宿題『最初にコピーした曲を述べよ』(2)

2014.05.01

サカナクション

今回のサカナLOCKS! は先々週の続き、宿題「君が初めてコピーした曲を述べよ」の授業です。前回の授業で、山口先生は「最初にコピーした曲っていうのは、絶対に忘れない。」と、最初にコピーした「なごり雪」という曲がサカナクションの最新シングル「ユリイカ」と繋がっている部分がある、と話してくれました。今回も生徒の皆さんが初めてコピーした曲を紹介していきます。

僕は初めてコピーした曲はOasisの「Song Bird」です。僕がロックンロールミュージックにハマったきっかけであり、ギターに憧れを抱くきっかけにもなったバンドでもあり、その中でも簡単な曲だとギターをやっている友達に聞いたので、Oasisの「Song Bird」を選びました。

なおきんかん
男/16/神奈川県

山口「ほぉ～、洋楽から始めた子もいるんですね。そりゃいるでしょうね。16才の男子がOasisをコピーするってことは、またちょっと、Oasisすごいなってところもありますけどね。だってもう、おじさんですからね(笑) Oasisの人たちって。すごいな～。そんな風にサカナクションもなりたいですね。」

僕はBase Ball Bearの「ELECTRIC SUMMER」をコピーしました。理由は、将平さんのギターソロがめっちゃカッコよかったからです!!

流石光輝
男/14/東京都

「おぉ～……すごいところ行ったね～。(曲を聴きながら……)うわ、すごい!めっちゃ今な感じするね、この曲。うん、カッコイイ。Base Ball Bearって基本ちょっと早かったですよね、やってることが。今ですもんね。もう、小出君が上手すぎる、全体的に。一回、僕Base Ball Bearの中で歌った事があるんですよ。武道館で。その時にすごい感じたのは、ステージの上(のモニター)で聴こえるのは、小出君のギターだけ。みんな小出君に合わせて演奏してるって感じ。ドラムはめちゃくちゃセットが大きくて、キックの口径もめちゃくちゃ大きくて、それをぐわーって叩くから、すっごい音が鳴っているのかと思いきや、それを勝る程のギターの音、みたいな。あのバンドは小出君のバンドなんだなって思いましたね。ギターの音は、カッティングとかじゃなくて、ギターソロとか前に出てきて見せるギターに惹かれるんですね。でも、ソロもカッティングとかのリズムですからね。でも、良いと思う。……カッコイイね～、この曲、やっぱり。」

そして他にも、以下のような曲が最初にコピーした曲として、生徒の皆さんから提出されました。

SEKAI NO OWARI「天使と悪魔」
SEKAI NO OWARI「不死鳥」
SEKAI NO OWARI「スターライトパレード」
BUMP OF CHICKEN「天体観測」
MONGOL800「小さな恋のうた」
RADWIMPS「セプテンバーさん」
KANA-BOON「ないものねだり」
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「SEKAI NO OWARIってドラムいないですよね?打ち込みのリズムですもんね。……ベースもいない? へぇ～。やっぱりSEKAI NO OWARI先生が好きな年齢層の人たちは、もうバンドでコピーをするっていう概念がひょっとしたら薄いのかもしれませんね。打ち込んだりするというか。YouTubeとかを見ていると、コピーしてみました、みたいなのがあるじゃないですか。そこでも、打ち込みをコピーして披露している人たちもいますもんね、いっぱい。そう考えると、SEKAI NO OWARI先生は、現代のバンドのひとつのフォーマットになっているのかもしれないですね。なるほどね～。そういう意味では、目標になっているわけですよね。形として残っている、時代を反映しているってことだ。なるほどね～。あと、声も良いですね。」

「BUMP OF CHICKEN先生の「天体観測」はもう、絶対ですもんね。でも、これは今の10代の子たちもコピーするんですよね!それがまたすごいですよね～。まだ10代の子たちがコピーするって、相当ですよね。」

「そう考えたら、MONGOL800の「小さな恋のうた」っていうのも……これも何年前の曲ですか?これが一番コピーした曲として提出されてきた数が多かったと。インディーズで最も売れた曲っていってね。生徒諸君、インディーズで売れると、印税が半端ないんだぞ!(笑) でも、やっぱりシンプルで簡単で良いメロディで歌えるっていうのが重要なんですね。めちゃくちゃ良い歌ですね、鳥肌立ちますね。」

「RADWIMPS「セプテンバーさん」。僕、RADWIMPSを聴く度に、オフコース的な存在になるんじゃないかなってイメージがずっとあるんですよね。コード感とか、歌っている事とか……。」

「KANA-BOONも居たんですか?コピーした曲に。へぇ～。KANA-BOONは若い世代で、もうコピーされているってこと?なんか、ヴィジュアル系のにおいありますよね、KANA-BOONって。バンドとしてはCASCADEの感じありますよね。あとSPARTA LOCALSのにおいもある。SPALTA LOCALSとCASCADEを半分ずつ足したような……サブカル要素満載、みたいな。あと、本人たちはめちゃめちゃ真面目ですもんね。」

ということで、そろそろ授業終了の時間です。
2週にわたって取り上げてきましたが、山口先生から総評をお願いします。

「まとめてみると、ザ・バンド!みたいなのが多いですね。ギター、ベース、ドラムがあって、サビが激しい曲が多いんじゃないかと思いましたけど。やっぱりギターをやっている人が多いのかな?だから、ギターがメインになる曲が結構コピーされたのかなと思うわけですけど。こうやって今まで聴いていた音楽を演奏(コピー)するようになって、気づく事があると思うんです。なかなか聴いているときに意識する部分じゃないのかもしれないけど、曲のテンポとか、音の抜き差し。Aメロでギターがいないとか、サビでいきなり入ってくるとか。そういうのでサビの厚さが出てきたりとか。コピーする事で、曲の構成とか、理屈みたいなものが分かるので、そのあと自分が曲を作ったりとか、また新しいバンドを好きになったときとか、自分の中での方程式みたいなものが理解できるようになるのではないかと思いますね。なので、どんどんみんなコピーして欲しいです。」

ちなみに山口先生のおすすめとして、今コピーするならどんな曲でしょうか。

「今ならね～、何だろうな～。何をコピーするのが面白いかな。先生がおすすめのコピーは、バンドじゃないのをバンドでやってみる、だね。きゃりーぱみゅぱみゅちゃんを、バンドでコピーしてみよう!すると、きっと面白い感じになるんじゃないかと思いますね。バンドじゃないHIP HOPをバンドでやってみるとか。そうすると、結構新しい発見があったり、自分たちのノリみたいなのが分かってきたりするのでね。それがオリジナルに結びついたりするかもしれないぞ!なので、そういうのもやってみたらどうでしょうか。ということで2週に渡ってやってきましたけど、やっぱり、コピーされるっていうことは、音楽史に名前を残したっていうことですよね。歌がひとつの言葉として口承で伝えられていた次代があった、縄文時代とかね。やっぱり音楽は伝えられていくものなんだと。伝えられていくものを作るっていうのが、ミュージシャンとしての使命なのかもしれないと感じました。」