『サカナクション 上京物語』〈後編〉

SCHOOL OF LOCK!




未確認フェスのこと
一郎先生!こんばんは!
突然ですが、僕は未確認フェスに出たいと思っているのですが、初めてで、作曲とか全然わかりません!
一郎先生は、どうやって作曲してますか?教えて下さい!
LGMきょうわ
男性/15/大分県




山口「そうだなー……先生が初めて作曲したのは小学校6年生のときだったかな。「青い空」って歌だったぞ……


一郎先生、そのまま「青い空」をアカペラで歌う!


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……これがねー、僕が初めて作った歌です(笑)。これを作ったときはね、確か先生はずっとフォークソングをコピーしていたのよ。イルカさんの「なごり雪」とか、吉田拓郎さんの「結婚しようよ」とか、この間、この授業でやった海援隊「贈る言葉」とか、そういうのをずっとコピーして歌っていたの。で、コードを覚えていたの。コードの展開する感じも自分でなんとなく身についていたから、それに合わせてメロディーをフンフン作った歌がこれだな。その次に作ったのが、中学校1年生のときだぞ。「愛の花」って歌だ。わははは!(笑)すごいだろう?中学生が愛について歌うんだからな(笑) 相当ませていたからな。愛に興味があったんだな……三島由紀夫五木寛之の影響だと思う。」

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「とりあえず、みんな、コピーするといいぞ。コピーして、好きなコード進行を覚えて、そこにメロディーを鼻歌っぽくフンフン歌っていくといいのかもしれない。好きな曲にも好きなところってあるじゃん。その理由を考えたりしていきながら真似していくといい。ただ、メロディーをパクったらだめだぞ。そこは自分のモラルでやったらいいと思う。OKラインを考えるといいと思うぞ。それがやり方だ。」

「今年も開催される10代限定のロックフェス 未確認フェスティバル2017では、現在、音源を募集中です。これは毎年サカナLOCKS!でも取り上げてますからね。サカナLOCKS!的 "推しバンド" を決めたいと思います。まだまだ時間がありますので、是非LGMきょうわも参加して欲しいですね。もう、弾き語りでいいぞ。いろんな音楽があっていいんだから、みんなと違う音楽の方が目立っていいかもしれないぞ。いろいろやってみてください。」

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「では、黒板を読みたいと思います。」


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「先週に引き続き、今年デビュー10周年を迎えたサカナクションが上京したときのお話……上京物語の続きをお話ししたいと思います。先週は、サカナクションが上京してきたときの曲や空気感をお話ししました。」

■ 先週オンエアした、サカナクション『上京物語』〈前編〉【 コチラ 】

「先週は神奈川の登戸っていうところに引っ越してきたときのお話を「ネイティブダンサー」といっしょに紹介したのと、下北沢の王将からの帰り道っていう(笑)、「モノクロトウキョー」のお話をしました。」

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「みんなも、東京に上京してくる人たちはびっくりすると思うよ。地域性みたいなものね……新宿こうだけど渋谷こうで、五反田行ったら何この五反田感……とかね。あと、意外とローカルの集合体なのよ。東京出身の人って意外と少ないのよね。東京以外の出身の人が多いからびっくりすると思う。そして、東京で音楽をするようになって8〜9年ですね。」

「東京はね、東京に行ったことがない人たちが思っているよりも、お洒落な街でもないし、お洒落な人が多いわけでもないし、アンダーグラウンドなものや美しくて難しいものが認められている街でもない。すごくミーハーな街だなと思いました。僕はもっと憧れがあったんですよ。お洒落な人が集まっていて、自分が北海道で掘って掘って掘りまくっていた……美しくて難しいと思われていた音楽やアートみたいなものが日常的に広がっているすごい街なんだって思っていたけど、全然じぶんの地元と変わらないし、むしろ地元の方がローカルっていう部分のアンダーグランドさや実直さがあったな……と思いました。」

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「あとひとつ思うのが、東京の人たちと話をすると、なんか意見が偏っていないよね。みんなの意見に対する意見が多いよね。自分の意見っていうよりは、誰かが意見を言ったことに対する意見がすごく多くて、「違うじゃん、こうじゃん。」って提言する人は……もちろん東京には多いけど、比率の割にはすごく少ないなって思う。新しいことをする人たちに対して冷たい人が多いっていうのも東京の難しいところだし、何かをしようとするときに、それ面白いよねって寄ってくる人たちが多いのも東京だと思う。だから、比率的には少ないけど、何か自分がこうだと思っていることを理解してくれる人がいるかもしれないっていう可能性を考えると、東京っていう街は可能性が高いし、あるかなと思いますけどね。」

「そして、「モノクロトウキョー」次に東京の曲を作ったのが、「ユリイカ」かな。」

■ サカナクション / ユリイカ




「この頃は、オリコンで1位をとって、紅白にも出て……目標を見失ったわけじゃないけど、次に何をしたらいいんだろう……って不安になっていた頃で、もう休みたいなー……まだ頑張らないといけないの……ってときだったんですよ。タイアップとかで追い込まれていたし、自分のペースで音楽を作りたいなー……でも出来ないなー……って。東京っていう街に追われ続けている自分っていうのが……やけになっていた感じ。その頃、いつも僕はオカンに電話をしていたんですよ。MacのFace Timeって分かるかな?顔を見て電話ができるやつ。それでオカンと一緒に話をして、辛い、辛い……って言っていて。この歌詞を書いているときに全身ブツブツが出まくって、人前に出るのも辛かったんですよ。だから外に出たくないし、かといって家の中に一人で居るのも辛いし……八方塞がりみたいなかんじ。だから、スタッフとかにも冷たく当たったりしたし……。本当にきつかったなと思う。これは「グッドバイ」と同じときだから……SCHOOL OF LOCK!で「グッドバイ」を初めてオンエアしたときに、泣いちゃったの、僕。そのときの不安定さみたいなものがこの曲には表れていると思う。」

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「正直ね……サカナクションの6枚目のアルバム『sakanaction』で、僕らは完成しちゃってるんですよ。僕らは終わっちゃってるんです。「グッドバイ / ユリイカ」っていうのは、そこからの……何ていうか……続編っていうか、付録みたいな……そんな感じなのかなって、いま振り返っていますけど。で、そこから「さよならはエモーション」っていう曲ができて、東京の寂しさや切なさみたいな、東京の温度感を音楽にしたいと気持ちが向いてきて、「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」だったり、東京ローカルっていうところに目を向け始めて、今、また前を向き始めているかなって気はしています。」

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「今、新しい曲を作っているんですけど、新しい曲はものすごい前向きなの……サカナクションにとっての明るいは、世の中にとって明るいって言われるか分かんないんだけど、自分の中ではすごく明るくて、"アッパー"っていうよりかは、"前向き"っていう言葉が最適かなって感じがしていて……それが自分たちのファンにどう思われるかはあまり気にしていなくて、やっぱり自分の今のテンションをちゃんと音楽にするっていうのがサカナクションにとって大切なんじゃないかと思っています。ただ、それに慣れていないんですよ、今。なんかね……食べたことのない料理を人に出すとき……自分は美味しいって思っている料理を人に出すときって、それを商品として出すときって不安じゃないですか?だからそういう怖さがまだあると思う。ただ、今は『NF』っていう活動も含めて、音楽っていう視野が広がったし、今まではずっと引きこもって、音楽!音楽!音楽!音楽!……ってなっていたのが、いろんな人が自分の周りに出てきて、いろんなことを教えてくれて、今まで自分が考えたことがなかったようなことをいっぱい考えることができて……。自分で影響されるものを自分で選んでいたときの自分って、どうしても都合のいい自分だったんですよ。そうじゃなくて、自分が影響を受けることを自分で選ばなくても、人から入ってくることによって、想像しなかった自分になってきていることで、ちょっと戸惑っているけど、ここから新しい音楽が生まれたり、サカナクションとしての新しい未来みたいなものが出来上がっていくような気がするし、それが発明になるといいなって……東京で新しい発明ができたらいいなって。それがサカナクションの現在地っていう感じです。」

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そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

「みんなね、人生では必ず経験することだから。親元を出ることも、一人暮らしをする、一歩踏み出す……っていうことは。だから、恐れずに、自分を信じて突き進んで、新しい仲間を増やし、未来溢れる人生を送ってください。僕らはそれを音楽でバックアップしていきたいと思っています。」


最後にサカナクションからのお知らせです。
4月7日(金) フジテレビ『Love music プレゼンツ 桜フェス2017門出』に、サカナクションが出演。
ライブもトークも(!)あるとのこと。そして10周年ツアー "SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY 『2007.05.09』 TOUR" が今週末からスタート。ツアーグッズも新しいものが発表になっています。新しいUROCOグッズが発売、Tシャツも新しくなっています。
詳しいことは、サカナクションの【 オフィシャルページ 】や、一郎先生のInstagram(@ichiroyamaguchi)をチェックしてみてください。

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