聴取期限 2022年4月29日(金)PM 10:00まで
音を学ぶ "音学" の授業、サカナLOCKS!。
今回は、バンド【 THE 2 】が登場!
今年2月22日に再始動!古舘佑太郎(Vo)、加藤綾太(Gt)に加え、ベースに森夏彦(ex.Shiggy Jr.)、ドラムに歌川菜穂(ex.赤い公園)が加わり4人体制となったTHE 2。新曲「恋のジャーナル」のトータルプロデューサーを務めているのが、我らが山口一郎ということで、THE 2をゲストに迎えて、そのプロデュースワークについて対談していきます。
山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる人はサカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」
山口「ゲストは、バンド THE 2の皆さんです。よろしくお願いします。」
全員「よろしくお願いします。」
山口「ひとりずつ挨拶しましょう。」
古舘「はい。THE 2のボーカル、古舘佑太郎です。」
加藤「ギターの加藤綾太です。」
森「ベースの森夏彦です。」
歌川「ドラムの歌川菜穂です。」
山口「いいか、お前ら。これは全国放送だぞ。」
全員「はい!」
山口「全国放送に、今バンド4人で来ているわけだな……分かってるよな?ここ、チャンスだぞ。」
全員「(笑)」
古舘「はい、分かってます。」
歌川「はい、頑張ります!」
森「頑張ります!」
加藤「お願いします!」
山口「滅多にないからな。このチャンス逃したらプロデュースなくなると思え。」
古舘「えー!」
森「ちょっとマジか……」
加藤「でかいなー……」
歌川「やべー……」
古舘「本気で臨みたいと思います。」
山口「ここはもう、がっちりいこう。」
加藤「よろしくお願いします。」
山口「で、君たちはどんなバンドなんだ?(笑)」
全員「(笑)」
古舘「自己紹介的なことでいいんですかね?プロフィールみたいな。」
山口「そうそう。そういうところからいこう。」
古舘「僕とギターの加藤で2017年に結成して活動してきたんですけど、2人メンバーが卒業しまして、去年の夏から活動休止に入りました。2022年2月22日っていう2であふれた日に、新メンバーとしてベースの森夏彦とドラムの歌川菜穂が加入してこの4人になって、"2 "から" THE 2 "に変わり、活動再開しました。」
山口「……全部カットだな、今の。」
古舘「え!結構さらさらいけたと思ったんですけど……」
山口「そんなのさ、Wikipedia見たら分かるじゃん!」
古舘「確かにそうっすね。えーっと……みんな2回目のバンドなんですよ。で、みんな1回ずつ挫折したり転んだりした経験がある4人が集まって、2回目で1回目を超えていこうっていう、セカンドリベンジみたいな思いを詰め込んだバンドですね。」
山口「なるほど。じゃあ、バンド名のTHE 2っていうのは、第二章ってことなんだ。全員それぞれ。」
古舘「そうです。」
山口「それぞれどんなバンドやってたか教えてよ。」
古舘「僕は、The SALOVERSというバンドをやっていました。」
加藤「僕は、ポニーテールスクライムというバンドで、ボーカルギターをやっていました。」
山口「ボーカルギターだったんだ!」
加藤「はい。」
森「僕は、Shiggy Jr.っていうバンドをやっていました。」
夏川「私は、赤い公園っていうバンドをやっていました。」
山口「そうだよね。それぞれが2回目の。」
古舘「そうなんです。実は、全員が10代の時スカウトされた新人発掘が一緒だったんですよね。当時EMIにグレート・ハンティングっていう部署があって、そこで僕はThe SALOVERSで、加藤はポニーテールスクライムで、もっくん(森)はその時Shiggy Jr.ではなかったんですけど、もっくんもそこにいて、菜穂ちゃん(歌川)も赤い公園で。そこで出会った4人なんです。」
山口「それぞれライバルみたいな感じだ。」
加藤「そうですね。10代のライバル。」
歌川「18とか19の頃から既にみんな知っていて、切磋琢磨。」
山口「じゃあ、かなりライバルだったやつらが2回目のバンドでTHE 2として結成したんだ。それは良いドラマだね。」
加藤「ありがとうございます。」
山口「古(舘)君とは、SCHOOL OF LOCK!で対談しているんだよな([2014年2月20日の授業])。」
古舘「それが出会いですね。」
山口「「夏の夜」っていう曲を(生徒に)紹介してもらった時に、僕が衝撃を受けて。そこでゲストに来てもらって急遽対談したっていうところが出会いだったんだよな。」
古舘「はい。普通に家にいたら、ヘルツ先生から『今日、古君SCHOOL OF LOCK!聴いておいた方がいいよー』って連絡がきたんですよ。何のことだろうって思って家で聴いていたら、全然面識のなかった一郎さんが僕の曲を聞いて、"これは呼び出しだ" って。で、えってなったら即マネージャーから連絡があって、来週……ってなったので。あんな出会い方ってなかなか人生でないなと思いますね。」
山口「うん。まあ、古舘佑太郎という人柄というか、ミュージシャンとしての考え方みたいなものに僕が惚れたんだよなー。嫉妬しているんだよ。」
古舘「ありがとうございます。そう言っていただけると……でも、あの時の出会いは僕にとって相当な転換期というか。」
山口「おー。」
山口「2を結成した当初、僕は別にバンドに対してプロデュースも何もせずに、古君たちの活動を遠くから見ていて。たまに話す時にこうした方がいいんじゃないのとか、人生相談に乗っていたって感じだったけど、今回THE 2に改名して、プロデュースっていうプロデュースをやったつもりはないんだけど……どちらかというとパトロンだよな。」
全員「(笑)」
山口「山口パトロンで山口Pだよ。」
歌川「そのPなんですね。」
山口「僕はあんまり、THE 2に対して楽曲的に関わらないようにしたり、僕から積極的にTHE 2のプロモーションをしようとしていないのは、サカナクションのイメージがTHE 2につきすぎると良くないと思ってるの。だって、サカナクションがやってるから聴かないやっていう人もいるし、サカナクションが好きだからTHE 2も好きってなるのってもったいないじゃん。だから、自分たちがちゃんと僕たちから影響を受けて音楽を作っていくっていうことになっていればいいだけで。宣伝をする必要はないと思ってるから。」
古舘「あー。」
山口「どう?楽しいの?」
加藤「楽しいっす。めっちゃ楽しいっす。」
古舘「この4人になってから2ヶ月しか経っていないんですけど、10代の時からライバルとか仲間っていう位置で、お互いにバンドが並行して、悩んだり、誰かが頭一個出て活躍したりっていうのを横でずっと見合ってきたんで。フレッシュさっていうよりも、知っている部分があって、分かるというか……その不思議な体験をしていますね。音としても、こんな感じなんだっていうよりも、これこれっていう。」
歌川「あんまり違和感はないよね、やっていて。」
古舘「経験が長い分、みんな知り合ってからの。」
山口「ほー。」
山口「今回「恋のジャーナル」でMVの撮影とかしたじゃない。メガフルタチっていうでっかい人形……あれめちゃめちゃ高かったぞ、お前ら。」
全員「ありがとうございます。」
加藤「すいません(笑)。」
山口「請求書送られてきてびっくりしたよ。いきなり『メガフルタチの請求書です』ってハガキが送られてきたの、うちに。……びっくり。150万したの!中古車買えるっつの!」
歌川「ひゃー(笑)。」
古舘「本当、そんなことも知らずに僕らは『メガフルタチでいきたいです!!』って言ってたんで、後から聞いてぞっとしましたね。」
山口「僕もめちゃくちゃ勉強になってる。ミュージックビデオを作るとか、レコーディングするのにいくらかかるとかさ、エンジニアさんの料金とか、今まで知らなかったこと、自分のバンドが当たり前にしていたことをいろいろ学べたから、自分にもいきてるよね。あと、ミュージシャンの友達がいないから……」
全員「(笑)」
歌川「そうなんですか?」
森「そんな(笑)」
山口「だから、そういう部分でも、後輩ができた……じゃないけど、身近に他のミュージシャンがいるっていうのも結構新鮮なのよ。だから曲を作ってきてデモとかを聴かせてもらったりするじゃん。そういうのもあんまりないから。そういう部分でも結構勉強になる。」
山口「だけど……ひとつ言っておきたい。あの……古舘、後輩面するのうまいじゃん。」
加藤「そうですね。」
歌川「うまいですねー。」
古舘「うまいっていうか……」
山口「俺は、41歳だよ?そりゃ見抜けるっつの。後輩を演じているのくらい見抜けるっつーの。」
古舘「演じてるつもりはないんですよ。本当に体育会系で育ってきたんで、先輩には1個上でも絶対敬語っていうのは決めてきたことなので、演じているっていうよりも当たり前のこととして後輩としてやらせてもらってるって感じですね。」
山口「たださ、後輩の面を被ってる本当の古舘……それもなんとなく分かってきているのよ。今回、大阪、名古屋とキャンペーン一緒に行って、一緒に行動して、ちょっとずつ滲み出てくるのよ。後輩の皮の裏から匂いが漂ってくる。」
古舘「まじっすか……」
加藤「本性が。」
山口「その本性の古舘っていうのがなんとなく匂いで分かってきたから、THE 2の楽曲の歌詞に含まれる世界観だったり、THE 2全体から漂うニセ後輩感。」
全員「(笑)」
加藤「僕たちもですか?」
山口「そうそう。セカンドチャンスを物にしようとするその野性味あふれたバンド根性みたいなものを感じ取れたのはよかったかなと。」
歌川「あ……よかったならよかった(笑)。」
山口「菜穂ちゃんはどうなの?バンドの中で女性1人じゃん。今までは女性バンドだったでしょ?」
歌川「そうですね……でもそこも、よくみんなで飲んだりしていたので特に違和感がなくて、いつも通りっていう感じで。違和感はないですね。むしろ、こんなことを言ったら何ですけど……女の子4人より楽。」
山口「あー……なんとなくしか分からないけど。どう?メンバーに女の子がいるって。2の時からあったけど、何か今までと違う部分はある?The SALOVERSとか男だけだったでしょ?」
古舘「そうですね。僕は男だけでThe SALOVERSをやってきたので、その分、僕も菜穂ちゃんと一緒で楽かもしれないですね。男だけだと、僕は自分の中の部活感とかがすごい出てきちゃって、結構灰汁が強くなっちゃうタイプなんで……それこそさっきの本性の話じゃないですけど。でも、菜穂ちゃんがいてくれることで、ちょっとさわやかになれるというか。そういうのはありますね。」
山口「ベースとかは?森君、女性ドラムとグルーヴを作るっていうのに変化を感じたりする?」
森「そうですね……女性っぽさはもちろんあるんですけど、元々のスキルがすごい高いので、全然違和感なく、女性ドラマーのいいところだけを抽出してもらってる感じですね。めちゃくちゃやりやすいです。」
歌川「あざーす。」
山口「もう、優等生じゃん。コメントが。」
古舘「優等生の面かぶってますけど、一番やばいヤツなんですけどね、森君。」
山口「ははは(笑)。どうやばいの?」
古舘「この間Instagram Liveを4人でやったんですけど、僕なんか緊張しちゃって……それを一郎さんから普通すぎるってお叱りを受けたんですけど。もっくん、インスタライブの開始5分前に目を覚まして、顔パンパンになって登場して。しかも酔っ払っていたんですよ、既に。で、会話ができなくて。何しゃべりかけても『イェイ!』とかしか言ってこなくなって。みんな心配ってなっちゃって。」
山口「でも……そっちの方がおもしれーじゃん。」
古舘「そうなんです、そうなんです。結果一番バズってました。」
山口「そういうことだよ、お前らに足りないのは。」
加藤「そういうことなんですね?」
歌川「そうですよねー。」
山口「だって、Pちゃん(加藤)だって大概だよ?Pちゃんだって大概なやつなんだよ。古君だって大概じゃん。もっと出していかないとさ、自分たちを!」
加藤「そうですよね。」
山口「今は曲が良くても、どんな人かっていうところでその曲の良し悪しを判断される時代がきているのよ、SNSで。自分をいくら隠していたって、視聴者はみんな見抜いているんだよ。お前らが後輩のフリしているのを俺が見抜いているようにな!」
森「そうなのか……(笑)。」
山口「そういう人間味を出していくことで、作られていく曲の良さをより感じてもらえたりすると思うんだよ。お前らは2回目なんだから、1回目の反省をいかそうよ。」
加藤「全くその通りですね……」
山口「じゃあ、今日ここで、ひとりずつ……」
歌川「えっ何?怖!」
加藤「やばいな……」
山口「最後に、今回THE 2で、1回目の失敗をどういかすか。"はじめてのしっぱい"(笑)。」
加藤「『はじめてのおつかい』みたいな(笑)。」
山口「1回目のバンドで失敗したエピソードを1つずつ言ってもらいましょう。それでは、古舘佑太郎くんからどうぞ!」
古舘「僕はもう……完全に、独裁政権だったのが失敗でした。」
山口「(爆笑)」
加藤「分かりやすい(笑)。」
古舘「みんなの意見を取り入れるっていうことをしなかったので、その失敗をいかして、いろんなところに耳を傾けて、メンバーの意見とかも面白がって、自分にない案を取り入れるっていうのをTHE 2では楽しみたいと思っていますね。」
山口「なるほど。じゃあ、菜穂ちゃん。」
歌川「私……えー、何だろう……私は逆に、任せすぎていました、正直。裏方ですっていう顔をしすぎたので、もっとどんどんガツガツと制作やら関わっていきたいと思っています。」
山口「古君とは逆ね。じゃあ森君は?」
森「そうですね、なんかちょっと自分で『ん?』って思うことがあったら、小さなことでも共有すること。価値観を共有すること、コミュニケーションを密に取ることを疎かにしたというか……みんな気を使いまくってそれをしなかったので、気を使わずにガンガンいうことですかね。」
山口「おー。じゃあ、最後に加藤君。」
加藤「僕、前のバンドはボーカルだったんで、めちゃくちゃ威張ってたんですよね。」
全員「(笑)」
加藤「古舘さんは独裁政権だったんですけど、僕は普通に嫌なやつだったんです(笑)。僕、ドラムも叩けたんで、前のバンドもドラムが女の子だったんですけど、僕がドラムを奪ってなんでこれが出来ないんだよってやったりとか、リハ帰っちゃったりとかしてたんで……」
山口「超嫌なやつじゃん。」
加藤「はい。そういうのをやめたいなって。」
全員「(笑)」
加藤「このバンドでは、律儀に、謙虚にやっていきたいなって思っています。」
山口「僕は今年でサカナクションが15周年なのよ。15年バンドをやってきて、メンバーも変わらず。もちろんいろいろあったよ。いろいろあったけど、15年やってこれたんだよな。全員が同じ方向を向く瞬間ってそんなに長い時間ないと思うんだよね。それぞれ違うものが大切になる時期もあるし、考え方が変わる時期もあるんだよね。ただそれを認めることがすごい大事かなって思う。THE 2っていう明確なコンセプトがあるじゃん。バンドとして、2回目のチャンスをいかそうとするさ。それをみんなで理解さえしていれば、多分どんな曲を作っても、どんな苦しい時があっても、なんとかなるんじゃないかと思うんだよね。認め合うことが一番大事なんじゃないかなって思うから。別に自分を押し殺す必要はなくて、認め合うことっていうのが出来ればいいんじゃないかなと思います。」
全員「はい。」
山口「そして、今「恋のジャーナル」は配信中で、ミュージックビデオも田中裕介監督ですよ。……お前らなんかにもったいないよ!」
加藤「本当ですよね。」
歌川「本当に(笑)。」
山口「もったいないんだよ!メイクだって、サカナクションの(ヘアメイクを担当している)根本亜沙美だよ?渡辺直美さんのヘアメイクをやってた人だよ?」
歌川「すごい!」
森「ありがとうございます!」
山口「そんな人たちがちゃんとお前たちを評価してくれてだな、出世払いでやってくれてるんだから!」
全員「ありがとうございます!」
山口「でも、いいミュージックビデオができたね。反応はどうよ?」
古舘「いやもう……今までとは全然違いますね。」
加藤「勢いがめちゃくちゃいいです。」
古舘「やっぱり僕らを知らなかった方が、『クセになる』とか『このミュージックビデオ何?』って振り向いてくれる感覚がありますね。」
山口「そうだよね。僕は音楽的なこととかはそんなに詳しくプロデュースしていないから……モッチ(岩寺基晴)とかエジー(江島啓一)とかが入って詳しくやってくれたりしているだろうけど。どうバンドとして外に見られるかとか、どうやったら自分たちのことを知ってもらえるかっていうことに関しては、ちょっと協力できるかなと思うから。そういうところも含めてプロデューサー……いや、パトロンとしてな!言っていこうかなと思う。」
全員「はい!」
山口「じゃあ来週も、引き続きお話ししていきましょう。」
ということで、今回の授業はここで終了の時間となりました。
山口「なんかね、THE 2を目の前にすると、先輩面しちゃうんだよね(笑)。なんだろう……嫌だなー、こういう自分。後輩を目の前にした時だけ胸張っちゃうタイプの人間だと思われたくない。THE 2には来週もゲストで登場してもらいたいと思います。」
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聴取期限 2022年4月29日(金)PM 10:00 まで