今回の授業は、生徒の皆さんに出していた、宿題『音楽フェスに参加して良かったこと/悪かったこと』に提出された意見を紹介していきます。
山口「今年も夏の間にたくさんのフェスが行われました。サカナクション先生もたくさんフェスに出演しました。今年は、サカナクション先生は年末のフェスには出演しません。なので、ライブ納めはしているんですけど、冬も春もフェスがありますので、楽しみにしている生徒もたくさんいると思います。有名なフジロックフェスティバルが日本でスタートしたのが1997年。そこから20年で日本にフェスという文化が、だいぶ根付いたと思います。行ったことがない生徒もいると思うけど、結構いろんな生徒が体験していると思いますね。そんな中、音楽フェスに行って良かったこと、悪かったこと、嬉しかったこと、迷惑だったこと、改善してほしいこと……これを生徒諸君にいろいろと考えてもらいたいと思います。これはフェスの関係者の方も聞いておられるかもしれないので、是非参考にしてもらいたいと思います。先生はミュージシャンとしての立場で読み上げていきます。」
フェスの良かったところ
普段聞かないアーティストの音楽を聴き、その後も聴くようになった。
アーティストのファンじゃない人とも同じ音楽を楽しめた。
良くなかったところ
トイレに異常に並ぶ
男性/17/神奈川県
「なるほどね。新しい音楽と出会ったということね。そして、その音楽を目的に来ていない人とも同じ空間をシェアできたと。トイレに並ぶのは、どのフェスでも必ず起きる問題ですよね。人数分トイレを用意するととんでもないことになるしね。フェスだけではなく人が集まるところでは起きる問題かと思います。」
良かったこと
新しい出会いがあったこと
新しい音楽のジャンルに出会えたこと
身近な人の音楽のノリ方の癖を知れたこと
みんなの新しい側面を知ることができたこと
共感
悪かったこと
トイレが汚いこと
長い距離を歩くこと
演奏中に人に押されてみんなとはぐれること
人と近すぎて他人と恋人同士と勘違いされたこと
女性/14/宮城県
「なるほどねー。踊り方を見ることができたってことかな。いろんな人と音楽のシェアをすることができたってことだね。"人と近すぎて他人と恋人同士と勘違いされたこと" (笑)。悪かったことは、環境が悪いってことなんだね。音が悪いとかそういうことじゃなくて、音楽を楽しむっていう環境についてのクレームってことだね。」
演奏中に動画を撮っている人がいると本当に腹が立ちます。イライラしながらライブを観ていて全然楽しめません。ワンマンだと始まる前に何度も警告されますが、フェスはその辺が緩い気がします。
女性/14/石川県
「あー、マナー違反ね。……これ、先生の持論を言っていいか?先生的には、別に動画は撮っていいと思っているんだな。写真も撮っていいと思ってる。だけど、フラッシュとかを焚くと演出に影響したりするからよくないけど。でも、これは先生側の意見で、マネージメント的な意見を言うと肖像権とかいろんな問題があるのでダメと。ミュージシャンとしては別に撮ってもいいよって思う。でも、梨のなしが撮っている人がいて腹が立つっていう気持ちっていうのは、ミュージシャンの権利を守るべきだろっていう思いなので、それはすごく嬉しいと思います。」
自動販売機にお水しかない上、500円もして喉がカラカラになって辛かったです。
女性/15/千葉県
「そういう高い場合もあると……これは辛いね。夏とかだと危ないしね。熱中症とかになるからね。これは運営側の問題だと思います。」
良かったこと
初めて観るアーティストとの思わぬ出会いがあるし、それによって新しい景色や見方ができる貴重な体験ができる場だと思います。また、大本命の観たいアーティストがトリだと、それまでの時間どのアーティストを観よう、どのステージに行こう、ご飯何食べようと考えることが出来てワクワクします。
悪かったこと
終わった後、本当に疲れることです。クタクタになります。特に僕は夜行バスで行ったのですが、フェスの翌日の朝帰宅してお風呂に入ってから寝たら、夕方まで寝てしまいました。夜行バスは特に体が衰弱しきるし、寝ておかないと免疫力が下がるので本当に注意です。まあ、それもそれで思い出ですし、悪いことというより、アドバイスですね。
男性/16/愛知県
「自分の好きな、目当てのミュージシャンを観るまでの間に、どう時間を過ごすかプログラムを自分で立てていくっていうのが楽しいってことだね。それは分かる。なるほどー。12時間くらい外で音楽を聴いて、騒いで帰ってくるわけですから、それはクタクタになるよね。それは全力を出して楽しんだ証ってことかなと思いますね。」
「皆さんの意見を読んで先生が感じたことは、フェスという空間に行くことで、知らなかった音楽に出会えたり、音楽以外のことをみんなとシェアできたり、空間を楽しむことができるっていうことがフェスの良いところだと。それは先生もそう思うね。普段ライブに行くって言っても、ワンマンライブだとチケットを取るのが大変だったりとか、そのミュージシャンが好きな仲間と行くって言っても、クラスに何人かしかいなくて一緒に行けないとかね。でもフェスだと、クラスの友達何人かと様々なミュージシャンを観に行くともできるからね。体験としては素晴らしいと思う。」
「悪かったところに対する意見で多かったのは、環境に対するもの。トイレが汚い、並ぶ……(遠くまで)よく歩く、疲れる……マナー違反の人がいる……とか、そういうのが多いですね。でも先生たちがフェスに行き始めた頃って、もっと不便だったぞ。トイレなんてあってないようなものだったし、交通機関も……シャトルバスなんてなかったからな。専属のバスはないから、自分たちで乗り継いで会場まで行って、バス停からまた歩く……みたいなことは平気であったけどね。今は本当に便利になったと思うぞ。参加者の年齢層が下がったっていうのがあるから、より安全に、快適にっていう風になって、アミューズメントパーク化してきたけど、苦しかったことや辛かったことも、実は音楽に付随して思い出になるんですね。だから、快適さを求めて行くと、キリがない気はするな。」
「先生はもっと、音を良くして欲しいとか、音量が小さいとか、風で流れるのが嫌だとか、そういう意見が来るのかと思ったけど、それは全くなかったんだよね。なんか……6.1chサラウンドライブとかをやっている先生からすると、そこの意見はないのに、何を僕は頑張っているんだろう……みたいな(苦笑)。なんか複雑な気持ちになってきたな……。」
「先生は思う。若い子たちが今フェスというもので音楽に興味を持ち始めている昨今で、やっぱり音楽体験っていう部分で、もう少し運営側は努力して欲しいなと思う。もちろん、トイレの数を増やすとか、移動の不便さをなくすとか、そういう部分も改善して欲しいけど、音という部分や、演出という部分に対しても、もう少しトライして、投資していって欲しいなって思います。なぜかというと、そういう子たちが未来のミュージシャンになったり、これから音楽を聴きに行く世代になるわけですから。そこを頑張って欲しいと、ミュージシャンとしては思うかな。みんなもあんまり甘えすぎるのも良くないと思う。例えば、トイレがないから海水浴に行かないっていうことにはならないでしょう?便利さを求めて行くと、どんどん幅を狭めて行くことになると思います。その辺はちょっと頑張ってもらいたいかなって気は……ちょっとするかな。」
「マナー違反が出たりはしているから……痴漢が出たとか。そういうことに関しては厳しくしていかないといけないと思う。ただ、今この時代、インターネットやSNSが主流の世の中になっているから、ライブの写真を撮るとか、映像を残すっていうことは、例えば、それを目的に商業的なビジネスを成り立たせようとしている人は罰するべきだけど、もうちょっと寛容化してもいい気はするよね。演出とかそういった部分に影響を及ぼす場合は、自重して欲しいとは思うかな。……そういっても、みんなフラッシュ焚くんだよね。いいよって1回言うと。だからOKって言えないところもあったりするんですね。だから、そういうところはいろいろと難しい問題ではあるから、いつかライブマナーについての授業もやっていきたいなと思います。」
そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。
「今日は、フェスの良いところや悪いところについての授業をしてきましたが、フェスに行ったことがある人も、ない人も、フェスに対するイメージがいろいろとあると思います。知らない音楽を知るという意味では素晴らしいところだと思う。ただ、フェスに行って、フェスだけで満足はしないで欲しいと思うね。ワンマンライブに足を運んだり、そこから音楽の素晴らしさを知っていくっていうきっかけであって欲しいなと先生は強く思います。」
さて。来週のサカナLOCKS! ですが
ゲスト講師に【 藤原ヒロシ 】先生が登場です!!
「来週は(サカナクションのレーベル)NF Recordsからアルバムをリリースする、藤原ヒロシさんがゲストに登場します。生徒の皆さん……藤原ヒロシさんって知らない方も多いかもしれないんですけど、先生にとっての先生みたいな人なので、藤原ヒロシさんのゲストをきっかけに、音楽だけではなくて、いろんなカルチャーを知ってほしいと思います。是非、藤原ヒロシさんと僕に相談したいこと……進路でも、恋愛でも、友達関係でもなんでもいいので、【 サカナ掲示板 】に書き込んで欲しいと思います。お父さんとかに「藤原ヒロシって知ってる?」って聞いたら、「知ってる知ってる!」ってなると思うから。普通の大人とは全く違う目線でお話できると思うし、藤原ヒロシさんの魅力も感じ取れると思うので、ぜひ聞いてください。」