「宿題『2021年上半期、音楽にいくら使ったかを答えなさい。』」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2021年8月6日(金)PM 10:00まで




山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。サカナクションは冬からのアリーナツアーが発表になりました。約2年ぶりです。詳しくはこれから発表をしていくので楽しみにしてほしいんですが、今までとは違う新しいライブのやり方……リリースとかツアーのやり方をしていくので、期待して欲しいと思います。それと、これから製作に集中するので、SNSへの浮上率が下がるんですよ、僕。なので……忘れないでください(笑)。他のバンドへの不倫はダメだぞ(笑)。」



今回の授業は、生徒の皆さんに出していた宿題『2021年上半期、音楽にいくら使ったかを答えなさい。』に届いたメッセージを紹介していきます。先月の6月いっぱいまでに「音楽に関わるもの」に、いくら費やしたのでしょうか。(ちなみにこの授業は、金額を競うためのものではありません。)

「ちなみに先生は上半期の音楽代いくら使ったかな……どこからどこまで音楽とするかにもよるけど。ギターを買いましたとか、パソコン買いましたとか、オーディオインターフェースを買いましたとか……言ってったらキリがないけど、CD買ったとかそういうことだけだったらいくらかな……サブスクだけでも結構使っているけどね。どうかな……後で調べてみよう。」

「では、まず一人目。」


2021年上半期に音楽にかけた金額

ずばり合計13,910円です!内訳はCD7枚、アナログレコード2枚で、ミュージシャンはJamiroquai、坂本慎太郎、TOWA TEI、坂本龍一、高橋幸宏です。
CDの半分以上を中古で購入したので数の割にはあまり値段は張りませんでした。去年からライブもオンラインライブも行っていないし、今年はまだグッズなどの出費もありません。コロナの影響で好きなミュージシャンが増え、CDを聴く時間も増えたので去年より買った枚数が増えています。
私はサブスクはやっておらず、音楽を聴いたり探したりする手段は基本的にCD、Youtube、ラジオを使っています。特にラジオはミュージシャンの声が聞けたり、パーソナリティーの感情が伝わってくるので好きなツールです。実際、サカナクション先生を聴くようになったのもラジオがきっかけです!今後サブスクを使うことがあるかもしれませんが自分の中で新たな音楽を探すメインツールにはなりにくいのかなと思いました。

AYUME
女性/17歳/北海道


「17歳でJamiroquaiにたどり着いたその道筋も知りたいね。17歳でJamiroquaiに坂本慎太郎……いいねー、かなり渋めだぜ。CDを買って、音楽を探すのは基本YouTubeやラジオだと。サブスク使ってないんだね。なんでサブスクは使わないんだろう?先生からすると、Jamiroquai、坂本慎太郎、TOWA TEI、坂本龍一、高橋幸宏の5組のミュージシャンの全アルバムを、サブスクだと定額1000円くらいで聴けちゃうんですよね。アナログにこだわるのはよくわかるけど、CDにこだわる理由みたいなものを聞いてみたいかな。先生は、サブスクで音楽を探していますよ。……こんなにサブスクを推すミュージシャンはそんなにいないと思うけど(笑)。でも、それで出費を抑えられた分、例えば、ライブだったりオンラインライブだったり、他の音楽への使い道が増えたりするかもしれないからね。CDになぜこだわるのかっていうのも聞いてみたい。」

「じゃあ、次。」


上半期に音楽にかけたお金

振り返ってみるとこんな感じでした〜!

・中古店で買ったサカナクション先生のCD×11(シ
 ングル、アルバム合わせて)とDVD×1
 計 多分、9,000円くらい
・サカナクション先生のグッズ
 (CAN YOU STILL DANCE ?のTシャツ、魚図鑑
 のサコッシュ、834.194のキーホルダー×2)
計8,200円
・中古店で買ったアジカン先生のCD(ミニアルバ
 ム 298円
・今年最初の授業で紹介されていた「ORESAMA」のグッズ6,600円、ライブのチケット2人分11,000円
・新しいCDプレーヤー15,000円

少し驚いたのですが、この中で自分のお小遣いで買ったのはアジカン先生のCDだけでした…
私が好きな音楽を思いっきり楽しませてくれている両親には本当にありがたいなって思います。

ちょっと気になったのが、中古店でCD等を買うのは、そのアーティストを支えになるのかということです。
ちなみに、サカナクション先生のCD11枚とその他もろもろは、高校受験合格のご褒美に買ってもらいました!

カツ丼クリームチーズ
女性/15歳/神奈川県


「これね……ひとつご報告しましょう。中古店でCDを買っても、ミュージシャンやレーベルには何の利益もありません。これは、そのCDを販売していたお店の利益だけになります。我々に対しては全く何もないんですね。つまり、CDを最初に買った人……その時点でレーベルと我々に支払われているので、お店がそれを買い取って売ると、お店の利益になるだけで、こっちには何も返ってこないという理論ですね。例えば、中古店が定価でCDを買い漁って、それを定価以上で売っているんだったらまた違うんですけど。」

「サブスクとCDのメリットとデメリットを言うと、CDを買ってもらえると、ミュージシャンでいうと3%ですね。3000円のCDなら90円が著作権印税として入ってくる。アーティスト印税は契約によってパーセンテージが違うんだけど、最高で10%くらいの人もいると思う。だから、ミュージシャンに返ってくるのは多くて13%とか15%とか。少なくて8%とか。それをメンバーの数で割ると。それがミュージシャンに入ってきます。契約内容とかによって変わるから一概には言えないんだけど、大体それくらいかな。サブスクは、1回聞かれると何円とか、何銭とかなんですよ。いっぱい聴かれると、ミュージシャンやレーベルにいっぱい入ってくるよっていう仕組みになっています。なので、CDは音質がいい、物として保持できる。あと、ミュージシャンとレーベルの直接的な支えになるよと。で、サブスクリプションっていうのは、いっぱい聴けば聴くほどミュージシャンに返ってくる。音質は良くない。でも、いっぱい音楽を探せるし、聴ける。そういう状況ですね。だから、自分にはどっちが合うのか考えて使ってもらえたらと思います。だから、カツ丼クリームチーズがサカナクションのCDを持っていられているっていうことが担保できているからいいかなと思います。でも、お母さんが好きなミュージシャンを自分も好きっていうのはすごく良いことだと思いますね。そういう循環を保っていけるっていうのは、ミュージシャンにとってもすごくありがたいことなので、頑張っていきたいと思います。」


宿題!!上半期音楽にかけたお金

上半期いくら音楽に使ったかについて宿題を提出します!
詳細を述べると
CDDVD関連で
○Alexandrosのアルバム4257円
○サカナクション光ONLINE完全生産限定版9702円
計13559
グッズ 約8000円
こんな感じでした。一ヶ月のお小遣いは5000円です。コロナで遊びに行く機会が減ったので出費に占める音楽関連の割合はコロナ前よりも大幅に増えました。というのもコロナ前はグッズを買ったことがありませんでした。
オンラインライブはテスト期間がよくかぶったため見ませんでした。サブスクは使っていません。理由としては本当に好きなアーティストの曲はCDを購入して聴くし、新しい音楽を開拓しようと思ったら音楽チャートを扱うラジオを聞いたりユーチューブを見漁ったりします。一日の中で音楽を聞く時間がすごい長いわけでもないのでサブスクは安いんですが契約しようとは考えたことはありませんでした。周りの子でもサブスクを使ってる子は少ない気がします。(ちょうど先週部活内で音楽の聴き方についての話題になり顧問がサブスクを使ってるのかと聞いたのですが部員で使ってる人は30人中0でした)

一郎先生はコロナ渦でグッズの売上が落ちているとおっしゃっていましたが個人的には増えていたので驚きでした。

サカナカサ
女性/18歳/埼玉県


「へ〜、基本的にコロナ禍でCDの売上は下降気味。ライブの動員も減っています。グッズの売上も、ライブがないので落ちていると。なので、音楽業界全体的に落ちているんですね。で、サカナカサは、いま高校生で、お小遣い5000円の中でやりくりしているわけじゃないですか。でも、お母さんやお父さんが仕事をしていて、そのお金が入ってこなくなると、サカナカサに対するお小遣いも減りますよね。そうなってくると、今よりももっとお金を使えなくなるから、取捨選択をしていかなきゃいけなくなると思うんです。多分、今コロナで全体的に経済が落ち気味になってくることが予想できていて、音楽にかけてもらえるお金や時間もこれからどんどん減っていくだろうなっていうのを我々音楽側にいる人間は感じています。ただ、ライブのチケット代はどんどん上がっていくだろうと。キャパシティが少ない分上がっていくだろうし、今までの分を回収しようとする人たちも出てくるだろうなって思います。みんなライブに来るだけでも大変なのにグッズまで買うかっていうとそこはまた分からなくなってくるので、グッズの売上も落ちるだろうなって。だから、音楽業界的には、今のやり方のままだと本当に苦しくなるよねと。新しい方法を見出していかなきゃいけないよねと。そこをみんな一生懸命チャレンジしたり考えたりしているところだと思います。」

「グッズの売上が少なくなったっていうのは、ライブが少なくなった、ライブの動員が制限されて減った、あと、終演後にグッズの販売ができなくなっている……そういったことで売上が落ちているっていうところがありますね。ただ、オンライン販売は伸びているところもあると思う。ライブに行けない分オンラインで買おうとするっていうことですね。」

「皆さんが音楽にいくら使ったかっていうのは、今回、宿題を提出してくださったことで分かりました。もちろん、ミュージシャンのために何か還元したいっていう気持ちをCDに込めたり、CDを保持したいっていう考えはすごく分かります。我々的にも嬉しいですし、だからこそCDをリリースしているんです。ですが、ミュージシャンに対して一番直接的に支えになるアイテムはどれだと思いますか?CD、グッズ、ライブチケット……この3つの中で一番大きく返ってくるもの。もちろん、契約の内容があるのでいろいろ違うと思うんですけど、実は……多分ですけど、グッズなんですね。グッズの売上っていうのは、一番直接的にミュージシャンに返ってきやすいものなんですよ。もちろん契約のパーセンテージによって違ったりするんですけど、グッズを買ってもらえると、ライブで赤字でもグッズで取り返せたりする。だから、グッズっていうのは非常にミュージシャンにとって大事ですし、一番大きく助かる部分だっていうのを知っておいてもらえたらと思います。」

「CDは、ミュージシャンにとってそんなに大きなものじゃないです。今はサブスクリプションっていうのが出てきて、サブスクリプションで聴いてもらえるっていうのがミュージシャンやレーベルに対してすごく大きなことになっているんですね。なぜかっていうと、古い曲も聴いてもらえる、長く聴いてもらえるっていうことが大事になっていて、CDの売上を上げるより、長く聴いてもらえるにはどうしたらいいのかっていうプロモーション戦略に変わってきているので、実は、サブスクを利用してもらうっていうのはこれからの時代的に合ってきているんじゃないかなって思います。もちろんCDの方が音質もいいし、アイテムとして保持できるっていう要素もあるし、先生も持っていたいっていう感覚があります。それも嬉しいんですけど、ミュージシャンに直接還元したい、応援したいっていう気持ちで買うならば、グッズであったりライブに行く方がミュージシャンにとってはすごく大きなエネルギーになるかなと思います。ただ、これを言うとレーベル的には『おいおい……』っていう風になるんですね。これは難しいところなんですけど……ライブやグッズの収益はマネジメントに行って、CDの売上はレーベルに行くんです。ミュージシャンは、マネジメントに所属しながら、リリースする時はレーベルと契約しているので、ライブに行ってお金を使ったからCDが買えなくなったっていうとレーベルが困るし、CDを買ってライブに行けなくなりましたってなるとマネジメントが困るっていう……これは非常に難しいところなんですね。で、先生がここで『CDじゃなくてサブスクを利用しよう』って推奨すると、今度はCDやレコードを売っているレコード販売店の人たちが「CDを買ってくださいよ」ってなりますよね。なので、ここは音楽業界の中でねじれているところなんです。なので、マネジメントの中にレーベルを持っていたり、レーベルの中にマネジメントを持っているっていう、合体している状態が増えてきているのかなって気もします。」


今回の授業も終了の時間になりました。

「難しいところなので、一概に何が正解かっていうことは言えないんですけど、先生的には、サブスクっていうものはサーチに使って、自分が手に入れたい大事な曲を見つけた時にはCDを手に入れる……そういった使い方をするのがいいんじゃないかな。そこでコストを抑えられた分、グッズを買ったり、ライブに行ったりするのがいいんじゃないかなと思いました。皆さん、宿題の提出ありがとうございました。コロナ禍で音楽業界が衰退しているっていう話が出てきていますけど、ここで音楽から少し気持ちが離れた人もいると思います。そういう人たちをどうやって呼び止めておけるか、どうやって音楽を伝えていくかっていうことを考えるきっかけができたっていうのはすごく大きなことかなって思っております。」

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