「ここに“胡桃”を登場させるのが、この作品の絶妙なところです」。これが他の何かだったらここまでの名短編になっていなかったでしょう、と小川さん。確かに胡桃でなく卵やみかんだったら…永井龍男のセンスに驚くばかりです。それにしても教科書に掲載されてきた作品を大人になって改めて読むと、思い出や、あの頃とは違う感情が湧き出して本当に楽しいですね。ちなみに小川さんは大江健三郎さんの『鳥』という作品が教科書に出てきた時、その難解さに「わからないことに対面している自分が、大人になった感じがした」そうで、純文学への目覚めの一作となったのだとか。教科書が作家・小川洋子誕生の一端を担っていたとは!世の中どこにキッカケがあるかわかりませんね。
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