岩波文庫の重厚な面持ちにだまされることなかれ!とってもコミカルで思わず吹き出してしまうシーンいっぱいの作品です。例えば「雁の話」の、よぼよぼの老人が実は自分は偉い武将なのだと語りだすシーン。告白を聞いて雁一同恐れ多く平伏しているのかと思いきや、実は「は、話長いっ!」「早く開放してくれ〜」と思いながら聞いていたという描写が笑えます。こういうこと、よくありますよね。目上の人が突然自分語りを初めてしまい、真剣に聞きつつも、「早く終わってくれー」と心のなかで念じていること。戦前の、しかも道徳的とも思えるお話なので、現代に生きる私たちにも通じるユーモア満載なのは意外でした。他のお話にも笑いがいたるところに潜んでいます。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!)
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