今回は、1月15日にリリースになる、サカナクションの両A面シングル「グッドバイ/ユリイカ」から、「グッドバイ」を初オンエアします。実はSCHOOL OF LOCK! でオンエアする瞬間を想像しながら作っていた、というこの楽曲。山口一郎先生の想いとは。
山口「一度リリースが決まった時に、このサカナLOCKS!内でもお話しさせていただいたのですが、改めまして、この「グッドバイ」という曲についてお話しします。実は、両A面シングルでリリースするということは早い段階で決まっていて、どの曲をどう収録するかというのは、僕らが所属するレーベルである、ビクターエンターテイメントでは決まっていたんですね。どの曲かと言うと、東進ハイスクールでタイアップ曲になっていた曲、仮タイトルですけど「さよならエモーション」という曲があって、その裏で「ユリイカ」。この2曲で両A面シングルとしてリリースする予定だったのですが、「さよならエモーション」の方は、締め切りまでに制作する時間が無さ過ぎて、サビまでしかできていなかったんですね。だから、AメロやBメロも作らなきいけないという状況だったのにも関わらず、「ユリイカ」の制作も決まっていて、その曲も両方やらなければならない状況になっていた。しかも、両方タイアップ曲で。その当時、先生は、自分が作りたい曲を作るのではなくて、求められる曲を作ることに慣れすぎて、それが当たり前になっていくことがすごく辛くて、「ユリイカ」という曲の歌詞を書いている最中に、本当に音楽が嫌いになって、歌詞を書きたくない、音楽なんて作りたくないっていうところまで行ってしまったんです。そして、体中に蕁麻疹が出たり、精神的なバランスが崩れて、みんなを責めたり……本当に、辛い時期がありました。そんな風に、体調や精神的に異常が出てきてしまったので、できることなら、1年くらい休養したいと本格的に考えたりしました。」
「でも、やはり仕事ですから、やらなきゃいけません。「さよならエモーション」のAメロ、Bメロを書くためにスタジオに入っていた時に、「さよならエモーション」のメロディーを作るのではなく、自分の好きな歌を適当に弾いて歌っていたんです。そしたら、この「グッドバイ」のメロディーが出てきて、言葉とメロディーが同時に出てきて……。出てきた当時は、アルバムの中の1曲くらいかな、という感じだったんですけど、スタッフがその歌を口ずさみ始めたり、僕もそのメロディーが頭に残っていたりして、音楽を作り始めたときの感覚に近くて、すごく楽しかったんですね。このメロディーをたくさんの人に聴いてもらいたい。この言葉をたくさんの人に聴いてもらいたいという気持ちが強くなって、なんとかこの曲をシングルで出せないかと思うようになりました。一度、「さよならエモーション」で東進に提出していたんですけど、それをやめて、この「グッドバイ」という曲をCMソングにしてもらえないかと頼んでみることにしました。つまり、「さよならエモーション」を「グッドバイ」に換えて、「グッドバイ/ユリイカ」で両A面シングルでリリースできないかと試みたんです。すると、東進サイドからは、「さよならエモーション」の方でCMも出来上がっているし、そのままで行かせて下さいという返答がありました。まあ、当たり前なんですけど……。それで、「グッドバイ」はお蔵入りになりました。」
「そうして、音楽を作りたいという気持ちや、音楽に対して前向きな気持ちにずっとなれないまま、すごく苦しくて、スタッフにも相談したり、どうしてこんな風になっているのか、自分でもよくわかっていなかったりして……。でも、最終的には、やっぱりこの「グッドバイ」という曲が、自分が好きだと思ったメロディーがシングルとしてリリースできなかったということが、自分にとっての大きなストレスになっていることに気がついて、チームサカナクションのリーダー、野村さんに「グッドバイ」を出したいと話しました。「さよならエモーション」という曲が嫌いなわけじゃないけど、まだサカナクションを知らないたくさんの人に「グッドバイ」という曲を最初に聴いて、サカナクションを知ってもらいたいということを、無茶を承知でお願いしました。すると野村さんは「ミュージシャンがわがままでリリースする曲を変えたり、スタッフが組み立てたスケジュールを変えていくのは良いことではないけど、一郎が今「グッドバイ」を出したいって言っている気持ちは、わがままではなくて必然なんだ」と言ってくれました。「今、出さないとサカナクションじゃなくなるんじゃないか、だから、やろうよ」と。東進には話を付けると言って下さって……。それで、東進サイドも快くそれを受けてくれて。そして、ノンタイアップで「グッドバイ」を両A面シングルとしてリリースすることになったんですね。」
「この曲で書いている歌詞は、いつも僕がスタッフやメンバー、自分にとって近い存在……それこそ、星野源さんとかに話していることをそのまま歌詞にしているので、僕にとっては真新しい言葉ではないんですけど、それが今の率直な気持ちを歌詞に出来たし、メロディーも、今自分が歌っていて最高に気持ちいいメロディーなんです。それを作ることが出来た曲なので、これを、この「グッドバイ」を、たくさんの人が聴いた時にどう思うのか、ちょっとチャレンジしたいと思っています。サカナLOCKS!でかかったら、みんなどう思うだろうって、レコーディング中にも何回シミュレーションしたか……。今日は(レコード会社のサカナクション担当)ディレクターも来ていますけど、サカナLOCKS!風に曲紹介して、曲を流したりしていましたからね(笑)。だから、ここでみんながこの曲を聴いてどう思うのか、先生はすごく気になるし、きっと……良いって言ってくれるんじゃないかって思っています。」
「本当に、うまく話せなかったけど、何て言うのかな……。あの……辛かったんだよね(笑)。2013年のこのターム。本当に辛くてさ……。もう、どうやって乗り越えたら良いか分からなくなったし、こんなに親に電話したことも無かったしね。親にも心配かけちゃったし、スタッフにも、本当に……マジで……。マネージャーとか、本当にきつかったと思う……。でも、乗り越えたので。」
「……よし。それでは、聴いて下さい。サカナクションで、「グッドバイ」。」
M グッドバイ / サカナクション
「いやー……でもね、先生、この歌好きなんですよ。本当に。33歳になって、自分で曲を書いて、初オンエアの日にラジオで泣くなんて(笑)。どんだけ中二病なんだってところですけど(笑)。でもね、本当に面白いんですよ。人生、何があるか分かんない!紅白出ることになったり、先生的には、こんな風に世に出て行くことに、急になったんですよ。生徒諸君と全然変わらない普通の人間だから。それが世に出て行くことで、たくさんの人に期待されるようになって、変なプレッシャーやいろんなものを抱えていたんですよ。それから、この曲でグッドバイできた気がします。不確かな未来に舵を切ることも恐れず、これからも感謝しながらね……いろんな人に感謝しながら、頑張って行きたいと思います。この曲の感想を、サカナ掲示板に書き込んでくれたらと思います。あと、先生はTwitterをやっているので、エゴサーチもさせていただきますよ!(笑) [グッドバイ サカナクション] ってね(笑)。だから、みなさん、良いことも悪いことも、いろいろ書き込んで下さい。改めて、1月15日、サカナクションの両A面シングル「グッドバイ/ユリイカ」リリースです。」