ケータイ・インターネットの歩き方(情報発信の仕方編)

インターネットの普及は、いつでも、どこでも、誰でも、気軽に情報発信することを可能にしました。スマートフォン(以下「スマホ」)やケータイを利用している全ての人が簡単に情報発信できるからこそ、情報を受け取る相手(=読み手)の気持ちを考えながら、正しく情報発信をする力を身につけることが大切です。
誰かを傷つけたり、読み手に誤解を与えたりするようでは、情報発信力不足。「誰に」「何を」「どうやって」発信すればいいのか、その際、どんなことに気をつけなければいけないのか等について、一緒にじっくり考えていきましょう。

1.「誰に」情報発信するか

 情報発信するときに忘れてはならないのは、読み手の状況や気持ちをふまえることです。友だちや家族、不特定の多くの人たちへの情報発信について考えてみましょう。

・仲の良い友だち1人に対して

親友とのメッセージでのやり取りように、読み手が仲の良い友だち1人だけの場合なら、いつものおしゃべりと同じような感覚で大丈夫。
ただし、あなたの都合のよいタイミングで発信しているわけですから、相手がすぐに確認したり、返信したりできない状況かもしれないということは常に意識しておきましょう。あなたにも、すぐに確認や返信ができないときがあるのと一緒です。

・仲の良い複数の友だちに対して

メッセージアプリなどで、仲の良い複数の友だちのグループに、一度に連絡をすることもありますよね。そんなときは、送る人“全員”が読むことを考えて、書く内容や言葉づかいに気を配るようにしましょう。たった一人でもあなたの言いたいことがうまく伝わらないと、みんなのコミュニケーションがギクシャクしてしまうこともあります。
なお、メッセージアプリなどでグループを登録する際に、お互いに友達の設定をしていない人をグループに含めてしまうと、友達のIDを勝手に知らせてしまうことになりますので、グループを設定する場合には十分注意をしましょう。
またメールで一斉に送信する場合は「BCC」を使って送信しましょう。「BCC」は、受け取った人には「送り先が見えない」送り方なので、メールアドレスを無断で教えてしまうというルール違反の問題は生じません。送り先がみんなに見える形で送られる「TO」や「CC」は、送り先の全員が、自分以外の宛先メールアドレスを全て知っているときに使いましょう。
電話番号やメールアドレスの変更などを知らせるメッセージや一斉メールなどを送る際にうっかりしがちです。くれぐれも気をつけましょう!

・家族に対して

家族とメッセージのやりとりやメールをする場合は、友だち以上に短い言葉でも通じる用事が多いと思います。でも、きちんと伝わらなければ無用な心配をかけてしまう可能性もあります。たとえ短い文章でも、分かりやすく丁寧に書くようにしましょう。例えば、電車が止まって帰りが遅くなりそうときは、今どこにいるのか、どういう状況なのか、誰かと一緒なのか一人なのか、といったことをしっかり連絡しましょう。「電車、止まっちゃった~(T_T)」だけでは、状況がよく分からず心配がつのります。家族を不安にさせない連絡を心がけましょう。

・不特定多数に対して

友だちでも家族でもなく、不特定多数の人に見たり読んだりしてほしくて情報発信する場合、メッセージやメールではなくSNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを使うことがあります。
この場合に気をつけたいのは、たとえパスワードで鍵がかかっていても、友だちや友だちの友だちなどのメンバー限定であっても、実際には公開されているWebサイトとあまり変わりがないと思っておくべきだということです。中身を他のWebサイトにコピーされるという可能性は必ずあるのです。良い人、悪い人、親切な人、意地悪な人、表面的には良い人でも見えないところで悪用しようとしている人など、いろいろな人が見る可能性があることを意識しなければいけません。「この内容、万が一コピーされてばらまかれたとしても大丈夫?」と公開前に読み返すことも、インターネット上での情報発信では大切なことなのです。

2.「何を」「どうやって」情報発信するか

「誰に」情報発信するかでは、情報を届ける相手が「誰」なのかという視点から、相手の状況や気持ち、ネットの向こう側にいる読み手への用心など、情報発信する際に気をつけたい点をお話ししました。次は、「何を」「どうやって」情報発信するかについて、やってはいけない情報発信の例文をもとに一緒に考えてみましょう。

3.インターネット上でのお金の支払い方

先程の「スタンプを100円で買う」という話を思い出してください。スタンプを買うとき、その100円はどうやってサービス提供者に支払えばよいのでしょうか。
コンビニで100円のおにぎりを買うときは、お店の人に100円の現金を渡せばおにぎりが買えます。でも、インターネットでは現金をそのままサービス提供者に渡すことができません。

・自分のことをSNSなどのマイページ(プロフィール)で

自分自身のこと(自己紹介など)を情報発信する場合、よくSNSなどのマイページ(プロフィール)が利用されます。SNSなどのマイページやプロフィール欄には、個人や住所を特定できる情報を書かないのが原則です。
次の例には本名(名前)やメールアドレス、電話番号、住所といった直接的な個人情報は書かれていませんが、あまりよい発信内容とはいえません。何がどうダメなのでしょう?

ニックネーム:あいこりん
性別:女性
アイドル大好きな○○中学2年 (´,,・ω・,,`)♡♡♡
ファミレス △△店や ファストフード ×××駅前店に出没
同じクラスのSAKI、B組のAYAKA、らぶ☆
(プリクラ等の顔写真)

誰もが気づくのは顔写真です。それ以外にも、本名が予測できるニックネーム、学校名、よく行く場所、クラスメイトの名前などが並んでいます。これらの情報があれば、学校やお店の近くで待ち伏せをし、顔を確認して「あいこちゃん?B組のあやかちゃんがケガをして動けないんだけど、ちょっと来てくれる?」という風に声をかけることも可能です。個人情報を悪用する人たちの中には、連絡先を売買して儲ける人だけでなく、その人に危害を加えようとする人もいるのですから、あなた自身を守るためには、公開前に読み返して「知らない人でもその情報だけであなたに声をかけられる」のかどうか確認するクセをつけましょう。危ないと感じたら書き直すことや削除することも重要です。
例えば趣味や読んでいる本、好きな食べ物やタレント、よく見るテレビ番組、将来の夢など、個人を特定できない情報であなたのことを表現するのなら大丈夫です。

・学校や友だちのことをメッセージやメールで

仲の良い友だちとメールでやりとりする場合は、必ずタイトル(件名)を付けましょう。またメッセージやメールで、何を伝えたいかがちゃんと分かるようにしましょう。相手への思いやりさえ忘れなければ自由にやりとりしていいのですが、こんな内容はいけません。

ねぇねぇ、英語の○○先生ってE也をひいきしてる気がしない?
E也ってハーフでイケメンだし、○○先生の好みだったりして☆(^ε^)
E也も英語得意だから、当てられると喜んでるし、まじむかつく!

先生や友だちの悪口や陰口、誰かを困らせたりおとしめたりするような「うわさ話」や「作り話」などは書かないようにしましょう。これは、メッセージやメールに限らず全てのネットを使った情報発信で守りたいことです。特にメッセージやメールは、相手が消さない限り送った文章が記録としてずっと残り、簡単にコピーして転送、拡散ができる、という点で注意が必要です。

・日常のできごとをSNSで

身近に起きたこと、感じたことなどを、日記のように書いて情報発信するのに適しているSNS。学校や塾でのこと、友だちのことなどを書くことも多いと思いますが、学校や塾や人の名前のほか、個人が特定できる情報や悪口、うわさ話などを書かないように情報発信するのは、上記に記載したとおりです。たとえふざけ半分で書いたとしても、それがきっかけで先生や友だちが傷ついたり、いじめの原因につながったりするかもしれません。誰かに迷惑をかけないか、誰にもいやな思いをさせることはないかについて、SNSで情報発信するときには考えなければいけません。
ちょっとしたいたずら心で書いたことであっても、それが事件やトラブルにつながれば、あなたは責任を問われます。例えば・・・

ネットで調べ物をしていたら、爆弾の作り方を発見っ!
今度の日曜日、材料を買い出しに行って○○公園で実験するヨ。。
興味のある人、お昼過ぎに○○公園に集まれ~(^^)\

これはいたずら心で書いた単なるたとえですが、読んだ人がリンクを貼ったり転送したりする可能性や、警察に通報する可能性もあります。また、パスワードで鍵がかけてあるSNSや許可した人しか読めないものでも、心配した友だちが先生やお母さんに話して大騒ぎになるかもしれません。たとえ匿名でも、事件性が高ければ警察は誰が書いたかを特定します。そのため、実際にやるつもりがなくても、こういった愉快犯的な書き込みや犯罪予告で逮捕されたり補導されたりするケースも少なくないのです。「みんなが見ている」「コピーや転載ができる」ことを肝に銘じて、誰に読まれても問題のない内容や書き方を心がけましょう。

・思ったこと、感じたことをつぶやきで

毎日の生活の中で思ったことをつぶやいて、気軽に短文を投稿できるWebサイトやアプリケーションを使う人が増えましたが、常に「誰かに見られている・読まれている」ということを意識しなければいけません。
飲酒や喫煙などを「大人びてカッコイイこと」のように発信する人もいれば、万引きやカンニングなどを自慢げに発信する人もいます。これらはそもそもやってはいけないことですから、そのような情報を発信してしまった結果、停学処分や大会・試合への出場停止処分といった、取り返しがつかない事態を招いてしまうおそれもあります。

○月×日
親戚みんな集まって、おじいちゃんのお祝いなう。
みんなが飲むから、私もビールで乾杯♪
やっぱり苦くてあんまおいしくなかったけど・・・ww

本当は“グラスを持って写真を撮っただけ”だったとしても「飲んだ」と書いてしまえばアウト。「飲んだ」と書かなくても、このような写真があれば必ず誤解されるでしょう。
つぶやきは、あまりの気軽さに「言わなければよかった」と後悔することをうっかり書いてしまいがち。「他人に迷惑をかけること」「他人に嫌な思いをさせること」を書かないのがインターネットのお行儀(モラル)ですが、「自分がダメージを受けること」にならないよう気をつけるのも、重要なポイントです。

3.表現を工夫する

 「誰に」「何を」「どうやって」情報発信するかを理解できたら、次は表現方法についてです。相手に直接届けるメッセージやメールと、インターネット上で読んでもらうSNS・つぶやきなどでは、記載する内容は異なりますが、伝えたいことが「誤解されることなく」「正しく」読み手に伝わってほしいという思いは一緒です。では、どんな工夫をすればよいのか、何に気をつけたらよいのかについて考えてみましょう。

・見やすい・読みやすい

メッセージやメール、SNSへの書き込みでも、ダラダラとつながった長い文章は見た目が悪いだけでなく、とても読みにくく、大事なことが埋もれてしまって伝わりにくくなります。 長くなりそうな場合は、文末で改行したり、行間をあけたりして見た目を整えるだけで、かなり読みやすくなります。自分で読み返してみて、見やすく読みやすい体裁になっているか確認し、文章が読みづらい場合は書き方を工夫してみましょう。

・伝わりやすい

どんな文章でも「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どうしたのか」といったように5W1Hを意識して書くと、あなたのメッセージが伝わりやすくなります。また、先に結論をはっきりと書いて、次にその理由や背景を書くようにすることも、言いたいことが伝わりやすい情報発信方法と言えます。
あなたの個人的な考えや予想、あるいは想像を伝えたいときは、「私は○○だと思う」と書いたり、「あくまでも個人的な意見だけど」と断り書きを入れたりして、それが「一般論ではなく発信者の見解」だということがきちんと伝わるようにしましょう。

・分かりやすい

読んだり見たりした相手にあなたからの情報を理解してもらうには、分かりやすい内容でないと困ります。うまく情報が伝わらず、ほめたつもりが逆に受け取られてしまったり、冗談のつもりが冗談で伝わらなかったりする場合があるからです。あなたが分かりにくい情報をもらったら困るように、相手もよく分からない情報をもらったら判断に困ります。短すぎる言葉、主語や述語が混乱するほどの長文(例:句読点で延々つながった長い文章)等は避け、意味が分かりにくい言葉や、2通りにも3通りにも受け取れる表現を使ったりしないように心がけましょう。
また、相手が仲の良い友だちの場合は、文字だけでは伝わらない気持ちを「スタンプ」や「絵文字」、「顔文字」を使って表すことも効果的かもしれません。仲の良い友だちだから短い言葉でも分かるだろうと思って送ってしまったメールが、トラブルの原因になることもあります。また同じ言葉でもいくつかの意味があり、相手の受け取り方によっては誤解が生じることもありますので、親しい仲でも油断は禁物、言葉遣いに気をつけましょう。

・知らない人や目上の人に対しての言葉づかいや気配り

メッセージやメール、SNSへのコメントなどで誰かに質問するときもあるでしょう。相手が良く知らない人や目上の人の場合、丁寧な言葉づかいで文章を書きましょう。例えば調べ学習の問い合わせをする際は、「はじめまして。私は中学○年生の○○といいます。今、学校で××について調べています。お忙しいところ申し訳ありませんが、いくつかお聞きしたいことがあるので・・・」と言ったような書き出しにするとよいでしょう。学年を書くのは、相手が、どの程度詳しく話せばいいかを判断するのに参考になるからです。こういう、ちょっとした気配りも大切です。
また、あなたの都合で問い合わせをしているのですから、返事がなかなか来なくても待つようにしましょう。期限があるなら「○月○日の×時ごろまでにお返事をいただけるとうれしいです。」と書くのが礼儀です。それまでに返事が来ないようであれば別の手段を考えましょう。これも見えない相手への気配りです。SNSなどの場合、きちんとした丁寧な文章で書けば、親切な読者の人が代わりにアドバイスしてくれるかもしれません。

4.どの機能を使って情報を伝えるか

インターネットでは、スマホやケータイの多彩で便利な機能を使って、さまざまな情報を発信することができます。ここでは、いくつかの機能を使うときに注意することについて考えてみましょう。

・文字で伝える場合

文字で伝えたいときには、メッセージやメール、SNSなどへの書き込みをすると思います。文字だけでは感情や真意が伝わりにくいこともありますから、文章表現を工夫しましょう。絵文字や顔文字で気持ちを伝えることもよいでしょう。
書き込みをする場合は、不特定多数の人に見られることを意識して、複数の意味に取られないように十分に内容・表現・言葉づかいに気をつけることも忘れてはいけません。

・写真で伝える場合

写真で伝えたいときには、メッセージやメール、SNS、つぶやきなど、いくつもの方法がありますが、いずれにしても写真の中身に気をつけましょう。たとえ一緒に写っている友だちに許可をもらっていたとしても、一度誰かに送ったりSNSなどに載せたりした写真は、取り戻すことも無かったことにすることもできません。データは簡単にコピーや転送・転載ができるので、十分に気をつけましょう。
また、レストランなどで料理の写真を撮っている人をよく見かけますが、本来、許可なく撮影するのはマナーに反する行為です。お店に並んでいる商品を無断で撮影しようとして、店員さんに叱られた経験を持つ人はいませんか。「撮ってもいいですか?」「ネットで紹介してもいいですか?」とお店の人に声をかける、シャッター音が耳障りになるような静かな場所では撮影を遠慮するなどの心づかいが大切です。

・文字と写真を組み合わせて伝える場合

当然、文字で伝える場合と写真で伝える場合の両方で記載した内容について気をつける必要があります。文字情報と写真情報が合わさると、より具体的で分かりやすくなる半面、『2.何をどうやって発信するか』でもお話したように「うっかり」がトラブルや危険につながる可能性も大きくなります。
文章と写真の中身をチェックすると共に、文字だけにしたほうがよいのか、写真も一緒のほうがよいのか、しっかり考えてから情報発信するようにしましょう。

・動画で伝える場合

動画をメッセージやメール、SNSに投稿する際は、写真以上に中身に気をつけましょう。動画は写真よりもさらに様子や状況が相手に伝わりやすくなるので、良い内容なら問題ないですが、悪い内容なら取り返しのつかないことになってしまいます。たとえ自分たちが映した動画でなくても一緒です。インターネットで見つけた残虐な動画を友だちに送ってしまい、それを見た友だちがショックで精神的なダメージを負ってしまったケースも実際にあります。くれぐれも、注意してください。
また、人気の動画投稿サイトに投稿するときにも、映っている人はみんな投稿することをOKしているのか、投稿しても問題ない内容なのか、誰かに迷惑をかけたり嫌な思いをさせたりしないか、著作権などの権利は大丈夫なのか、といったことを十分に考えてから投稿しましょう。(詳しくは、ケータイ・インターネットの歩き方3「著作権編」をご覧下さい。)

5.最後に

「個人情報をむやみに知らせない」

インターネットを利用すれば、いつでも、どこでも、誰でも簡単に情報を発信することができます。でも、あなたの伝えたいことを相手に上手に伝えるためには、これまで学んできたように、相手の状況を踏まえ、何をどのように発信するかを考えることがとても大切です。またメッセージやメールを書いたり、SNSに投稿したりするときだけでなく、そのようなメッセージやメール、投稿を読むときにも、相手がどのような意味で書いているのか、書いた側の気持ちを考えて読むことも大切です。安易に考え早合点してしまい、悪意のある返信や投稿をしてしまうと、後で取り返しのつかないトラブルになったり、いじめにつながったりしますので、十分に注意しましょう。
スマホが登場して、より便利に、より幅広い用途に活用できるようになったインターネット。安全に賢く活用できるか、その逆になってしまうかは、あなた次第です。これからもインターネットで相手との人間関係を広めたり深めたりしていけるように、人生のプラスに使えるように、「情報発信の仕方編」で学んだことを実践していってください。

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