いくらかわいいとはいえ、自分がこもって執筆活動に励んでいる茶屋に押しかけてきた弟子(太宰)に、隣室での滞在を許可するとは・・・。あの優しい小川さんでも「書く時はなるべく周りに知り合いはいて欲しくない」というぐらいですから、井伏鱒二、とてつもなく面倒見の良い人間だったようです。そんな文豪ふたりの微笑ましい関係も垣間見えるこの短編。さりげなく井伏が「放屁なされた」シーンでは思わず目が止まってしまいましたが、『富嶽百景』が世に出たあと井伏から太宰に「あの時断じて放屁してない」という抗議?訂正?の手紙が届いたんだとか。優しい井伏もそこだけは譲れなかった模様です。
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