なぜ「朗読者」というタイトルなのか。物語の始まりからすぐその理由は明らかになるのですが、読み進めるうちに、もう一つ、また一つ、タイトルにこめられた深ぁい意味が明らかになっていきます。他にも『アレはコレの伏線だったのね!』と驚くことが多々あり、小川さんは『シュリンクは、あらかじめ全て緻密に設計して、それから書き始めるタイプの作家なんですね』と指摘されていました。ところで小川さんご自身はというと・・・『とにかく書き始めてみるタイプの作家』だそうですよ。(アシスタント:藤丸由華)
BOOK OF LOVE / トレイシー・ソーン この「愛の本」という曲には「あなたが本を読んでくれるときが大好き」という一説が出てきます。ハンナがミヒャエルにベッドの中で本を読んでもらうシーンに重ねて。エブリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンの新作「OUT OF THE WOODS」より。
風に吹かれて / ボブ・ディラン 物語の後半は1960年代半ば、主人公「ミヒャエル」はこの時代の大学生。学生運動が盛んだった当時、多くの若者に支持された曲です。「何回弾丸の雨がふったなら、武器は永遠に禁止されるのか、そのこたえは友達よ、風に舞っている」という歌詞です。「朗読者」の読後感と重なります。「そして、ただひとつ確かなのは、ミヒャエルの心にハンナは残り続けるということです」と小川さん。
私の何を知っているの / ジュリアン・ワーディング ドイツ文学ですのでドイツ語の曲をお送りしました。誰にも言えない秘密を抱え、本を杖にたちあがる主人公ハンナ。「私の何を知っているの、光の面しか知らないくせに」というこの曲は、まるで彼女の気持ちのようです。ドイツの人気シンガー1994年のアルバムから。