『春は馬車に乗って』素敵なタイトルですねえ。季節が馬車に乗ってやって来るなら夏でも秋でも冬でもない、春だろうと思います。
春を待つウキウキと楽しげなお話かと思いきや、病床の妻と看病する夫のやりとり、いやバトルがメインの短編。
読む人はやはり自分に置き換えてこの夫婦を眺めるのでしょうか。女性は、夫はもっと気の利いたことを言えばいいのに、と憤ったり、男性は、なぜ女は外での男の仕事を理解しないのか、などとため息をついたりして。
短い期間のみの描写で、それ以前の暮らしには触れていませんが、鳥の臓物、ダリヤ、etc…何気ないアイテムが長い夫婦の歴史を物語ることもできるのですね。実は周囲を見渡してみたらそんな例がいくつもあるかもしれません。
(アシスタント:小山ジャネット愛子)
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