■よかったよかった
アルバム完成おめでとうございます\(^∀^)／締め切り伸ばしてもらえてよかったですね(笑)
クロスグロス
女/17/大阪府
「クロスグロス、詳しいね(笑)。僕、このことをTwitterでつぶいたんですよ。"発売日の1ヶ月前に完成してないと、発売が延期になる" って聞いていたんですけど、今回はそれを越えました(笑)。直接、工場に音源を持って行ったっていう話を聞きましたね。だから結構ギリギリまで頑張らせていただきました。ある時期の先生のTwitterを見れば分かると思うんですけど、ずっとアルバム用の歌詞を書いていた時期があるんですね。なぜそうなったかというと、今回のアルバム・レコーディングでは……
メロディを "ラララ" で歌った状態で、まず曲を完成させる
↓
その雰囲気を壊さないように歌詞を書いていく
……というチャレンジをしたので、歌詞が全部後回しになったんですね。全ての楽器のレコーディングを終えてから、歌詞を書き始めた。そのため、進行が遅れてしまったんですね。大変でしたよ。だから僕が歌詞を書いている間、キーボードの岡崎とかは、寝てましたからね(笑)。二連休とか三連休とか平気でありましたから。」
さて今回の授業は、ミュージシャンが楽曲をリリースする方法の話です。
「ちょっと難しくなるかもしれないので、勉強熱心な生徒は、紙とペンを持った方がいいかもしれないですね。」
パッケージとは「CDをはじめとする、形に残る物で音源をリリースすること」で、配信というのは「iTunesや着うたなど、形に残らない方法で音源をリリースすること」を指します。今回の授業は、先日、山口先生がTwitterである質問をつぶやいていたことがきっかけになっています。
2013年2月17日(日) 午後7:37
僕からみんなに質問させて下さい。音楽を手に入れる時はCDですか？配信ですか？その他の方法ですか？正直に教えて頂けたら幸いです。
Twitterで見る
「僕が先日、アルバムの制作を終えてすぐの頃、Twitterでみなさんにこんな質問をしました。先生がなぜ、こういう質問を投げかけたかというと、今回のレコーディングは本当に時間がなくて、ギリギリまで時間をかけて……それこそ、ビクターの超大物ミュージシャンの進行を超えるくらいギリギリの進行で(笑)、レコーディングさせていただいたんですよ。なぜそんなに時間が無かったかというと、CDを作るのにはプレス工場に音源を送らないといけないのですが、その納期のリミットが、発売の1ヶ月前と言われているんです。「そこまでにできていないと、アルバムの発売は延期！」と、ビクターのお偉いさんにガミガミ、ガミガミ言われ続けながら、先生は曲を作っていたわけです(笑)。"なんでこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだ……。もっとゆっくり作らせてくれよ！" と、先生たちは本当に苦しかったんですけど、"あれ、ちょっと待てよ。これ、プレス工場に音源を送らなくていい『配信』でのリリースだったら、もうちょっとギリギリまで制作できるんじゃないのか？" ……と、先生は、アルバムが完成してから、ふと思ったわけです(笑)。そして先生は、そもそも、パッケージと配信が同じ物である必要があるのか？という疑問を持ちました。そのため、みなさんにTwitterで質問を投げかけたのです。」
"音楽を手に入れる時はCDですか？配信ですか？"
「……すると不思議なことに、みんなの反応は、先生の予想とは違いました。返ってきた答えでは、「CDです！」というもの多く、"CDです"っていう言葉が、Twitterのトレンドになりました(笑)。それくらいCDで音楽を手に入れる人が多かったんですね。このことに、先生は音楽の未来を感じました。……僕は、配信の方が多いかと思っていたんです。なぜなら、前にTwitterで、"音楽をどういう環境で聞いていますか？" と質問したときに、"iPodからイヤホン" という意見が多かったんですよ。iPodで聞くということは、配信で音楽を手に入れて、そのままiTunesに入れているのかと思っていたんですが、みんなCDで買って、パソコンに取り込んでから、iPodに入れているということだったんですね。」
「そして、CDを手に入れる理由というのが「形に残したい」とか「歌詞を読みたい」……パッケージまでミュージシャンの表現の一部だと言ってくれている人が多かったです。SCHOOL OF LOCK! の生徒たちや、サカナLOCKS! の生徒たちと同じくらい、先生のフォロワーたちは真面目な人が多かったですね(笑)。これは、ミュージシャン冥利につきることです。」
「あと、面白かった意見は「ジャンルによって配信とCDを買い分けている」という人がいました。これはマニアックですね。何かあるんでしょうか？クラブ・ミュージックは配信にして、J-ROCKはCDにするとか……かな。でも、なんかその気持ちは分かりますね。クラブ・ミュージックって、なかなかCDで探すのは難しいから、配信で買ってすぐ聴きたいっていう部分があるのかな〜と思いました。」
ここで生徒の皆さんに質問です。
『配信とパッケージの違い』について、パッケージと音以外にどんな事があると思いますか？
「実は、先生たちが作ってレコーディングした音源は、CDにプレスされる時点で音が圧縮されているんですね。作ったままの音がCDに入っているわけではないんです。そして、iTunesに限定して話をしますと、iTunesで配信されている音源は、CDよりも音質が悪いです。どう悪いか詳しく説明すると、細かくなって難しくなるので、例えるなら…… "薄いカルピス" です(笑)。味が薄いカルピス ＝ iTunesで配信されている曲だと思ってください。そして、味が濃いカルピスがCDだと思ってください。配信だと "音が薄い" んですね。」
「配信を選ぶ人の理由としては、データが軽くて、すぐ手に入るというメリットがありますね。CDで買う人は、僕らの作った音源に近い音で、その曲を聞く事ができますし、歌詞カードが見れて、物として手元に残るという、いろんなメリットがあって、どちらがいいかというのは、その人の好みで良いと思うんですけど、先生の個人的には、やっぱり作っている音に近い形で聞いてもらいたいと思うし、ミュージシャンは、ジャケットとかそういう部分にも、ものすごく力を入れているので、そういった形で手に入れてもらいたいと思います。」
ちなみに山口先生は、普段、どういう風に音楽を手に入れて、どんな環境で音楽を聴いているのでしょうか。
「先生は音楽をCDで聞きます。だけど、iTunesでも買います。iTunesで買って、良かったらCD、もしくはレコードで買い直しています。だから、レコードで聴くこともあるし、配信で買ってCDで買い直すこともあるし、CDだけ買って配信で買わないのもあります。そして、先生がどういう環境で音楽を聴いているかというと、iTunesのAirPlayを使って、Wi-Fiで飛ばして、それをスピーカーから聴いています。D/Aコンバーター(デジタルの音声をアナログに変換する機械)を通して、Bowers & WilkinsというメーカーのCM5というスピーカーで聴いています。」
「ミュージック」発売前に公開された、サカナクションのアーティスト写真にも写っています！
そして、いよいよ来週！3月13日にCDと配信が同時発売となる、サカナクション、6枚目のニューアルバム『sakanaction』。配信の方が値段は安くなっていますが、CDの初回限定版には、ボーナストラックが収録されています。DVDには、初回生産限定版の映像作品のLIVE映像・ドキュメント映像が入ります。Blu-rayには、それに加えて、「僕と花」「夜の踊り子」「ミュージック」のミュージックビデオが収録されます！
「これは本当に盛りだくさんです。……この意思表示、分かるでしょ？ "CD買え" っていう(笑)。ただ、生徒諸君、君たちに合う形で、僕らの音源を手に入れていただけたらと思っております。」
さて、そろそろ授業終了の時間です。
「今夜は『配信とパッケージ』という授業をやったんですけど、非常に繊細なところでもあるんですよ。配信が伸びていくことで、CDというものが売れなくなっていて、音楽の価値が変わっていくんじゃないかっていう問題はミュージシャンの中で取り上げられている話題でもあります。生徒のみんなが選ぶ物だし、リスナーが主流を作っていくものだと思うんですよ。先生はCD世代なので、CDに対して愛着はあるけど、僕らのひとつ前は、レコード世代ですからね。レコードからCDに代わって行くときも、同じような問題があったと思う。だから、音楽の未来を作っていくのは、生徒ひとりひとりの選択になっていくと、先生は考えております。」
M Aoi ／ サカナクション
