そのひと時を大切に
この年に10年先を見越したプロジェクト発足する。
「30年、奏活動を続けさせていただいて。ふとね、これからの私はね。一体どういうふうに何に向かって進んでいくんだって考えたんですね。ピアニスト仲道郁代は一体何なのかということをこれからの10年で見つけたいと思ってって考えたのが仲道郁代the road to2027というリサイタルのシリーズなんです」
春のシリーズ、秋のシリーズと2つシリーズがあり、
全部で20回のコンサートが組まれている。
2027年は演奏活動40周年でもあり、ベートーヴェン没後200年にもなるという。
「ずっと研究して続けてきたそのベートーヴェンを核としたシリーズ。ベートーヴェンの音楽の哲学的な意味をポストプレイベートーヴェンの作曲家の作品を取り入れながら演奏してくシリーズと秋はピアノの魅力とかピアニズムの魅力を開拓していくシリーズ、2本柱となっています」
ベートーヴェンに関してはベートーヴェン研究でも知られた
作曲家の諸井誠と徹底的に解釈に取り組んだ。
「もう亡くなられて長くなられたのですが、楽譜ってありますでしょ。楽譜って音符という記号で描かれているじゃないですか?それを音にするんですけど、どう読むのか?その記号を。ということの読み方を徹底的に教えていただきましたね。ド・ソって書いてあったらド・ソは単なるド・ソという音じゃなくて、ド・ソに意味があるのね。哲学のようになんとか何である。なんとかであるからして、ゆえになんとかである。みたいな形で構成されているので。だから、説得力があるの。音楽ってただただ、音が連なってるんじゃなくて、私たちの無意識の中にねちゃんとこう影響を与えるように技があるんですよ。作曲の作品の中には。
でその技をどうやって読み解くのかということをそのベートーヴェンを使って徹底的に学びました」
仲道郁代は人生を振り返りこう語る。
「私ね、今年還暦という年になったんですね。なんか、還暦っていうと感慨深いんですけれども。こんなにね色んな機会をいただいて幸せだったなと思うと同時にやっぱりその機会の中でね、本当に至らない自分がいたなとか、本当に恥ずかしかったなと思うこともいっぱいあるんですけれども、そんなことも全部踏まえてね。あの、これからね人生のひと時、ひと時、その時、その時を大切にあの過ごしていきたいなと今思っています」
仲道郁代からリスナーへのエール。
「男性とか女性とね、なかなかあのどう分けるのかとか色々ありますけれども、 やっぱり生活の中でこんな風にしたらもっと素敵じゃないかなとか思えることがあった時にね。細やかにそれを実現していきたいなと思えたら素敵だなと思います。それにはやっぱり、だんだんエネルギーもねいりますけど、なんかちいさなことから楽しめるということが、私は大切にしたいなと思っています」