2016年3月20日

横光利一
『春は馬車に乗って』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

戦前、川端康成とともに「新感覚派」として活躍した横光利一。学校でも習う作家のひとりですが、実際に小説を読んだことがある人は意外と少ないのかもしれません。横光利一の小説をはじめて読む、という方におすすめの作品のひとつが、今回取り上げた短編小説「春は馬車に乗って」。小川洋子さんのお気に入りで、はじめて読んだのは大学生の時。タイトルのイメージとあまりにも違う内容に驚き、思わず他の人にもすすめたくなったそうです。物語の舞台は海辺の町。主人公の妻は1年ほど前から胸を患い、彼は看病を続けています。妻が食べたがる新鮮な「鳥の臓物」を探しに出かけ、妻の枕元に並べていく。ここが特に小川さんのお気に入りの場面です。

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