函館
さっき、ツアーの函館ライブ参戦してきました!!!!!サカナ先生のライブに行くのは初めてだったんですけど、ほんとに楽しくて、かっこよくて、更に好きになりました。演奏も歌ももちろん素晴らしかったんですが、演出にも凝っていて全身で「音」を楽しむことができました!あんなに踊ったのは初めてです!自然と体が動いてほんとに楽しかった!私はPAさんの機材の真後ろで、改めてライブは、というか音楽はメンバー以外にもたくさんのスタッフさんたちのお陰で成り立ってるということがわかりました!
女性/16歳/北海道
山口「先生、函館ライブ行ってきました。そして、先生の生まれ故郷である小樽!運河の町ですね。そこでもライブをやってきましたよ。先生たちが到着した日、それまで雪が降っていなかった北海道で、大雪が降りました!……先生、雪を連れてきましたねー。すごかったですね。地元でのライブだったので、2階席の一角はすべて親族です(笑)。あとね、みんな “待ってました” っていう感覚が、札幌だけじゃなく、小樽、函館のライブではありました。」
「めぇーりす2にようにPAの後ろでライブを見るとね、ホールなので、席があるし、手元とか見えるんですよ。サカナクションのスタッフさんたちはみんなノリノリなので、体を動かしながらやっています。ライブは、メンバーだけじゃなくスタッフも関わっていることを分かってくれたっていうのは、先生すごく嬉しいですね。サカナLOCKS!をやっていて良かったなと本当に思います。そして、ライブはやっぱりすごく楽しいですね。やっている側も聴いている側も楽しんでいる空間になると、本当に良いライブになるなと思いますよ。でもね、面白かったのが、先生が「SAKANA TRIBE!」って手をぱっと手を挙げると、みんなも手を挙げてくれるんですよ。そして先生がちょっと手が疲れてきて手を下げてくると、みんなもそれに合わせて下げてくるの(笑)。なので、先生をすごく見ているんだなと思って。一緒に同じ時間を共有しているんだなっていうのがライブで感じられるし、エネルギーをもらえますね。本当にきてくださっている皆さん、ありがとうございます。3月まで続くので、是非お近くに行く際には足を運んでいただけたらと思います。」
「さて、今日はちょっと真面目な授業になりますよ。今回は、音楽が好きな生徒、ライブが好きな生徒にも関係している2016年問題についてお話をしていきたいなと思っています。」
「みなさんは、“2016年問題”というのはご存知でしょうか。これは何なのかと言うと、先生は記者会見とか『NEWS23』に出演してお話しましたけど、みなさんにも関係のある話なので、聴いていてもらいたいんですけど。2020年、東京オリンピック、パラリンピックがあります。首都圏のライブを行うライブ会場やアリーナがそれに伴っての、閉鎖、立て替え、改修時期が重なりまして、2016年以降、コンサートとかライブをする場所が減っていくっていう問題があるんです。すごく有名なところでは、オリンピックのために国立競技場が立て替え工事中ですね。それ以外でも、東京厚生年金会館、青山劇場が閉鎖。日本青年館、渋谷公会堂が一時閉館となるわけですね。オリンピックがあるので、改修しようという動きと、国が基準としている耐震構造を満たしていない建物は全部直してくださいっていう指令が出たわけです。会場はそれを直さないといけないんだけど、直すにはお金がかかりすぎちゃうから閉鎖しましょう、っていうところがあって、閉鎖が続いているんですね。それが一気に重なっちゃったわけ。で、2016年になると横浜アリーナが1月から6月まで工事のために休館しちゃうし、さいたまスーパーアリーナが2月から5月まで休館しちゃうんです。以前からそういった予感はしていたんですけど、都内のライブが出来るライブ会場は、1年先でも予約が取れないことがほとんどです。」
「例えば、ちょっと良い曲できたしライブしようかなー……みたいに思って、イベンターさんに話をします。」
「(一郎先生の即興芝居で)
「ちょっと……ライブ会場空けてもらえますか?」
『すいません!2年先くらいまでライブハウス予約できないっすー!』
……みたいなことを言われちゃうわけですね。サカナクションがツアーをするとなると、関東だと幕張メッセとかでやりたいわけですよ。2万人を動員できる幕張メッセで2DAYS、4万人呼びたいです!って言っても、幕張メッセを2日間押えられないです……ってなると、じゃあ、武道館で4DAYS、1万人規模で4DAYSやるか……って。武道館を4日間、押えちゃうわけです。」
「……すると、
「やっと武道館でライブが出来るくらいになりました!私たち、マグロ・ガールズです!マグロ・ガールズは、初の武道館公演が可能になりました!イベンターの皆さん、武道館、押えてください!」
『すいませーん!サカナクションが武道館4日押えちゃったんでもうできないっすー。』
「え……マグロ・ガールズ、武道館公演休止……。じゃあ、5000人規模のところで2ヶ所やります……!」
みたいな。」
「すると……
「よし!やっと5000人キャパシティでライブできるようになったぜ!俺たち……カツオ・ボーイズです!カツオ・ボーイズ、5000人キャパシティでライブが出来るようになったんで、ツアーファイナルはそうしよう!イベンターの皆さん、お願いします!」
『すいませーん。マグロ・ガールズが5000人キャパシティ押えちゃったんで、カツオ・ボーイズ5000人のライブできませーん。』
「そうっすか……。じゃあ、2000人キャパシティのところで2日間やろうかな……。」
ってなるわけですよ。」
「すると……
「よーし!シングルのオリコンが15位に入って、やっと2000人キャパシティでライブが出来るようになった………えっと……ニジマス!……ニジマス・トリオです!ニジマス・トリオ、2000人キャパシティのところでライブがやりたいです!イベンターさん、お願いします!」
『すいませーん。カツオ・ボーイズが押えちゃったんで、出来ないっすー。』
「……そうですか……。ニジマス・トリオは、じゃあ、1000人キャパシティを2日間やらせていただきます……。」
……って(笑)。どんどん玉突き式で、キャパシティが小さくなっていって、ライブが出来なくなっていくわけですよ。そうすると、それは最終的に500人キャパシティとかのライブハウスにまで影響してくるんですよね。そうすると、高校生でバンドをやっている子たちがライブハウスでライブできなくなるんじゃないかっていう心配が実は起きているんです。」
「“でもこれって、関東の問題でしょ?地方でもっとやれよ!” っていう人たちもいると思うんですけど。ライブ運営の流れを説明しますと、例えば、サカナクションが関東でライブをするとなると幕張メッセですけど、大阪になると大阪城ホールになるわけです。福岡とかになると、アリーナでライブが出来ないの……人が入らないから。なのでホールになるわけです。そこで、幕張メッセでやっている演出を全部持っていくとなると、スタッフは東京住まい。そういう人たちを全員、福岡に連れて行く新幹線代……僕たちのスタッフは全員で100人くらいいますけど、100人が新幹線で移動するわけですよ。そうすると、もの凄い渡航費でしょ?あと、機材。楽器や演出で使う物を全部、トラックで運びます。11トントラックを何台も手配するわけですよ。人も運ばなきゃいけない、機材も運ばなきゃいけないで、かかった経費が5000人のキャパシティでライブをやっていて採算が合うかっていうと、正直合わないわけ。……となると、どうやって採算を合わせるかっていうと、関東での収益をメインにして地方ツアーを回るわけです。だから、地方でライブをやるためにも、関東の収益を得なきゃいけないんですよ。」
「あと、グッズね。グッズっていうのは、実はもの凄い重要で、売れないと赤字になっちゃうんですよ。グッズの売上っていうのも、ツアーの売上として考えられているわけですね。」
「だから、改築、改修をしている時期をずらして欲しいなっていうのを訴えているわけです。きてくれる人たちの安全もすごく大事なこと。工事はしなければいけない、だけど、その時期をちょっとずらしてくれたりすると問題は解消するんじゃないかっていう風に言っているんですね。実はこの問題って、能とか古典芸能……例えば、尺八とかね。あと、バレエ、舞台とかね。僕らのようなバンドとか音楽業界だけじゃなく、他の業界も同じ問題を抱えていたんですよ。で、今はみんなCDを買わないでしょう?ただ、CDの売上は落ちていってるんだけど、ライブの動員は年々増えていってるんですよ。だからみんな、より体験を求めている時代にも関わらず、2016年はライブがあんまりありませんって年になったら、音楽でライブに遊びに行けないんだったら違う遊びするっていう人たちも増えるかもしれない。それってすごくもったいないな……って先生は思うんです。だから、なんとかしてこの問題を解決したいって訴えるわけですね。地方の会場はいっぱいあって、もちろん閉鎖しているところもありますけど、そこで僕たちがライブするためにも、関東の問題をみなさんに知ってもらいたい。現実的にどう動いて欲しいっていうのは生徒の皆さんには無いんだけど、こういう問題があるんですよっていうことを知ってもらうことで国も動いてくれるんじゃないかなって思っているわけです。先生はミュージシャンなので、本当はこういう文化人みたいなことはしたくないんだけど、この問題に関しては訴えたいなと思っています。」
「誤解もあるわけですよ。“どうせライブできなくなって収益がなくなるから言ってるんでしょ?”って言われることもあるんですけど、先生は、リスナーにとってこれはすごくマイナスなことになるんじゃないかなって思うんです。だってさ、フェスは相変わらずできるわけですよ。そうすると、みんなはフェスには行けるからいいやって思うかもしれないけど、フェスっていうのはミュージシャンのライブのほんの一部だからね。演出だって持ち込めない物もいっぱいあるし、時間も40分とか長くて1時間でしょ。ワンマンライブでは2時間とか3時間とかで表現するものじゃないですか。音楽を楽しめる場所がフェスだけになってしまうと、ミュージシャンもフェス用のアルバムを作れば良いだけになっちゃうのね。自分たちのオリジナルアルバムをワンマンライブで披露することが目的になるんじゃなくなってきちゃう。そうすると、機能的なアルバムしか出来なくなるわけですよ。皆さんが喜ぶ物しか作れなくなって、表現するっていうことがおざなりになってくる。それが当たり前になってくると、僕は音楽シーンのこれからがちょっと難しくなってくるんじゃないか、自分が未来の音楽に嫉妬できなくなるんじゃないかって思うんです。だからどうしてもこの問題は解決したいと思っています。」
「ただ、先生はピンチをチャンスに変えるタイミングなんじゃないかと思っていて、『今までライブとして使われていなかった場所を開放してもらえないか』説!!……ふふふ(笑)。例えば、大学の講堂とかって今まで開放していない場所とかもあるんですよ。そういったところでライブを開催したりしたら面白いんじゃないかなって思ったりしています。学生は割引できるとかね。あと、そういったところで、普通はワンマンライブとかだと1日とか2日、長くても3日でやるわけですよ。そこを、10日間とかのロングランにして、先生がやっているクラブイベント『NF』みたいなワークショップだったり、ライブ終演後にステージの上に上がって楽器を見られたり、照明を浴びることが出来たり、そういったことができるようなサーカス的なことをバンドとしてやってもいいんじゃないかなとか。そういったこと、新しいことにチャレンジする機会にもなるんじゃないかと先生は思っています。いろんな問題が音楽業界には常にどの時代にもありますけど、裏方の人たちだけに頑張ってもらうんじゃなく、ミュージシャンとして、みなさんにこういう問題があるのを知ってもらう、知らせていくっていうのも先生は大事なんじゃないかと思っています。」
「……けどね、こういう真面目な話をすると、生徒諸君はTwitterで先生に言うわけです。「あー、サカナLOCKS!よくわかんね!……お風呂入ろ。」みたいなね(笑)。でも、先生、それでも負けないぞ!こういう問題があるってことを生徒諸君に知ってもらいたいと思っています。生徒諸君は、まだライブに行った事がないっていう子もいると思いますけど、先生も生まれて初めて行ったライブとか忘れないんですよ。普段CDで聴いている音楽を大きい音で聴くっていうのは素晴らしいことだと思いますよ。音は波だからな。体で音を吸うということは全然違うことだぞ。」
ということで、今回の授業もそろそろ終了の時間です。
「今日も厳しく真面目な授業をしたけど、来週のサカナLOCKS!は……バイノーラルの授業を企画しています!先生は、来週のバイノーラルの授業の中でギターを弾いて歌っちゃおうかなと思っています!先生、ギター持ってくるぞ。ギターを持ってきて、生徒諸君のすぐ目の前で歌っているかのような感覚で、寄り添うように、先生の鼻息が聴こえるくらいのところで歌おうと思っているので、楽しみにしていてください。」
ということで、来週のサカナLOCKS!はバイノーラル・ライブを開催します!生徒の皆さんは、イヤホンもしくはヘッドホンを準備して授業に参加してください。