『フタリテクノ (w/ 江島啓一&岩寺基晴)』

SCHOOL OF LOCK!


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江島「はい、授業を始めますから席についてください。マンガを開いている生徒はマンガをしまいなさい。」

岩寺「Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。」

江島「授業が始まりますよ。……さて、今夜のサカナLOCKS!は、山口一郎先生が冬山の方に修行に行っていると。」

岩寺「何の修行なんだろうね(笑)。」

江島「何の修行なんだろうね。割とね、このくらいの時期から春先くらいまで山に行きがちです。」

岩寺「そうね、毎年ね。」

江島「だいたいね、帰ってきたときにお土産をいつも……歌というね。」

岩寺「みんなが楽しみにしているお土産だな。」

江島「そうそう。スタッフもメンバーもみんな楽しみにしている歌を持ってきてくれるのでちょっと待っていてもらおうと思っています。なので、今回は僕たち副担任's がお届けしたいと思います。サカナクションのドラム、江島啓一です。」

岩寺「サカナクションのギター、岩寺基晴です。」

江島「それでは黒板を書きたいと思います。」

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江島「今回の授業はフタリテクノ……何だ、フタリテクノっていうのは。」

岩寺「基本、『NF』っていう僕らのイベントで僕とエジー(江島先生)が2人でやるときのユニット名。」

江島「ユニット名、っていうとなんか恥ずかしいね(笑)。」

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岩寺「そうね(笑)。まあ、そもそもは、僕がスペースシャワーTVの『NFパンチ』で、その1回目のコーナーで"ヒトリテクノ"っていうのをやったんですよ。それは、僕が1人でパソコンを使わずにアナログ機材だけで音を重ねていって、1人でテクノを作るっていうコーナーがあって、その派生ですね。それをNFでもやってみようかっていうことで、エジーと2人で一緒にやろうぜって。誰からともなくフタリテクノって呼ばれだしたんだよな。」

江島「多分、世の中的には1人でテクノをやるとか2人でテクノをやるとか普通なんですよ(笑)。そのままなんです。なんか、"4人バンド" みたいな感じ。」

岩寺「そうだね(笑)。」

江島「実際、これが普通の人と何が違うかっていうと、まずパソコンを使っていないっていうのと、その場で音を足したり引いたりしている(即興演奏な)ので、あんまり決まっていない。」

岩寺「うん。おおまかな流れだけは決まっていて、その場のテンションだったりノリだったりで音を重ねて構築していく。パソコンを使えば、いろいろ組み立てて再生すればその流れ通りに流れるっていうのが基本的なんだけど。」

江島「多分、この授業は音声だけだと、ここで演奏し始めても分かりづらいと思うので……」

岩寺「普通に音源流しているだけなんじゃないかって。」

江島「CD流してるだけだろ!って思われるので、一体何をやっているのっていうのを解説しようかなと。」

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江島「じゃあまずは、岩寺先生は何をやっているんですかね?」

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岩寺「僕は、これはヒトリテクノの時も使っていたんですけど、フタリテクノでは、ルーパーという機材を使って音を出している。ループを作る機械ですね。リアルタイムで音を録音して、それをその場で再生させて、その音を繰り返す。それによって音のフレーズを作っていく。口で言っても分かりづらいのでちょっとやってみますか。」

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江島「お、ギターを取り出した!」

岩寺「そう。今回はルーパーにギターのフレーズを入れて、その音をループさせてやってみます。」


(岩寺先生がルーパーにギターを弾いて、録音する)


江島「……今、弾いています!」

岩寺「そう。これで、今録音されてループが組まれて。」

江島「録音されたやつがずっと繰り返されるっていう。」

岩寺「そうそう。それにエフェクトをかけたり。今録ったやつにエフェクトをかけてリバース(逆再生)させて、フレーズを変えていったりします。……まあ、こういうことをやってリアルタイムで録った音だったり、用意してきた素材をループ再生しながら、重ねていくっていうのをやっています。」

江島「分かったかな?岩寺先生はこういうことをやっています。」

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江島「僕は基本的にはリズムを出しているんですけど、どんな音かというと(機材のボタンを叩きながら) ドン、ドン、チッ、チッ……って。これ、よく聴くやつです。この音を組み合わせて、ドンチキドンチキです。」

岩寺「おー。もうこれでダンスミュージックだ。これは今手で叩いているね。」

江島「こういうやつとか……(ボタンを叩きながら)ドン、チッ、タッ、チッ、ドン、チッ、タッ、チッ……ははは(笑)。これを実際に手で叩くわけじゃなくて、この機械に演奏させるんですけど。」

岩寺「そして、さらにそれをコントロールしている機械がひとつあるよね。」

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江島「あるね。サンプラーでもある。ここにはいろんな音が入っていて、これも出したり出さなかったりっていうのを気分でやっています。例えば……。」


(一郎先生の歌のボイスサンプルが流れて……)


江島「こんなやつが入っています。これは一郎先生の声ですね。」

岩寺「冬山から響いてきた!」

江島「おー(笑)。すごい遠くから。聞こえるんですね、冬山から(笑)。……こんな音が入ったりしています。これを組み合わせて、NFっていうイベントで2人でやっていたりするんですが、今日はこのセットを喋りながらみんなにも聞いてもらおうかなと。」

岩寺「できる限り解説しながらやってみようと思っています。」

江島「実際これはうまくいくか分からないから、先生も緊張しています。」

岩寺「やってみますか。」


(0'00”〜) ルーパーでフレーズを流す


江島「なんだか出てきましたね。これは今岩寺先生から出ています。」

岩寺「はい。ループを流しています。」

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江島「じゃあ次……"ドン"いこうかな。」


(0'40”〜)ドラムのキックが入ってくる


岩寺「お、いいねー。」

江島「これでなんとなく曲っぽくなってきている。」

岩寺「もうこれだけで踊れるね。」

江島「踊れる、踊れる。先生はね、"ドンツク"が大好きだからこのくらいで踊れちゃうんですよ。」

岩寺「十分。揃ってる。」

江島「じゃあ、"ツク"いこう、"ツク"!」

岩寺「お、"ツク"欲しいね。」

江島「行くよー。」


(0'59”〜)ハイハットが入ってくる


江島「はい。もうこれでドンツク、ドンツクです。」

岩寺「いいね。単調になりすぎてもあれなので、上のループの音はエフェクトをかけて変化させたりとか。」

江島「ファンファン……っていっているやつね。じゃあ何か違うリズムをちょっとずつ足していきますよ。」


(1'22“〜) タムが入ってくる


岩寺「お。タムが混ざってきたね。」

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江島「なんかちょっとお祭りっぽく。チキチキ、チキチキ……って音も増えてきたね。」

岩寺「いいね。じゃあ、そろそろダンスミュージックでよくある、キックを抜くっていうのをやってみますか?」

江島「いきますよー。」


(1'52”〜)キックが抜ける


江島「おー。」

岩寺「よくある。」

江島「よくあるやつ。」

岩寺「これでテンション上げるところね。」

江島「これで、次何か始まりそうだな……ドン、ドン……っていうのが戻ってきそうだな……っていうのを待ちます。」

岩寺「待っている間にどんどん気持ちが高まってくる。」

江島「あー……いつくるんだろう。いつ、ドンってくるんだろう。」

岩寺「あー……きそう。」

江島「わー……きそう。」


(2'22”〜)キックが再び入る


江島「(リズムを戻して)あーい!

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岩寺「いいねー。じゃあそろそろギターを足してみようか。じゃあ、ギターを録音してループを作ります。(ギターを弾いて……)はい。」

江島「今録って、繰り返されている状態ですね。」

岩寺「はい。こいつも一緒にエフェクトをかけたりしてみますか。」


(3'14”〜) ルーパーで再生しているフレーズが変化する


岩寺「……今一緒にいろいろと変化していますね、上もの(メロディ、ソロなど)の音が。」

江島「じゃあそろそろハンドクラップを入れてみようかな。」

岩寺「ハンドクラップが入るともう一段階テンションが上がるよね。」


(3'40”〜)ハンドクラップが入る

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江島「じゃあここで、最初から岩寺先生が出している、ファッファ……っていうシンセの音だけにしてみます。」

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岩寺「はい。いち、に、さん、し……はい!」


(3'53”〜)ルーパーのフレーズだけになる


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岩寺「……うん。ちょっと変化させてみますか。これが何だったのかというと……」


(4'00”〜)ルーパーのフレーズが「三日月サンセット」のイントロだったことが解る!


岩寺「これ三日月だったんだね。」

江島「これが「三日月サンセット」のイントロだった。」

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岩寺「じゃあ、もう1回これをループに戻してみようか。」


(4'23”〜)キックなどが再び入る


江島「うえーい。」

岩寺「えーい。」

江島「……こういうのです(笑)。テクノってこういうのですから(笑)」

岩寺「ちょっと楽しいねー。」

江島「もうちょっとだけ変化させようか。」

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岩寺「じゃあこっちのフレーズもやってみようか。じゃあベースを出してみようか。」


(4'53”〜)ベースフレーズが追加


江島「おー。」

岩寺「いいね。ベースが入るとグルーヴがちゃんと決まりますね。」

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江島「じゃあ、パーカッション。チキチキ増やします。」

岩寺「じゃあ……よきところで冬山からの声を……」

江島「お、一郎先生の声聞きたくなってきた?」


(5'40”〜) 一郎先生の歌フレーズが一瞬、入る


岩寺「お?」

江島「全部聞かせないよ!まだ!」

岩寺「ははは(笑) 「こ」がきましたね。」

江島「全部はまだ冬山から届かない。……まあ、これだけで本当は10分くらいやるんだけど、今日はそんなに時間がないから早く着いてもらうよ。」


(6'33”〜) 一郎先生の歌のボイスサンプルが入る


江島「うえーい。」

岩寺「えーい。……うん、いい感じですね。」

江島「これからどんどんやりたいんですけど、今日はそんなに時間がありませんので、ここら辺で。」

岩寺「分かっていただけたでしょうか、何をやっているか。」

江島「こういうのを先生たちは……」


(機材の操作を間違えて、山口先生のボイスサンプルが出て……)


岩寺あ!いっくん!

江島いっくん、いっくん!(笑)

岩寺「ふふふ(笑)」

江島「こういう失敗もよくある(笑)。リアルタイムでやっているからね。あー危ない、危ない。……こんな感じです。」


そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

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江島「久しぶりに「音学」の授業、2人でやってみてどうでした?」

岩寺「楽しかったね。」

江島「実際ね、『NF』っていうイベントも未成年も来られるような時間帯にもやったりするので、どんどん遊びに来てもらいたいなと。」

岩寺「『NF』はやっているところが結構見える状態が多いので、DJが何をやっているのかって勉強にもなるし。」

江島「動画配信もやっているのでね。会場まで来ることができない生徒にも是非見てもらいたいと思います。」


江島「ちなみに、来週は一郎先生が……多分、下山。

岩寺「下山してくるかなー……(機材を操作し始める)いっくん、大丈夫かなー……」


(山口先生の声が一瞬、聞こえる)


江島「あ!」

岩寺「これはもうちょっと近づいてきているんじゃない?人里に。」

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江島「そして、2月10日スペースシャワーTVで放送される『NFパンチ』はこれまでの総集編をオンエアしてもらえるそうで。その中でも、今日やった岩寺先生「ヒトリテクノ」が見られるそうです。」

岩寺「やるんですね。今日はルーパーでしたけど、ギター弾いたり、ベース弾いたり、サンプラーを叩いたりしているので、面白そうだなって思ったら真似してみてもらえると嬉しいです!」

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