30ページにも満たない短編ですが、園遊会の1日で少女が大人になる、まさにその瞬間を捉えた作品です。階級意識が強い20世紀初頭、母親も姉妹も近所の労働者に起きた不幸な出来事に、まったく関心を示しませんが、主人公のローラだけはその姿勢に疑問を持ち、健全な思考のもと、物事を見ています。小川さんが『物語に出てくる賢い子、どうしても女の子は鼻について男の子を贔屓してしまうんですが、このローラの賢さにはとても好感がもてるんです』とおっしゃるとおり、読み終えた後『彼女は素敵な大人になったに違いない』そんないい予感が持てる物語です。(アシスタント:藤丸由華) |