストレイテナーのみなさん、喋ると実にゆるいのだ(笑)リズム隊がジャケットを着ているので2人を「ジャケッツ」と呼んでみたり、アンコールかからなかったら不安だからビール取りに行ってるってことにしてるんだ、などなど…。ライブ中、以前はMCはなし!くらいのライブをやっていただけあって新鮮だったし、いつもよりステージがぐっと近く感じた。逆にオーディエンスはいつもと逆で静かに聞いているだけ。いつもと正反対な光景がなんだか面白かった。

ストレイテナーのライブは、かっこいい。オーディエンスに自信満々に「いいだろう?」と訴えてくるようなライブだ。ライブという触媒を通じて化学変化した曲たちを、私たちは拳を挙げて迎える。でも今日みたいにステージと客席が同じ高さのようなアットホームなライブも、(あくまで私が思う)ストレイテナーらしさの一部だと思う。そのストレイテナーらしさ、というのは、音楽を純粋に愛して楽しむ態度、と言えば伝わるだろうか。大量消費的な音楽がまかり通っている時代の中で、自分たちの好きなことを作品に詰めこもうというスタンス(新作ではそれが顕著だと思う)を、そのままライブに表したようだと思った。それは曲をアコースティックアレンジにして演奏するってだけでそうかもしれないが、演奏中のメンバーのきらきらの笑顔が一番証明していたと思う。

音楽は音を楽しむと書く。ライブは音楽の表現の場のひとつであり、アーティストとオーディエンスが直にコミュニケーション出来る場所でもある。どちらも一方的にならないライブを実現させることのできるストレイテナーは、やっぱり最高なんだと確信した。

以前は私も前方ではしゃぐのが一番好きだった。ライブの醍醐味はそうだと思っていた。だけど、今は違う。ライブとは音を感じる場所だ。前に行かなくたって飛び跳ねなくたって、好きなように、全身で音を受け取ればいいんだ。

それをオーディエンスに提示したのが今回のライブだったんじゃないか、と勝手に解釈して、幸せな気持ちになった。

これからもストレイテナーが私の中の最高を更新し続けてくれることを期待します。

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