今回のサカナLOCKS!は、8月31日(日)に新木場 STUDIO COASTで開催される『閃光ライオット 2014』ファイナルに出場する10代のミュージシャンたちから質問を大募集。SCHOOL OF LOCK!の「バンド部」顧問である山口一郎先生が直接、電話でアドバイスしていくという、緊急学級会を開きました。
山口「3日後に控えて、本番を前にみんながどんなことで悩んでいるのか、これは、バンド部顧問としては放っておけないです。先生ね、これをやるにあたって、全出演者の音源を聴きました!すごいレベル高いね。それに先生、ビックリした。天才だなって思う人がいましたよ。詳しく話を聞きたいって思ったくらい。ちょっと、いろいろと相談にのっていきたいと思いますので、早速電話していきます。全員は時間的に難しいので、1人2分とかで、5組くらいいけたら良いかなと思っています。」
まず登場したのは、【climbgrow】
ボーカルの杉野君です。
山口「もしもし!」
杉野「もしもし、climbgrowの杉野です。」
山口「初めまして。杉野君、閃光ライオット本番まであと3日ですね。緊張してる?」
杉野「はい、しています。」
山口「でも、楽しんでくださいね。」
杉野「はい。」
山口「何か気になっている事があったら相談にのりますよ。」
杉野「僕らは、ライブ前ストレッチとかしているんですけど、山口さんはライブ前に何をしていますか?」
山口「ライブ前に?もちろんストレッチもするし、フェスとかだったら、他のミュージシャンのライブを見て、自分の緊張をほぐしたりします。けっこう緊張するタイプですか?」
杉野「そうですね。緊張してしまいますね。」
山口「なんかね、僕が何かの本で読んだ緊張のほぐし方があるんだけど。それは、ステージの上に立っている自分を、俯瞰でイメージするんだって。上から見ているイメージ。演奏中とか、自分がステージに上がっていく時とかも、俯瞰で見ているイメージでいると、緊張しないんだって。」
杉野「そうなんですか。」
山口「実際に、自分でやってみたら緊張しなかったですよ。客観的に自分を見られるっていうか。」
杉野「へー!やってみます。」
山口「やってみたら良いと思います。でも、楽しんでね!楽しんだら良いと思いますよ。」
杉野「はい。」
山口「あと、本番ってリハーサル無いんですもんね?」
杉野「はい。」
山口「それね、結構ドキドキするね(笑)。」
杉野「はい。ははは(笑)。」
山口「音出しとかはできるんだよね?転換中とかに。できるだけそこでしっかり整えて、頑張ってください!応援しています。」
杉野「はい。ありがとうございます。」
次は、【ぼくのりりっくのぼうよみ】!
山口「もしもし!」
ぼくのりりっくのぼうよみ(以下:ぼく)「もしもし、こんばんは。」
山口「君ね、すごいよ。僕、大好き。音、聴きましたよ。」
ぼく「ありがとうございます。」
山口「君、16歳?」
ぼく「16です。」
山口「すごいね!」
ぼく「ありがとうございます。」
山口「これ、トラックを作っているのは友達?誰なの?」
ぼく「なんか、ネットに上がっているやつを借りました。自由に使っていいよ、っていうやつを。」
山口「そうなんだ。このトラックと君の声の感じとグルーヴは、もう、すごいね。」
ぼく「ありがとうございます。」
山口「どうしてラップ始めようと思ったの?」
ぼく「好きなラッパーさんがいて、Twitter上で仲良くなって、やってみたら?って言われて、やります、と。」
山口「そのラッパーさんって誰なの?」
ぼく「VACONさんなんですけど。」
山口「へぇ、そうなんだ。僕、SoundCloudとかに上がっている楽曲も聴かせてもらいましたよ。」
ぼく「わ、ありがとうございます!」
山口「すごい面白いなって思いましたよ。そして、本番3日前ですけど、何か気になっている事があれば相談にのりますよ。」
ぼく「僕、今聴いてもらって分かると思うんですけど、暗い感じの曲が多いじゃないですか。」
山口「暗くないよ!格好いいよ、めちゃくちゃ。」
ぼく「暗くないですか?(笑) まあ、でも、どちらかというとネガティブな感じが多いんです。でも、1曲明るい感じの曲を作ってみたんです。それで、サビで、みんなでイェーイ!って言う、みたいなのがあるんですけど、それをみんながやってくれるかなって不安で……。」
山口「はいはい。コール&レスポンスね。それに応えてもらえるか不安だと。」
ぼく「そうです。」
山口「いやね、もう、良いよ。そんな事しなくて。充分曲がかっこいいもん。」
ぼく「うわ(笑)。もう作っちゃった……(笑)。」
山口「あ、もう作っちゃった?作っちゃったか〜。」
ぼく「準備してます(笑)。」
山口「準備しちゃったか。じゃあ、とりあえずやる。言って、言ってくれなかったら、そのままいこうよ。」
ぼく「もう、無かったかのように?」
山口「うん、無かったかのように。君のその声で、言ってくれたら嬉しいなって、言ってやってくれなかったらしょうがないって思ったらいい。」
ぼく「はい、分かりました。」
山口「でもね、良いよ。かっこいいもん。すごいな〜。」
ぼく「そうですか?ありがとうございます。」
山口「16才って、すごいね。横浜なの?」
ぼく「はい、横浜です。」
山口「そうか。僕も期待しているんで、頑張ってください!相談、ちゃんとのれたか分からないけど(笑)。」
ぼく「はい。ありがとうございます。楽になりました。」
次に登場したのは、【Rick Rack】!ボーカルのSERINAちゃんです。
山口「初めまして!」
SERINA「初めまして。Rick Rackのギター・ボーカル、SERINAです。よろしくお願いします。」
山口「こんばんは、よろしくお願いします。女性3人組なんですね。」
SERINA「そうです。ガールズバンドです。」
山口「16才?」
SERINA「私は16才です。」
山口「うーん、すごいね。」
SERINA「ありがとうございます。」
山口「本番3日前ですけど、何かありますか?緊張していることとか。」
SERINA「はい。あの、閃光ライオットのファイナルでは、いつも以上に良い演奏をしたいなって思うので、いろんなことに気を付けながらスタジオに入って練習をしているんですけど、新木場 STUDIO COASTのステージって、2000人以上のお客さんが入るすごい大きい所だって聞いているので、めっちゃ緊張しちゃうだろうなって思っているんです。もし、緊張して気を付けようって思ってた事が全部頭の中から飛んじゃっても、これだけは思い出したら良い、これだけは持ってステージに上がったら大丈夫っていう何かがあれば教えてください。」
山口「そうだね。今、一生懸命、練習しているんだもんね。」
SERINA「はい。しています。」
山口「その、練習しているときの事を思い浮かべれば大丈夫だよ。」
SERINA「あー!」
山口「メンバーで向かい合って練習してる?スタジオで。」
SERINA「そうですね。」
山口「その、向かい合っている時の、メンバーのドラムのNATSUKIちゃんとか、ベースのYOUちゃんの演奏している姿を想像しながらステージで歌うと良いと思うよ。」
SERINA「はい。いつも、結構目が合ったらニヤニヤしながら練習しています(笑)。」
山口「そうそう。その時のこととかを思い出したりすると、きっと、MCをうまくしゃべろうとか、演奏をもっと丁寧にしようっていうことよりも、自分がもっと楽しんでやるってことを思い出せると思うから良いと思うけどな。」
SERINA「やっぱりMCが一番苦手なんで、それは、どうしようどうしようって考えちゃう時があって。」
山口「そんなん、僕もMC苦手ですから。だから、僕MCしないもん(笑)。」
SERINA「ははは!(笑)」
山口「フェスとかでは、1時間のセットリストとかでもMC無しですから。」
SERINA「へぇ……!衝撃ですね。」
山口「音楽聴きに来ているんだから、みんな。話を聞きに来ているわけじゃないからね。」
SERINA「私もMC無しでやろうかな……!」
山口「うん。だから、一言でも、「こんにちは、Rick Rackです。私たちの音楽を聴いてください。」って言えばみんな聴くし、プレイしているときに、音に自分が入り込んで演奏している姿を見せられれば、言葉よりも説得力があると思いますよ。」
SERINA「はぁ……!ありがとうございます。やってみます。」
山口「頑張ってください。男の子に負けないで!」
SERINA「負けません!」
山口「はい、それでは。」
SERINA「ありがとうございました!」
そして続いては、【突然少年】!ボーカルの大武君です。
山口「大武君ですか?」
大武「そうです。よろしくお願いします。」
山口「閃光ライオットまであとわずかですけど、何か相談にのらせてください。」
大武「すみません、また、MCのことなんですけど……(笑)。」
山口「ははは!(笑) いいよ。」
大武「事前にMCでしゃべりたいこと、お客さんにこういうことを言いたいなってことを紙に起こしたりとか、いったん頭で整理してからライブに臨む事が多いんですけど、ライブで演奏していて気持ちが高ぶってきたりすると、瞬間的に別の事を言いたいなって気持ちが出てきて。それを上手く言葉にして伝えるのが苦手で。上手く伝える秘訣があれば教えてください。」
山口「そうだね。思いついたらそのまま話せば良いんだと思うし、まずは、お客さんをお客さんだと思わない方が良いよ。友達だと思って話したら良いんだと思うよ。普通に友達と話す時には、会話をメモに起こしたりしないじゃん。目の前にいる仲間に話をする時とかさ。普通に話をするでしょう。で、思いついた事をどんどん言ったりするじゃん。メンバーとセッションする時とか、思った事を言ったりするでしょ?感じた事とか。」
大武「はい、そうですね。」
山口「自分がその時に感じた事を伝えるっていうことは、ふだん人にしていることなんだから、それをお客さんに対してするっていうよりかは、お客さんが友達だと思ってそれができたら、より伝わると思うけどね。何を話しても良いんだと思うよ。」
大武「なるほどー……!」
山口「もし話すことを、台本書いたりするんだったら、本当に演技を勉強するくらいの気持ちでやった方が良い。昔、ヴィジュアル系のバンドがMCとかの一語一句を台本書いて、その通りにライブをやったりしていたよ。それくらいやるんだったら、台本を書くのは分かるけど、ぶっつけ本番でその時に思ったことを言うくらいで良いと思うけどね。その方が伝わるし。」
そして本日、最後のご登場は【Cookie Monsters】!ボーカルのことぴちゃんです。
山口「もしもし。こんばんは!ことぴちゃん。」
ことぴ「こんばんは、ことぴです。」
山口「山口です。初めまして。」
ことぴ「初めまして。」
山口「閃光ライオットまで後3日ですけど、何か相談にのれることはありますか?」
ことぴ「私たち、ゆったりした曲が多くて、あまりお客さんを上手く煽ったりできないんですけど、ライブ会場でお客さんと一体化するにはどうしたら良いですか?」
山口「そうだねー、でも、ゆったりした曲かな?結構ちゃんと曲のダイナミクスもあるし、一体化できそうな気がしたけどね。」
ことぴ「そうですか?ありがとうございます。」
山口「演奏をする時に、ゆっくりな曲でも速い曲でも、ちゃんと自分のパート以外のプレイを聴いて、しっかりバンドでグルーヴが出来上がっていれば、どんな曲でもちゃんとお客さんを掴めると思う。無理に煽ったりしなくて良いと思うよ。しっかり演奏をして、自分たちの曲を伝えるってことに専念していれば大丈夫!」
ことぴ「はい、ありがとうございます。」
山口「頑張ってね!男の子たちに、負けないでね。」
ことぴ「はい、負けません。頑張ります。」
山口「応援してます。」
ことぴ「ありがとうございます。」
ということで、緊急学級会もそろそろ終わりの時間になりました。
山口「先生、全出演者の音源を聴いて思ったのは、みんなレコーディングが上手いってこと。みんな宅録でやってるんですよね。そういう技術が発達するっていうのはすごい事だなって思いましたね。閃光ファイナリスト全員には電話できませんでしたが、もし他の閃光ファイナリストが今日の放送を聴いているなら、もうね、楽しむ事だね。人生はこれで終わりじゃない。音楽人生もここから始まっていくわけですから。やっぱり楽しんでやる事が一番重要だと思います。緊張すると思いますけど、頑張ってくださいね。」
改めて『閃光ライオット 2014』ファイナルは、8月31日に新木場STUDIO COASTで開催します。生徒の皆さん、是非遊びに来てください。
山口「あ、ちなみに、来週の授業ね。先生がどうしても秋のぶどう狩りに行かなくてはならないので、副担任ズ、僕以外の4人に授業を担当してもらいたいと思います(笑)。」