山口「はい、授業を始めますから席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒、マンガを机の中にしまいなさい。Twitterを開いている生徒、Twitterを一度閉じなさい。授業を始めますよ。今日はね、早めに黒板にいきます。」
「"RBMA"、これはですね、"Red Bull Music Academy" の略です。みんな、Red Bull飲んだ事あるか?あの、飲んだら元気が出るやつだぞ(笑)。そのRed Bullの、ミュージック・アカデミーのことです。1998年にスタートしたRBMAは、世界各地の若く才能溢れるアーティストたちを支援する音楽学校として、世界中にネットワークを広げ、世界で活躍するようなアーティストを輩出して来たのですが、今年、アジア初となるアカデミーが東京で開催され、その告知キャンペーンのメインビジュアルの一人を、私、山口一郎が務めています。……ということで、一郎先生はキャンペーンボーイになりました(笑)。先生は人生で最初で最後になると思うけど(笑)、渋谷のスクランブル交差点、あそこのビルボードに出ましたよ。キャンペーンボーイとして。」
この山口先生の肖像画は、東京・渋谷のスクランブル交差点などに掲げられています。「創造(クリエイション)の根源にあるもの」をテーマに考えられた山口先生の言葉と共に、日本を代表するクリエイターの1人である、寺田克也さんによって描かれています。
「さて、今回の授業では、このRed Bull Music Academyが一体どういうムーブメントなのか、これは一体何なのかということについてお届けします。」
■Red Bull Music Academy
山口「今回は、Red Bull Music Academyに詳しい関係者の中山さんに、授業に参加していただきたいと思います。よろしくお願いします。」
中山「よろしくお願いします。」
山口「Red Bull Music Academyというのは学校を開くということですけど、学校ってどういう事ですか?」
中山「基本的に、レクチャー、スタジオセッション、イベントの3本柱で成り立っているんですけど、レクチャーっていうのは、学校を開くという意味ですごく大切なんですね。」
山口「そうですよね。校舎が必要となってきたりしますよね。」
中山「そうです。その学校を探すところから始まりまして、授業をできるように、レクチャーホールというのがあります。その中で毎日授業を行っていきます。そして、みんながセッション出来るようなスタジオを作る。卓録スタジオと言われる、みんなが家で作っているような、パソコンとちょっとした機材があるくらいの曲を作れる環境があったりとか。あとは、本格的なレコーディングスタジオっていうのが建物の中にあります。」
山口「Red Bull Music Academyが行なわれる学校っていうのはどこなんですか?」
中山「それは、東京、渋谷……某所って感じなんですけど(笑)。」
山口「ははは(笑)。そうなんですね。」
中山「一応クローズドなので、一応関係者だけ入れるような感じで、開催期間中の1ヶ月間だけ存在する学校です。これが終われば、レコーディングスタジオだけを残して、立て壊しまでは行かないですけど、学校としての機能は1ヶ月限定です。」
山口「えー!めちゃくちゃやりますね(笑)。」
中山「そうですね(笑)。正確には、前期と後期の2週間、2週間で、間に1週間が空いて、トータル5週間なんです。」
山口「その間は、レクチャーだったりスタジオセッションだったり、いろんなことが行なわれるわけですね。」
中山「そうです。」
山口「生徒はどんな人たちなんですか?」
中山「生徒は公募で、毎年1月の中旬くらいから、3月半ばや4月くらいまでに世界中で募集をしていまして。オンラインで募集をしているんですけど、これはちょっとしたこだわりで、アプリケーションで応募用紙をダウンロードしていただいて、それを印刷して、ふざけた質問がたくさんある応募要項に答えていただきます。それと、自分の音源、自分の作った曲であったり、DJの方であればミックスCDとかを添付して、ケルン(ドイツ)にある本部まで送ってもらいます。今年は、40カ国から6500通くらい着た中から、いろんな人……レーベルオーナーや心理学者とかも居るんですけど、その人たちが何回も何回も篩にかけていって、最終的に選ばれた60人が生徒になります。」
山口「60人……世界各国から?」
中山「そうですね。」
山口「そういう人たちがこのアカデミーのために東京に集まるんですか?」
中山「そうです。」
山口「えー!世界各国から!その、来る人たちはみんな自費で来るんですか?」
中山「基本的にすべてアカデミー持ちです。往復の航空券と、滞在中のホテル、飲食や、毎日あるイベントの中のドリンク代とかまで全てケアしています。」
山口「えー……!年齢層はどのくらいなんですか?」
中山「年齢層は、基本的に制限はないんですよ。プロでもアマでも、誰でも(応募できる)。だから、山口先生も、もしよかったら来年とか応募して……」
山口「わ!ちょっと、応募したい!ちょっと、ビクターに今からスケジュールとか言って!」
中山「ははは(笑)。是非。誰でも応募できるんですけど、ただ国によって若干違いがあって。例えば日本の場合は、夜のイベントには未成年は入れないところが多いので、今年は20歳以上っていう制限が設けられているんですけど、国によってそういう制限が無ければ何歳でも大丈夫です。」
山口「なるほどね。」
山口「ちなみに、講師の人たちにはどんな人たちがいるんですか?」
中山「講師は、基本的に世界中から講師も集まるんですけど、著名なアーティストから、"レジェンド"と呼ばれる人たち。また、その人の名前は知らなくても、その人のやった仕事はみんなが知っている、というような人。例えば、有名なプロデューサーとかなんですけど。去年だったら、ブライアン・イーノ(Brian Eno)……」
山口「ヤバいっすね!生徒諸君、ブライアン・イーノ知ってるか?すごい人だぞ!」
中山「あと、エリカ・バドゥ(Eryka Badu)とか、去年はニューヨークでの開催だったので、ニューヨークのアーティストが多かったんですけど。過去に日本人で講師を務めた方が何人かいまして、その中でも有名な人では、坂本龍一さんとか。あとは、名前を聞いてもピンとこないかもしれませんが、ケン・スコット(Ken Scott)っていう、ビートルズ(The Beatles)のサウンドプロデューサーで、実際にレクチャーでは、アビーロードのスタジオでこの曲を作った時に、ジョン(John Lennon)とポール(Paul McCartney)がどういう会話をしてこのギターのリフが生まれたんだよ、とか……」
山口「えー……!」
中山「そういった、なかなか普通では体験できないようなことを体験した人たちに講師として来ていただいています。」
山口「それはすごい学校ですね。」
中山「そうですね(笑)。」
山口「今これを聞いている10代の生徒たちが、来年、再来年に行なわれるRed Bull Music Academyに応募する事も出来るんですもんね。」
中山「そうです。」
山口「聞いた諸君、これは、検討すべきだぞ!」
山口「学ぶだけではなく、ライブも行われるんですよね?」
中山「そうですね。」
山口「なかなか難しいとは思うんですけど、このラジオを聞いていて、東京にはなかなか来れない人たちが地方からもライブに参加する方法はないですか?」
中山「それで言うと、新宿にあるカラオケ館を1日お借りして、カラオケ館の協力を得て、その中でライブイベントを行います。そして、その様子をストリーミングで配信します。」
山口「普通のカラオケボックスですよね?ははは!(笑)」
中山「はい。10月22日に、夜8時から11時の3時間だけ。ビートメイカーである、Seihoさんとか、tofubeatsさんっていう、日本のアーティストを中心に、世界に紹介するっていうショーケースになっているんです。そして、このアカデミーに来ている生徒たち、この参加者も演奏します。」
山口「なるほど。その人たちのライブやプレイもストリーミングで世界中の誰もが立ち会えるというわけですね。」
中山「そうです。
山口「しかもそれが、新宿のカラオケ館!」
中山「はい。カラオケ館からお送りします。」
山口「ははは(笑)。すごい。じゃあ、生徒のみんなは、10月22日の夜8時から10時、頑張って起きていれば、ストリーミングで、生で体感できるわけですね。これ、みんなには見て欲しい。先生もその時間はなるべく参加するから、一緒に見てみようよ!」
中山「そうですね。7つ部屋がありまして……」
山口「7つカラオケボックスがあるんですよね?(笑)」
中山「そうですね(笑)。その中で自分たちが好きなチャンネルに合わせてもらうと。フェスティバルとかに行った時のような、ステージが7つあって、さあどこに行こうかなっていう感じで。バーチャルですけど、ウェブサイトにもそのようなトリックを考えていますので、東京以外に住んでいる方でも楽しめる内容になっています。」
山口「じゃあ、生徒諸君はこの後すぐRed Bull Music Academyのホームページを見てみよう。先生もいろいろ見たけど、それ以外にも面白い情報がいっぱいあるんでね。」
■Red Bull Music Academy presents Lost In Karaokeのイベントページは[ →コチラ ]
山口「未成年が入場できるイベントもあるんですよね。」
中山「はい。10月18日と19日に、恵比寿のLIQUIDROOM(リキッドルーム)で2日間開催するEMAF(Electronic Music of Art Festival)は年齢制限がなく、未成年でも入場できます。」
山口「リキッドルームは先生も大好きなところですよ。じゃあ東京に遊びに来ていたり、東京に住んでいる人はそこに遊びに行けば良いですね。普段聴く音楽とはまったく違うものが体感できるかもしれないですね。」
中山「そうですね。お昼のイベントなので、夜10時くらいには健康的に終わります。」
山口「はは(笑)。みんな、怖がらずに遊びに行ってみよう!普通のクラブとは違って、ライブに行く感覚で、生徒たちもいきやすいかもしれないですね。音楽が好きな人たちだから、絶対優しいから。怖がらず、友達を誘ったり、一人でも、勇気出して行ってみたら、人生が変わるかもしれないぞ。」
中山「そうですね。」
山口「来年、Red Bull Music Academyに応募したいと思う気持ちになるかもしれないし、是非チャレンジしてもらいたいと思います。ということで、今回はRed Bull Music Academyに詳しい関係者の中山さんにお越し頂きました。本当にありがとうございました!」
中山「ありがとうございます。」
Red Bull Music Academy presents EMAF Tokyo 2014のイベントページは⇒[ →コチラ ]
今回の授業もそろそろおしまいの時間です。
山口「やっぱり、Red Bullすごいね。ミュージック・アカデミーっていうものを、言ってしまえば……飲料水の会社が、カルチャーに投資して、若者たちや音楽が好きな人たちに何かを届けようとするって、普通に考えたらできないでしょ。お金の事とか考えたらね。でも、中山さんみたいな優秀な方がそれを育んで行くっていうのは素晴らしい事だと思うし、東京でこんなことが行なわれているんだと。みんな知ってた?ふふふ(笑)。なかなか、興味がある人でさえ知らないようなことが行なわれているわけですから。それをみなさんは、今回をきっかけに、ちょっとホームページを見てみたり、そこに載っているミュージシャンをYouTubeで見てみたりするだけでも、何かが変わるかもしれないよ。だから、是非興味を持ってもらえたらと思っています。」
そして!!
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