
山口「はい、授業が始まりますから席に着いてください。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている生徒はInstagramを閉じなさい。今日は、生放送教室から緊急学級会をお届けします!……先生、あれやな、声が完全に寝起きだな(笑)。先生ね、実は先ほどパリから帰ってきました。去年に引き続き、今年もパリ・コレクションに行ってきました。知っているか?パリで行なわれているファッションショーだぞ。それのアンリアレイジ(ANREALAGE)というブランドのショーの音楽を担当しました。すごい大変だったぞ。そのお話はまたサカナLOCKS!で詳しくお話したいと思います。その映像のアーカイブが間もなく配信されると思うので、是非見ていただきたいと思います。そのショーには、(サカナクションの)ドラムの江島も無理くり連れて行ったぞ(笑)。あいつも今頃、爆睡していると思いますけど。面白かったです。」
「ということで今夜は……!10月19日にリリースされます、サカナクションの新曲「多分、風。」を初フルオンエアいたします!」
「この曲は、前に緊急学級会で発売の延期を発表したシングルです。なぜ延期になったか、そして、この曲はここにたどり着くまで5パターンくらい作ったんだけど、それを時系列に遡りながら、いつかサカナLOCKS!で全アレンジを聴かせてあげたいと思う。どういう問題点もあったかっていうね。でも、ついに完成したので、みなさんに聴いていただきたい。」

「改めてお話しますと、先生はアルバムを作らなきゃいけなくて、そのアルバムの中にこのシングルがどんな風に着地するかを考えるのが難しかった。次の(アルバムの)テーマは"郷愁"にしようと思っているんですね。だから、先生が思う田舎の景色だったり、郷愁感をこの曲の中にフィクションとして盛り込んでいきました。なかなかフィクションの曲ってないんだけど、サカナクションの中では「表参道26時」とかかな。……まあ、聴いてもらったほうが早いんじゃないかな。曲を聴き終わったら掲示板に曲の感想を書き込んでください!曲をかけて、すぐにみんなの反応をエゴサーチしたいよ(笑)。反応を見たいので、是非お願いします。それでは行くよ!」

「……ちょっと待てよ(笑)。ここにくるまですごい時間がかかったからドキドキしているぞ……。行くぞ!」
「……ちょっと待てよ(笑)。……頑張って……頑張って作りました!サカナクションが頑張って作りました。それでは、聴いてください。10月19日リリース、サカナクションで「多分、風。」」
♪ 多分、風。 / サカナクション
「(初オンエアが終わって) ……わはは!(笑) サカナクションで「多分、風。」を聴いていただきました。今ね、先生はTwitterを見ながら反応をリサーチしていたんだけど、手が震えているぞ。緊張したな……。BPMはCMのときより3上がっているのかな。いや、3どころじゃないな……5だ。BPM = 139 になっていますね。でも、これは「ルーキー」より遅いんだぞ。「アイデンティティ」と「ルーキー」はBPMが140で、この曲は139だからね。あと、80年代ポップス……テクノポップスってやつを研究して。知っているか?ヒカシューとかプラスチックスとか。そういうのを聴いて研究して、なんとか歌謡曲とロックとテクノポップスを混ぜ合わせて良い違和感を作れないかなと思っていたんだけど。良い反応が上がっていますね。これ……難しかったな。話したいことはいっぱいあるんだけど。」

早速、掲示板に届いた感想の書き込みを紹介します!
★多分、風
イントロめちゃくちゃ好きだあっ!って思ったら、スピードとかもちょうどよくて、サビのところの、高音がものすごくきれいで、これはやばい、待ったかいがありました!!
お疲れ様です!
ありがとうございます!!
リリース楽しみにしています!
女性/14歳/東京都
「おー……!スピード感、ちょうどいいだろ?君たちには。実は、先生にはちょっと速いんだぞ。これもねー……考えたな。いろいろ考えてね……。いろいろ話したい!」

★多分、風
「多分、風。」宇宙初フルオンエアありがとうございます!
トンネルを抜けて、故郷に帰ってる様子が思い浮かびました!!
この前、夏休みで帰省したばっかりだけど、なんか地元に帰りたくなりましたw
女性/18歳/福岡県
「分かってるなー。分かってくれているね。」

★多分、風。
きたー!きたー!きーたーーーー!
最初のイントロから胸の高鳴りか止まらない!!!いつのまにか体が動いてました!ライブで踊りたいです!!!
サカナクション先生にどっぷり酔いしれる、そんな曲だなぁと感じました(^o^)
絶対買います!笑
女性/17歳/愛知県
「ありがとうございます!更にここからは、電話で直接感想を聞いていきます!もしもし?」

ちゅりん「こんばんは!北海道 17歳、ちゅりんです。」
山口「ちゅりんちゃん、どうだった?」
ちゅりん「イントロからすごいかっこよくて……全身が震えました!」
山口「震えた!わー……ありがとう。」
ちゅりん「まだ震えが止まらないです。」
山口「先生も、緊張して手が震えているぞ。CMのときからこの曲は知っていた?」
ちゅりん「知ってました。CMの時から、かっこいい曲だなって思っていたんですけど、フルで聴いたら、それ以上の興奮がやばい……うまく言えないんですけど。かっこよかったです。」
山口「おー。ごめんな、待たせて。1年くらい待たせちゃったもんな。」
ちゅりん「待った甲斐があったっていうとおかしいかもしれないんですけど……!」
山口「ちゅりんの友達がサカナクションのバンドをコピーしたりしているんだね?その友達にも伝えてよ!」
ちゅりん「はい!」
山口「ありがとねー!じゃあね!」

もう1人、電話で直接、感想を聞いていきます!
山口「もしもし!」
へむドゥ「東京都 15歳のへむドゥです!」
山口「へむドゥ、聴いた?率直に言ってどう?」
へむドゥ「イントロの、江島先生のドラムのデケデン、デケデン……っていうのがあったんですけど、あれにYMOを感じましたね。」
山口「はいはいはい……!テクノポップをな!」
へむドゥ「僕、テクノポップが好きで聴くので……」
山口「マジで(笑)。15歳だろ?昔のテクノポップを聴くの?最近の?」
へむドゥ「昔のです。YMOとか、プラスチックスとかも聴きます。」
山口「マジで!?有望だな。いいぞ、いいぞ。」
へむドゥ「ありがとうございます(笑)。それで、“多分、風。”って歌詞が入っているじゃないですか。そこは、風がリピートされていく……なんていうか……」
山口「ディレイな。」
へむドゥ「はい!ディレイですね。ディレイのところとか、歌詞も、"畦道"とか入っていて、さっき一郎先生が言っていた、郷愁感を感じたし、さっき書き込みにもあった、地元に帰りたくなるって気持ちが呼び起こされるような感じで、鳥肌が止まらなかったです!」
山口「わー……よかった。でも、テクノポップをすごく感じてくれたんだね。当時の雰囲気のままアレンジするのも考えたんだけど、それをどう今の時代にマッチングさせるか、アレンジをどう変化させるかっていうのが大変だったね。」
へむドゥ「なるほど……!」
山口「ちゃんと、現代の曲にもなっているでしょう?」
へむドゥ「はい!すごく。テクノポップを、今の最先端の人たちがやったらよりよくなったんだろうなっていうのが、この曲だと思います。すごく良かったです。」
山口「わー、嬉しい。シングルが発売になったら買って聴いてな。」
へむドゥ「はい!絶対買います!」
山口「ありがとう。じゃあね、またね。」

今回の授業も、そろそろ終了の時間になりました。
山口「いやー……。やっぱり初オンエアって緊張するね。でも、この時があるからこそ頑張れるなって思いますし、最初に延期したとき、このままだと、ここでオンエアしたときに後悔するなって思ったんですよ……やりきれていないって。ディレクターとかにもめちゃくちゃ迷惑かけちゃったけど、締め切りを延ばすプロみたいになっちゃったけど(苦笑)。最後までちゃんとやりきって、やらせてもらってここでオンエアできたのは本当によかったなと思いますし、皆さんに早くゆっくりと聴いてもらいたいと思う。」

「なんとなく良い曲を作ることってできるんですよ、技術があるから。何年もやっているし。そうじゃなくて、自分の中でしっかりコンセプトとか概念を持って、それをみんなにどう伝えるかっていうことをちゃんとやりきらないとただ消費されて終わっちゃうんだって思った。でも、どちらにしろ消費される音楽を作るんだから、自分の中でちゃんと決まりごとをしっかりキープして、みんなにサカナクションのアイデンティティを伝えていきたいなって、今回のシングルを作ってさらに強く……さらに強く!思いました。曲にかけた時間は、必ず質量として入るはずなの。曲の重みになる。それは信じてる。あとね、リミックスの曲もこのCDには入っているんです。藤原ヒロシさんの「ルーキー」のリミックス。映像特典もすごいから。いろいろすごいから、是非……お金がない人は友達に借りても良いから(笑)。見て、聴いてほしいと思う。お願いします。」
