音で学ぶ、音を学ぶ、音に学ぶ
"音学"の授業、サカナLOCKS!

「皆さん本当に、11年半、ありがとうございました。」

(放送後記は、今後も見ることができます。)

「宿題『自分を救ってくれた1曲を答えなさい。』」

SCHOOL OF LOCK!


この後記の放送を聴く

聴取期限 2023年9月15日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ"音学"の授業、サカナLOCKS!。
今回は、生徒の皆さんへ夏休み中に出していた宿題『自分を救ってくれた1曲を答えなさい。』に提出されたメッセージと楽曲をチェックしていきます。

そして前回、お知らせしましたが、2012年から11年半、授業してきたサカナLOCKS!ですが、今月9月29日がラストとなります。最後までよろしくお願いします。
まずは、授業前の山口一郎先生と職員の雑談から。


山口「今日入れてあと4回。」

職員(カヲル先生)「そうだね。」

山口「今日入れて4回で終わりですよ、この雑談も。」

職員「寂しいね。」

山口「寂しいっすよ。しかも今日、僕、誕生日っすよ。」

職員「あら、おめでとうございます。」

山口「でも誕生日とか関係なく、あと何回かしか "SCHOOL OF LOCK!の音学の講師、サカナクション山口一郎です!" って言えなくなるっていうのはやっぱちょっと寂しい気がしますよね。」

職員「そうだね。」

山口「そりゃもう10何年やってるわけですからね。」

職員「ね、どうなんだろうね。急になくなって。」

山口「どうなんのかな?」

職員「とーやま元校長とかが知ってるよ。」


山口「でもやっぱりすごいっすね。人生初めてじゃないすか、十何年もやってきたラジオが終わるっていうのって。なかなかないじゃないですか。」

職員「なかなかないよ。」

山口「やっぱ変な感じますね。」

職員「うん。」

山口「でも、やっぱりもう11年半とかやってると、全国放送だっていう感覚ゼロですよね。」

職員「いやー、もうだいぶ前から……なんならこの雑談が始まってるあたり(授業の前に一郎先生と職員が雑談するようになって) からゼロですよ。」

山口「ふふふ(笑)。あ!俺、いま生放送とか出たらやばいかも。最後だからと思ってなんかめちゃくちゃ言っちゃうかもしんない、いろいろ。」

職員「そうだよ(笑)。」

山口「俺、知らぬ間にここにいる職員を傷つけたりしたことあります?」

職員「大丈夫、大丈夫。"今、サバちゃん傷ついてんな" って思うときは何回かあったけど。」

山口「ははは(笑)、マネージャーね。」

職員「山上さん(レコード会社のサカナクション担当)はもうパンチドランカーみたいになっちゃってるのかなっていうときはあるけど(笑)。」

山口「ふふふ(笑)。」


それでは、今回の授業です。

「さて今夜は、生徒の皆さんに出していた宿題を紹介していきたいと思います。『自分を救ってくれた1曲』。苦しいときに自分を救ってくれた1曲、紹介していきたいと思います。」



僕は今、高校2年生で剣道部に所属しています。剣道には段位というものがあり、今年は三段を受けれるはずでした。しかし、僕は中3の時に昇段試験に落ちてしまい、二段を取ることができませんでした。その時は何も考えたくない気持ちでした。そんなときに僕を救ってくれた曲が、SUPER BEAVER先生の「未来の話をしよう」です。サビのところの歌詞がとても胸にささり、自分の心を支えてくれました。そして去年、再試験に合格し、二段に昇段できました。この曲には感謝しかないです。

森の祭典
福岡県/16歳/男性




「高揚感あるよね。ちゃんと曲がそこの感情に持っていってるね。歌い方とかもあると思うけど。直接的に自分に何かあったときに、ぽっと支えてくれる1曲にはなるのかな。悲しいことがあったりしたときにね。なるほど、ありがとうございます。」



僕の自分を救ってくれた1曲は 秋山黄色さんの「PAINKILLER」です
部活(軽音部)を頑張りたくて高校を選んだのに、コロナで学校にも行けず、文化祭などの行事も全部中止、部活の大会も全部中止、せっかく組んだバンドも全くうまく行かず、何にも目的がなくとても辛くつまらなく、出口をだれかに塞がれているように感じていた時期にリリースされた曲です
歌詞は一曲通して全部好きですが、ただ優しい言葉をかけたり、そばにいるみたいな歌詞ではなく、「道連れにしてくれ」という豪快な歌詞に衝撃を受け、でもそれにすごく救われて何度も何度も繰り返し聴いてる大事な曲です。

てるっぽう
東京都/19歳/男性




「自分が何かに立ち向かったり、負けたり、弱ったりするときに音楽ってやっぱり無条件で助けてくれるものじゃん。好きなミュージシャンとか、好きな音楽とか、好きな曲って、すごく寄り添ってしまう対象になるよね。時にはね。だからその曲を聞いた時期と自分の記憶が重なったりするのかなと思ったりする。」



自分を救ってくれた曲は、BUMP OF CHICKENの「HAPPY」です。
悲しいときは力強く勇気づけてくれるし、幸せなときもそんな幸せな自分を祝ってくれる曲です。そのときの感情によって、心に刺さる歌詞があります。例えば、学校が厳しくてやめたくなったときは、「終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる」という歌詞に感動して、頑張って学校に通い続けていました。藤原基央さんの言葉遣いは聴く人の力になります。

たぶん藤井風
愛知県/16歳




「やっぱこの(Vo.藤原基央さんの)声だよね、BUMP OF CHICKENってね。BUMP OF CHICKEN全体に言えるけど、代弁感はすごい強いよね。その都度その都度、自分の心境に合う曲が必ずあるイメージあるけどね。ラジオネーム:たぶん藤井風の言う、"悲しいときは力強く勇気づけてくれて、幸せなときにもそんな幸せな自分を祝ってくれる曲"って、その双方持ってる曲ってすごいよね。具体的じゃなく、抽象的にっていうさ。やっぱすげえな、BUMP OF CHICKENは。」



ゲスの極み乙女さんの「オトナチック」です。
「大人になってまで言葉飲み込むなんてやめとけよ」と強烈なメッセージを残しながらも「試されてるって思いなよ」「背負い続けてみろよ」とどこか挑発的で不思議と聞いているうちに今に見ていろとやる気が湧いてきます。しかもメロディーもめっちゃオシャレなので落ち込み切った体がなぜか動き出してしまうんです。僕はストレートな応援ソングや弾き語り系の背中を押す感じの曲が苦手なめんどくさい性格なのでアーティストさんを固定して聞くことが多く、オトナチック以外にもゲスの色んな曲を落ち込んだ時に聞いています。それこそ川谷さんの経験からしたら自分のなんて大したことないんだなと思うこともあります。

やましゅー
茨城県/16歳/男性




「(川谷)絵音くんのすごいところってさ、もう大人なのに子どもが大人に対する思いとか、大人になっていくときの感情とかを代弁できるのがすごいよね。大人だからできるっていう感じじゃないんだよな、なんか。同じ時代を生きてるっていうか、同じ年齢っていう風に感じるんだよね。それがなんかすごいなと思うね。そこすごいなと思うなー……結構直接的だもんね、言い方もね。絵音くん、本当にすごいよね。」



僕の自分を救ってくれた1曲は、ROTH BART BARONの「極彩│IGL(S)」です。
一昨年の冬、精神的な不調から、食事どころかベッドから起き上がることもままならない時期が暫く続いたのですが、素晴らしい作品に触れた後だけは、頭の中が澄んだ気がして少し楽になれました。この曲はその頃聴いていた曲です。

ウオウオフィッシュライフ
大阪府/19歳/男性




「ROTH BART BARON、いいですね。すごくよくできてる。世界観がちゃんとあるね。すごい辛くて閉じこもってるときとかに、こういう曲で得られる、感情の筋肉っていうか……そこを動かしてくれるっていうのはすごいかもね。「極彩│IGL(S)」ってどういう意味なんだろうね、よくできてる曲だね。ちょっと僕も注目してみたいと思う。」



私が救われた曲は、ゆらゆら帝国の「つぎの夜へ」です。
自分が無力感を感じた時や悲しい思いをした時に、その思いにずっと1人で向き合ったり、背負わないといけないのかなと考えていましたが、「つぎの夜へ」の歌詞の中に「みんな悲しみをつれていこう、〜その次の夜へ」というのがあり、私は何かとても救われた気がしました。悲しみやどうしようもない気持ちも「その次の夜」までつれていければあとはなんとかなる気がして、何か今までの肩の荷が落ちた気になりました。

ラウンドメガネ
東京都/23歳/男性




「いいねー。ゆらゆら帝国にたどり着いたっていうのもまた素晴らしいですよね。我々の世代からすると、ゆらゆら帝国に対する熱い想いみたいなものってすごいある年齢なんですけど。20代前半の男の子がこの曲で救われたっていうのは……やっぱりもう音楽に古いも新しいもなくなってきてるよね。素晴らしい。」


今回の授業もそろそろ終了の時間になりました。

「曲ごとにテンションも違うし、情景も違うし、支え方も違うけど、いろんな人の心の隙間に入り込んでいって、グラグラしてる心をパテのように埋め合わせて揺れを止めてくれるっていうかね。そういう存在の曲なんだなっていうのを実感できましたね。自分も音楽を作る立場として、人の心の支えになるものを作りたいっていうのって初期衝動として必ずあるわけですよ。だからそういう役割を果たせている今日紹介した曲たちは本当に幸せ者だなと思うし、それを作ったミュージシャンの方たちもすごい嬉しいんじゃないかなと思いますね。」

「自分の曲がすごい支えになりましたって言われるのって、頼ってくれてるというか、甘えてもらえてるような気がしちゃってぐっときますよね。そういう曲を作れるミュージシャンでいたいなって。それができなくなったときは本当に苦しくなるなっていう風に思いますね。本当に皆さん、宿題提出ありがとうございました。」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年9月15日(金)PM 10:00 まで


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