戦前、夫になる人の写真だけを頼りに渡米した、日本人女性たちの声・声・声。主人公が1人(=点)ではなく、無数の主人公たちの声が面となり、時代に翻弄された写真花嫁の真の姿を表現している、珍しいスタイルの物語です。小川さんも「よくこのアイディアを思いつきましたよね!」と感心していました。今を生きる私たちには想像できないような悲惨な出来事が、次々写真花嫁に襲いかかりますが、ごくたまにお産を無料で行ってくれる医師や、遺産を残してくれる親切な人も登場。読者としては束の間ホッとするのですが、その“ホッ”がなんと少ないこと!読み終えると改めて、時代の残酷さを感じる物語です。
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