「ミリアムじゃない」・・・文中の少女の言葉を読み上げた小川さんの声が強く耳に残っています。じゃない、というのは、ではない、ではなくて、何を当たり前のことを言っているの?のニュアンスで、得体の知れない少女の不気味さが際立つひとことなのですが、小川さんのこういうトーンの朗読がそれはもうたまらないのですよ。ほのぼのとした絵本を読むときの日向のようなあたたかさも大好き、でも思わずごくりと唾を飲むようなシーンを読むときにも強烈に惹きつけられます。カポーティは、登場人物を形成している鬱々とした何かや、そこに漂う仄暗い空気を見事に美しく手に取るように描写していて、私たちは瞬く間にその世界に連れていかれてしまいます。それを小川さんが読む。。。二人きりのはずのスタジオに、シルバーのロングヘアの少女が紛れ込んでいると錯覚しそうな収録でした。
(アシスタント:小山ジャネット愛子/オフィシャルブログはこちら) |