山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒、マンガを机の中にしまいなさい。Twitterを開いている生徒、Twitterを一度閉じなさい。受験勉強をしている生徒……その手を止めては、いけません……。頑張れ〜。」
まずは書込みを紹介します。
一郎先生!サカナクション SAKANAQUARIUM 2014 "SAKANATRIBE"参加します!予定では受験も終わり大学も合格した3月のZEPP TOKYO です。 笑顔でサカナクション先生に会えるように、受験も頑張ります。
女/18/東京都
「明後日から、SAKANAQUARIUM 2014 "SAKANATRIBE" がスタートします。"SAKANATRIBE"って、つけた後に、"EXILE TRIBE"っていうのがあるのを知って(笑)。やっべーってなりましたけど(笑)。全然そことは関係ないので、気にしないで下さい。なんか僕ね、同じ音楽が好きな人とか、同じ感覚の人に対して「同じ種族だね」って言う癖があって、それを言っていたら、チームサカナクションのひとりが、「それって、SAKANATRIBEだね。」って言ったので、それをそのままツアータイトルにしたいと思って。そして、今週末は大学入試センター試験の生徒もたくさんいますね!みんな、頑張れ!……「頑張れ」って言われ続けているだろうけど、それしか言えないんだよ。本当に頑張って欲しい。受験勉強で身に付けたことは、社会では全くと言っていいほど役に立たないと思う。でも、唯一役に立つだろうことは、"集中力"ね。受験勉強で培った集中力は、社会に出てから生きるから。だから、集中することを楽しむ感じで頑張って下さい。先生も歌詞を書くことに対して、毎回、受験勉強みたいなものですからね。"0を1にする" ということは、何かを暗記することよりも苦しかったりするんですよ。生徒のみなさんも、受験勉強が終わった後に社会に出て、そういう体験をしていくのだろうと思うので、今一生懸命頑張って、……頑張って勉強して下さい。それしか、先生には言えませんが……。」
「昨日、サカナクションの両A面シングル「グッドバイ/ユリイカ」がリリースされました。先週は先生、ぐずって恥ずかしい思いをしましたが(笑)。本当にそれくらい、思い出して泣いてしまうくらい、苦しかった製作だったので……。その曲がついにリリースされました。「グッドバイ」の話は先週たっぷりしたので、今日は「ユリイカ」の話、そしてミュージックビデオの話をしていきたいと思います。」
「この「ユリイカ」はね……また話すか、みたいなところもありますけど(笑)、本当に苦しかったんですよ。当時、先生は制作している窓際の机に向かって、カーテンを閉めて、パソコンを見て、Illustratorというソフトで歌詞を書くんですけど、それでずっと書き続けてね……。朝になると、カーテンの隙間から光が入ってくるんですよ。でも、気がついたら暗くなっていて、時計を見ると夜になっている……っていうのをずっと繰り返して、身体からぶつぶつは出る、顔もぐちゅぐちゅになるし、身体は痒いし……。でもやらなきゃいけないし、みんなスタジオで待ってるし(笑)。そんな中で、本当に大変だったんですよ。この歌詞の中に、ドクダミが出てくるんですけど、僕は実際にドクダミ茶をずっと飲み続けていて。体調がずっと悪かったので、解毒作用があるということでね。そこで、ドクダミのことを思い出して、ドクダミ茶を飲みながら、母がドクダミを刈っている背中を思い出して書いているんですよ。」
「この曲のテーマは東京という街です。東京という街に住んでいる人はたくさんいますが、東京出身の人ってあんまり出会わないんですね。みんな、色んなところから集まっている、"ローカル"の集合体と言っても過言ではない街だと僕は感じています。僕もその一員なんですが、そんな僕が思う郷愁感、東京に居ながら、自分が生まれ育った街のことを想い、そして、東京に居るということのリアルを感じるというのが、この「ユリイカ」という曲のテーマになっています。そして、この曲は映画のタイアップにもなっているんですよ。『 ジャッジ! 』のエンディングテーマになっているのですが、元々は「アイデンティティ」を映画の主題歌に、という話からエンディング曲のお話を頂いて、この「ユリイカ」を提供することになりまして、製作を始めたんですね。本当に、受けなければよかったって、300万回くらい思いましたね(笑)。自分なんですけどね、受けたの(笑)。でも、ありがたいお話ですし、映画も、妻夫木聡さんが主演で、広告業界の裏側を見せるような映画なんですよ。だから、音楽業界の裏側を話していく僕たちからすると、共感できることもいろいろあってね。基本はコメディで、すごく面白い映画なので、映画の方も是非見ていただきたいと思っています。」
■映画『 ジャッジ! 』のサイト
■そして、サカナクション「ユリイカ」のミュージックビデオがこちらです。
「そして、この「ユリイカ」のミュージッククリップですが、見てくれた生徒のみんな、どうでした? ……これ、どう思うんだろうって思って。先生と同年代の人たちにこのミュージックビデオを見せると、「綺麗だね」とか、「アートだね」とか言われるんですけど、若い人の意見って聞けていないんですよ。要するに、生徒諸君ですよ。このミュージックビデオを見て、どう思ったのかなって。特に、思春期の男の子たち。結構、攻めているミュージックビデオなので、いやらしい目線で見てしまった人もいるかもしれないですね。でも、先生からするとあのミュージックビデオは、紅白とか、テレビに出て行ったことで、たくさんの人がサカナクションの存在を知ってくれるチャンスがあって、そこからこの「ユリイカ」っていうミュージックビデオに辿り着いた時に、ただ単に音楽をエンターテイメントとしてだけではなくて、作品としてやっているんだという意思表示ができるものにしたいと思ってやったのでね。そういう意図もあるので、生徒諸君がどう感じたのか、純粋に聞いてみたいですね。」
「そして、「グッドバイ」の方も、ミュージックビデオを制作しました!これは、ショウダユキヒロ監督っていって、タワーレコードの、いろんなミュージシャンが立て続けに、マンガのように出てくるCMなどを作っているすごい人なんです。その人と、"グッドバイ"という言葉の意味について考えて、ミュージックビデオを作っていったんですね。こちらも、僕の大切な曲なので、「ユリイカ」と合わせて何度も見てもらえればと思います。」
■サカナクション「グッドバイ」のミュージックビデオ
■ショウダユキヒロ監督のサイト
そろそろ今回の授業も終了の時間です。
「でも、みんな良いよね。先生が高校生の頃は、インターネットは無かったから、YouTubeも存在していないし、ミュージックビデオを見るとしたら、深夜にやっていた音楽番組を頑張って起きて見て、途中で寝ちゃってる……みたいなやつでしたからね。MTVとかね。今なんて好きな時に好きなだけ検索して、関連項目がバンバン出て、自分で探さなくてもどんどん探れる時代ですよね。そこが先生たちの世代と、生徒たちの世代の感覚の違いなんじゃないかな。自分で掘るって世代と、掘らずに触れるって時代。それは、生み出す物も違う物になってくるんじゃないかと思います。」
そして、遂に2014年さいしょの『 宿題 』が出されるかもしれません。
「先生、前にもちょっと言ったんだけど、このサカナLOCKS!を聞いてバンドを始めたっていう生徒が居たら良いなって。それは10代に限らないなって。別に、20代、30代でも、下手したら40代50代でも、サカナLOCKS!を聴いてバンドを始めた人がいても良いんじゃないかと思ってます。閃光ライオットは10代限定ですよね? 別に宿題として出ていないから音源を送れない、とかじゃないからね。生徒諸君、曲が出来たら先生に送って下さい。週末からサカナクションのツアーがスタートします。みんな、足を運んでもらえたらと思います。チケットがなくなっちゃっているところもあるかと思いますが、来る人は楽しみにしていて下さい。そろそろ、生徒のみんなも新しい宿題をほしがっている頃だと思います。まとめて一気にどかっと激しいやつ出しますから!(笑) 先生も答えを出せないようなやつ。生徒諸君、覚悟していて下さいね!」
今回の授業は、ここまで。