山口「はい!!授業を始めますから、席に着いて下さい!マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。Facebookをやっている人は、一度“いいね!”を押すのを止めなさい。LINEをしている生徒は一度、既読スルーしなさい。ラジオ以外でスマホをいじっている生徒は、機内モードにしなさい!……ふふふ(笑)。授業が始まりますよ!」
「……ということで!3ヶ月の休講を経て、我が、サカナLOCKS! 木曜日の夜に帰ってきましたー!わーい!生徒の皆さん、お久しぶりでございます!サカナLOCKS!の講師、サカナクションの山口一郎と申します。初めましての方も、3ヶ月という月日が経てばいらっしゃるのではないかと思いますけど、皆さん、元気にしていましたか?……お?なんか、今舌打ちが聞こえたぞ?まさか、KANA-BOON LOCKS!の方が良かった!とか思っているヤツの心の舌打ちじゃないのか、それは!」
KANA-BOON「し、失礼します……!」
山口「……お?なんだ?」
谷口「あの、先輩、お久しぶりです……!KANA-BOONです。あのー……本当に、すいませんでした(苦笑)。」
KANA-BOON「すいません、本当に……。」
谷口「でも、おかげさまで、3ヶ月、無事に教育実習が終わりまして、体育講師という形で授業をやらせていただけることになりまして……よかったら、先輩も一緒に……。遊びにきてください。一緒に体育の授業をやれたらと思っています。あの……一郎さんは、すごくアクティブだと伺ってますので……(笑)。はい!これからもよろしくお願いします!失礼しましたー!」
KANA-BOON「お願いします!失礼しました!」
山口「……なるほどな。教育実習生から講師になったんだな。……いわゆる、出世だ。この……20代そこそこの若いバンドが、ドンドン……先生みたいな中堅バンドを……押しのけていくその様を、今先生は、このサカナLOCKS!という授業を経て体感しているわけだ!(笑)まあ、でもね、前回のアルバムも素晴らしいアルバムだったと思います。今の若い子たちの気持ちが代弁されていて。真面目に頑張っているんだなっていうのを先生は感じ取れましたので。水曜日、頑張っていただきたいと思います。……ただ、木曜日の僕の授業に何かをパスしてくるみたいなことはもうやめてくれ(笑)。先生、ちょっとそういうの苦手だからな(苦笑)。水曜日は水曜日で頑張っていただきたい。先生は木曜日で頑張るのでね(笑)。……では、黒板書きますよ、久しぶりに。」
「今夜はサカナLOCKS!が休講だった3ヶ月の間の出来事を15分で話していきたいと思います!もう、久々の授業なので、先生は興奮状態にある(笑)。エサを目の前にした犬みたいになっていましたけど(笑)。ここからはしっかり落ち着いて授業を進めていけたらと思っています。まずは何と言ってもこの3ヶ月の間……
『全国ツアーをしていたぞ!』
……去年10月から始まった、SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour" を、1月から3月もずっと全国を細かく回っておりました。今回は、アリーナツアーで武道館とか大きいところでやったあと、ホールツアーをやりました。ホールツアーは席がある、市民会館とかそういうところで行ないます。細かく回っていくので、大きいところから小さいところへ演出の変化があったのが自分たち的にも新鮮でしたし、先生はひとつ気づいた事があるぞ。ホールツアーでしっかりとしたライブが出来たら、ライブハウスがない町でも、市民会館とか、町内会館は絶対にあるでしょう。そういうところでライブができるってことは、全国を細かく回れるんだと。だから、次は全都道府県を回るライブとかやりたいな。……45才くらいで(笑)。でも、ホールツアーでライブができるようになるっていうことは、バンドとして重要な事だなと思いましたね。ライブハウスではずっとやってきたので、そこでの演出やライブっていうのには自信がありますけど、ホールで今回自信がつけられたのはすごくよかったなと思っています。」
『そして、台湾でもライブをやってきたぞー!』
「サカナクション、台湾に行ってきましたよ。台湾は、J-POPとかJ-ROCKを聞く層がいるんですよ。それに、台湾の人たちは日本語をしゃべれる人がすごく多い。そして日本人にすごく親切なんですね。なので、ライブをやっていても楽しかったし、みんなすごくコミュニケーションを取ろうとしてくれましたね。みんな大きなフラッグを作ってくれて、"サカナクション いらっしゃい!" みたいなものをプレゼントしてくれたりとか。すごく友好的だったし、黄色い声援が多かったね。僕が、曲が終わって熱くなったからジャケットをパッと脱いだら、それだけで「キャー!」みたいな(笑)。なんかね、[Alexandros]先生みたいな黄色い声援を初めて浴びましたね。……いい気分でしたけど(笑)。それだけ文化が違うんだなって思いましたし、また行きたいなと思いましたしね。次のツアーでまた、台湾は必ず行きたいなと思ったし、別のアジアの国にも行ってみたいなと思いましたよ。」
『日本アカデミー賞 最優秀音楽賞を受賞したぞー! 』
「この3ヶ月間で、映画『バクマン。』の劇中音楽を担当した我がサカナクションは、日本アカデミー賞 最優秀音楽賞を無事受賞させていただきました!授賞式の日はね、先生たちはライブだったんですよ、札幌で。受賞した瞬間が映像でアップされていましたね。電話で対応だったんですよ。ライブ会場の楽屋の固定電話の受話器を僕が持って、周りにメンバーが座って待っていて、受賞するかしないか……みたいな。ドキドキですよ。ライブ本番直前ですよ?で、受賞が決まって電話が来た瞬間に、みんな、うわー!みたいな。あの、顔パンパンの江島先生が、泣いてましたね(笑)。目が潤んでた。でも、そのくらい感動的な瞬間でした。1年間、本当に『バクマン。』の映画音楽しかやってこなかったのでね。それが実って良かったし、映画音楽をやるときには、せっかくならアカデミー賞を狙おうよ、とメンバーと話し合っていたんですよ。それが現実化したので、本当に興奮しました。そして……なんと、この手元に、日本アカデミー賞のトロフィーがあります!」
「はい、きたー!……これはまず、賞状ね。これはね、日本アカデミー賞をとった人しかもらえない賞状だぞ!そして、ここにありますのが、日本アカデミー賞 最優秀音楽賞のトロフィーでございます!タッタラー!これは、流政之さんっていう長崎県の彫刻家の方がデザインしたものなんですけど、僕は流政之さんの大ファンだったんです。で、流さんの彫刻が欲しいなと思っていたら、アカデミー賞のトロフィーで頂けたという……。でも、これは事務所の誰でも盗める場所に置いてありますよ(笑)。誰でも出入り可能な場所に置いてあるのでね。いつか持っていかれちゃうんじゃないかと思いますけど(笑)。これをいただくのに、(草刈)愛美ちゃんは妊娠してお腹がポンポコリンになりながら頑張ってくれていましたし、本当に受賞できてよかったです。ただ、受賞した事によって、責任も増したと思うんですよ。その責任をちゃんと背負ってこれからも精進していきたいなと、サカナクション一同、思っております。」
「……すごいね、これ(トロフィー)。TOKYO FMに初めてきたんじゃないですか?(笑) これはもう、サカナLOCKS!は他の曜日とは違う格をひとつ手に入れましたよ(笑)。はっはー。そして、サカナクション先生は、この3ヶ月の間に……
『資生堂のANESSA 新CMの音楽を担当』して、
『河瀬直美監督の映画『SEED』の音楽を担当』して、あと……、
『他局でラジオもやっていたぞー!』(笑)
……そう。ANESSAのCMの音楽をサカナクション先生は担当しました。詳しい事はまた説明したいんですけど。ANESSAのCMの打合わせをしていた時、先生は日焼けして真っ黒だったんですよ。真っ黒な状態で日焼け止めの打合わせをしたので、本当に申し訳ない気持ちになりましたけどね(苦笑)。あと、河瀬直美監督の『SEED』は、Miu Miuっていうファッションブランド、PRADAの姉妹ブランドですね。そのプロモーションを兼ねたショートフィルムを、カンヌ国際映画祭でも賞を受賞している河瀬直美監督が撮っていて、主演が安藤サクラさん、僕らが音楽を担当しました。実は、安藤サクラさんは、日本アカデミー賞で最優秀女優賞を受賞されていて、僕らサカナクションは音楽賞を受賞しているっていうね……。こういう結果になるなんて、河瀬監督は知らずにキャスティングをしているわけで。すごい目をお持ちだなと思いましたね。感服致しました。」
「そして最後に……
『4月9日と10日は、幕張メッセ国際展示場ホールでライブを行なうぞ!』
……これは今後の予定ですが、この2日間はこのツアーのクライマックスなので、セットリストも今までのものからちょっと変えたりして。ANESSAのCMで流れている曲も、初披露!……できたらなと思っているんですけど、現在非常に厳しい状況である(笑)。……やらないかもしれない(笑)。その辺はちょっと、加味していて欲しい。最後は今後の予定でしたね。」
今…!
サカナ掲示板を見てアネッサのCM見ました!たった十数秒の間で心を打たれる曲はないんじゃないかと思うくらいすごかった!
2016年3月18日23時06分
「もうCMを見てくれた生徒もいるんですね。休講中もサカナ掲示板に書き込みをしてくれた生徒たち、本当にありがとうございました。この3ヶ月の間にも、先生は君たちの事を本当に気にかけていましたよ。KANA-BOONのファンになってしまうんじゃないかとか……サカナLOCKS!よりKANA-BOON LOCKS!の方が面白いって言い始めるんじゃないかとか(苦笑)。ふわふわしていましたけど。先生はこれからも真面目に授業の中で生徒諸君の声や新しい音楽の事を伝えていけたらと思っています。」
音学(おんがく)の授業、今回はそろそろ終了の時間です。
「先生も3ヶ月の間、サカナLOCKS!のことをいろいろと考えましたよ。サカナクションの事も考えました。だからね、これまで以上に音楽の知らない部分をリアルに伝えていける授業にしていきたいと思います。限りなく赤裸々に、話せるところと話せないところのギリギリのところを狙ってね。皆さんに色々伝えていけたらと思っています。難しい授業になるときもあると思う。でも、なんとかついてきて欲しい。今の世の中、「難しい=面白くない」っていう風潮になってきていると思うんですよ。分かりやすいものが面白い、って。先生たちの時代は、インターネットがなかったから、自分たちで調べないと分からない事ばかりだったんですよ。だから、難しいものにこそ面白さがあるんじゃないかっていうドキドキを常に持っていたのに、そういう風潮がなくなってきている気がします。だから、このサカナLOCKS!では、皆さんに難しい事を面白く感じてもらえるように工夫して、なんとか頑張っていきたいと思います。サカナLOCKS!の応援、よろしくお願いします。副担任'sとの授業も増やしていきたいと思います。」
「そして、生徒の皆さん、いいですか?これはあくまでも授業です。来週、皆さんに宿題を出したいと思います。宿題は必ず提出するのが生徒の務めです。聞き逃さないように!今日の授業はここまで!」