尾崎紅葉の『金色夜叉』を買ってはみたものの、現代語訳がついていないととても読めない文体を見て、そっと本を閉じた経験のある私。その『金色夜叉』や樋口一葉の『たけくらべ』と同じ時代に生み出された文学なのに藤村の詩は読める!と、まず言葉の新しさに驚きました。藤村自ら「この詩抄は青春の形見」と表現しているように、彼の青春が丸ごと凝縮されたような一冊。ガツンと衝撃を受ける詩というより、もの悲しさとともに心に染みわたるような詩の数々に、小川さんと「藤村の詩は日本人の気質にあっていますねぇ」としみじみしてしまいました。いつか千曲川の川辺に立って、藤村と同じ風景を味わってみたいものです。
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