2013年02月17日

島崎藤村
『藤村詩抄』
 (岩波文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治に生まれ、大正・昭和と活躍した作家・島崎藤村。彼の作品というとまず浮かぶのが「破戒」や「夜明け前」など日本文学史に残る小説です。しかしそれ以前から数多くの詩を発表。日本における近代詩の母。詩の新しい道を切り開いた人物だと言われています。学校でも習うのが「千曲川旅情の歌」。明治34年に発行された藤村の詩集「落梅集」に収められています。「小諸なる古城のほとり」ではじまる詩。学生の頃、声に出して読んでみた頃のことを思い出します。なぜか感情を揺さぶられるけれど、その理由はわからない。あらためて今、読んでも自然と憂いてくる。発表から100年以上たった今も、人の心に訴えてくる詩です。

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