相談『一郎先生、どうしたら孤独を感じることなく前向きに頑張ることができますか?』

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聴取期限 2021年2月26日(金)PM 10:00 まで




山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている人はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている人は、 サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。今週も"音学室"からお届けしております。やっぱりいいね。」

「早速、黒板を書きたいと思います。」

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「今夜はコロナ禍で孤独を感じているという生徒と話をしていきたいと思います。コロナ禍でいろんなものに影響が訪れていて、僕らみたいな仕事をしている人もそうですけど、誰もが何かしらの影響を受けて生活していると思います。書き込みを紹介します。」


★コロナ禍での悩み事

一郎先生、こんばんは。

私は、一郎先生に相談したいことがあります。今、私は、とても孤独に感じており心に余裕がありません。毎日、アルバイトや大学の勉強や資格の勉強がとても忙しいです。娯楽などを楽しむ暇は、ほとんどありません。また、大学の授業は、リモートととなり人との交流も減りました。友達は、いません。コロナが流行る前は、大学に行くと授業で他の学生同士のグループワークがあったので友達がいなくても寂しさは、感じていませんでした。

ですが、今は、リモート授業となり同い年の人達と会う機会は、ゼロとなり友達もいないので寂しいです。アルバイトは、私以外全員、大人でかなり歳が離れた人たちばかりです。私は、今、同い年と会う機会がゼロとなりとても孤独に感じます。また、それだけでなく、勉強があまりにも忙しすぎて心に余裕がなくなってしまい辛いです。挫折しそうです。たまに逃げ出したくなったりもします。一郎先生、どうしたら、孤独に感じることなく前向きに頑張れるでしょうか?一郎先生の意見やアドバイスを聞けたらなと思います。よろしくお願いします。

広島のハムハム
広島県 21歳 女性


山口「さっそくお話を聞いていきましょう。こんばんは。」

広島のハムハム(以下、ハムハム)「こんばんは、広島のハムハムです。」

山口「今は大学生?」

ハムハム「大学生です。大学では福祉関係のことを学んでいます。」

山口「福祉。いつぐらいからオンライン授業になったんですか?」

ハムハム「オンライン授業は、去年の5月くらいですかね。」

山口「去年の5月くらいから……もうすぐ1年経っちゃうじゃん。」

ハムハム「そうですね。」

山口「今大学何年生?」

ハムハム「3年生です。」

山口「ということは、最初の1〜2年は普通に大学に行けていた時期もあったんだ。去年の5月からリモート授業だけになっちゃったんだ。本当に全然学校に行かないの?」

ハムハム「はい。ずっとiPadで授業受けています。」

山口「みんなそうっていうことだよね?」

ハムハム「私の福祉学科ではそうなんですけど、他の教育学科とかは対面で授業をやったりもします。」

山口「その差は何なんだろう?」

ハムハム「そうなんですよ。私の福祉学科はリモートです。」

山口「普通に大学で授業を受けていた時と比べてオンライン授業はどうなの?」

ハムハム「やっぱり、大学で受けるのと家で学ぶのとは全然違って、頭に入らないというか……集中できないですね。」

山口「あー。やっぱり自分の家でやるのと大学に行くのとでは感じ方が違う?」

ハムハム「違います。」

山口「(書き込みには)アルバイトをしてるって書いてあるけど、何のアルバイトをしているの?」

ハムハム「アルバイトは、子供の障がい者の施設で働いていて、デイサービスをやっています。」

山口「デイサービスのアルバイトをしているんだ。アルバイト先で出会う人たちっていうのは、同じ年齢の人たちはいないんだ?年上の人たちばっかり?」
ハムハム「いないです。全く。」

山口「でも、そういうアルバイトをしてるっていうことは、無駄な外出とかもできないね。」

ハムハム「そうですね。もう、利用者さんに移したくないので……例えば私がコロナになってしまっていたら、移してはいけないので、外出は本当にしていないです。」

山口「それ本当に辛くなってくるね。」

ハムハム「結構辛いですね。」

山口「今実家?」

ハムハム「はい、実家です。」

山口「じゃあ、完全に一人っていうわけではないんだ。」

ハムハム「家族はいます。」

山口「家族と暮らしながら、家で授業を受けてアルバイトでデイサービスをしている感じなんだね。」

ハムハム「そうです。」

山口「恋人はいないの?」

ハムハム「恋人はいましたけど、別れました(苦笑)。」

山口「コロナ禍で別れたの?」

ハムハム「そうです。」

山口「それ、理由を聞いてもいい?失礼じゃなければ……」

ハムハム「はい。相手の人が全くしゃべらない人で、私が結構喋るタイプなので一緒にいて苦痛になったので……(笑)。」

山口「ははは(笑)」

ハムハム「本当に全くしゃべらなくて……奢ってあげたとしても、ありがとうも言わないような人で(苦笑)。それで耐えられなくなって。そこで『なんでしゃべらんのん?』って言って喧嘩になって別れちゃいました。」

山口「喧嘩はするんだ、しゃべらないけど。」

ハムハム「そうですね、LINEで喧嘩して(笑)。」

山口「LINEで喧嘩(笑)。」

ハムハム「LINEでは喋るんですよ(笑)。」

山口「それはコロナでなかなか会えなくて?」

ハムハム「はい。コロナでなかなか会えないことも多くなって、LINEとかで話していたんですけど……」

山口「なるほど。」

山口「コロナ禍になる前は、どんなことをしていることが楽しかった?」

ハムハム「サカナクションのライブに行って、そこでファンの人たちと集まってお菓子とか交換したりするのが楽しかったです。」

山口「おー。大学に行っていても、アルバイトとかをしていたりしても、サカナクションのライブとかに行ってファンの子たちと繋がったりすることで孤独を感じなかったんだ。」

ハムハム「そうです。」

山口「今、ライブないもんね。」

ハムハム「そうなんです。去年もチケットとっていたんですけど……」

山口「しかも、今ライブに行けたとしても、そういうコミュニケーションをとっていいのかっていうのもあるしね。」

ハムハム「そうですね。」

山口「普段孤独を感じるっていうことだけど、どういう時、どんな時間に孤独をぐっと感じる?」

ハムハム「やっぱり、アルバイト終わりとか、家に帰った時とか、夜寝る時とかですね。」

山口「夜は何時ごろに寝るの?」

ハムハム「夜は……12時とかです。」

山口「夜はさ、どんなことを考えているの?」

ハムハム「えー……『ずっとこのまま一人なのかな……』とか……常に孤独を感じます。」

山口「なるほどね。先生は大学に行ったことがないのよ。高校在学中にビクターの育成契約っていうのを結んで、自分は音楽で生きていくんだっていうことを決めてさ。そこからアルバイトをしたりスタジオに入ったりしていたんだよね。将来自分がどうなっていくのかなっていうことってあんまり考えたことがないというか……1回だけ就職するのに面接に行ったことがあるんだけど、それ以外は音楽で生きていくということに対してまっすぐ生きてきたんだよね。コロナになってさ、先生も家から一歩も出ない日々が多くて、家で音楽を作っているんだけど、レコーディングとか制作の時期は先生家から全然出ないことが多いけど、あんまりそれに対して苦痛じゃなかったんだけど。広島のハムハムみたく家から出られずに孤独を感じている人たちが周りにいっぱいいてさ、そういう話を聞いていくと、先生もそういう孤独が伝染じゃないけど……寂しいなって思ったり、自分にできることはないかなって考えたりするようになったんだよね。」

ハムハム「はい。」

山口「でも、先生は孤独を感じない日々はないのよ、むしろ。コロナ禍でも、コロナ禍じゃなくても、常に孤独は自分の中にあって、それと向き合うっていうことが自分の生き方というか……クリエイティブ、ものを作るっていう時のエネルギーになっていたりするんだよ。多分先生は結婚して人と暮らしたり子どもができたりすると、音楽を作れなくなっちゃうんじゃないかって思っているんだよね。だから、自分にとって孤独ってすごく必要なものだと思うの。」

ハムハム「そうなんですね。」

山口「このコロナって、ずっと続かないって僕は信じているわけ。その時に、この孤独だった時間が無駄だったら意味ないなって思わない?これから自分が死ぬまで何十年もあるけど、きっとこのコロナの時とは違う孤独を感じる時が来ると思うのよ。種類は違うけどね。今コロナで感じている孤独の乗りこなし方というか、向き合い方みたいなものを今鍛錬すればさ、いつか自分に訪れる本当の孤独がきたときに、いい乗りこなし方を見つけられるんじゃないかなって気はするかな。」

ハムハム「そうですね、確かに。」

山口「いろんな人がいて、いろんな仕事をしている人たちがたくさんいるじゃん。大学生でも、いろんな大学があってさ、いろんなことを学んでいる人がいて、さまざまな人がいるじゃん。だから、さまざまな孤独を持っている人がこのコロナ禍で苦しんでいて、寂しさを紛らわしている人もいれば、それを乗り越えようとしている人もいれば、寂しいって感じない人もいれば、ギリギリの人もいるっていうさ。その状況の中で自分の孤独ってどんなものなのかなって……孤独と向き合ってみるのも大切なのかなって思う。だから、自分が感じている孤独って、たくさんの中でどこにあるのかっていうのを受け入れているっていうのも大事なことだし、それは絶対将来にいきることじゃないかなって気はする。」

ハムハム「そうですね。」

山口「あとね、孤独って……誤魔化しちゃだめよ。孤独を誤魔化そうと思ったら、ちゃんと悲しめない人になっちゃうと思う。今、いろんなものがあるじゃん。ゲームもあれば、マッチングアプリみたいなものもあったりとかさ、テレビとか……自分の感情をかき消すものって目の前にたくさんあるから、人は孤独を感じないようにしようと思えばできると思うんだよね。だから、広島のハムハムは、今孤独だって感じているっていうのはすごく健全なことだと思うし、それと向き合うのがいいんじゃないかなって気はするんだけど。」

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山口「……どうかな?」

ハムハム「すごくいいことおっしゃっていて、参考になりました。」

山口「ははは(笑)。でも、寂しいのはしゃあないよな……好きな人とかいないの?」

ハムハム「いないです。女子校なので。」

山口「女子校なんだ。でも、福祉のことを学んでいるっていうことは、将来的には福祉の仕事をするってことだよね?」

ハムハム「そうですね。子どもの障がい児のデイサービスで働きたいと思っています。」

山口「うん。そういう風にハムハムが夢を目指していることを応援してくれる人とかが、真剣にやっていれば絶対に集まってくるし、その中に自分の気が合う人が今すぐじゃなくても必ず現れるから。ちゃんと今は孤独と向き合ってみるうのがいいかもしれない。本当に苦しくなったらたまに誤魔化すのもいいけど。」

ハムハム「はい、分かりました。」

山口「大丈夫かな、こんな感じで……せっかくこうやって話しているんだからさ、他に聞きたいことある?せっかくのチャンスだし、答えるよ。」

ハムハム「えっと……一郎さんは、すごく孤独な時に音楽とか聴いたりするんですか?」

山口「僕はね……争わない。孤独だなって思う時には、その孤独に合う音楽を探す。より寂しくなったり、より自分のマインドを探究することをやるから、どんどん寂しくなるよ(笑)。でも、その感情を僕は音楽にしているのよ。寂しいとか、辛いとか、孤独だって思うことが自分のエネルギーになっているというか、餌になるから。」

ハムハム「そうなんですね。」

山口「でもね、僕すごく辛かったことがあって。あの……自分の第二のお父さんみたいな人がいてさ。親戚の人なんだけど。その人が亡くなられちゃった時。すごく自分にとって大切な人だったんだけど、会いに行った翌日に亡くなったんだよね。その時に、悲しかったんだけど、自分の中で"やった、これでまた曲が作れる"っていう気持ちもあったんだよね。その時に、すごく自分に絶望したのよ。悲しみも音楽にしなきゃいけない、音楽にしようって反射的に思っている自分のこの仕事って、自分の音楽って一体何なんだろうって悩んだ時期があったんだよね。だから、孤独に向き合いすぎて、それに対して頼りすぎると自分を追い詰めることになるけど、変に争ったり誤魔化したりしないで、がっちり向き合ってみるっていうのはいいと思うよ。」

ハムハム「そうですね。」

山口「サカナクション好きなの?」

ハムハム「はい、すごい好きです。」

山口「何の曲が好き?」

ハムハム「「multiple exposure」が好きです。」

山口「暗いねー(笑)。」

ハムハム「ふふふ(笑)。」

山口「サカナクションって孤独に合うでしょ?それはやっぱり孤独な僕が作っているから。そう思うんだと思うよ。きっとね、そういう曲がサカナクションだけじゃなくて、世界にはたくさんあると思う。歌がない音楽もそうだし。だから、寂しい時にいろんな音楽を……今の気分に合う音楽を。誤魔化すものじゃなくて、今の気分を代弁する音楽を探してみるっていうのも良い孤独の乗りこなし方になるんじゃないかなって思う。」

ハムハム「とても大事なことだと思います。」

山口「うん。今はライブができないけど、またできるようになったら遊びに来てよ。」

ハムハム「はい。是非また行かせていただきたいと思います。」

山口「うん。……本当にきつくなったらDMして(笑)。」

ハムハム「ふふ(笑)。」

山口「たまにInstagram Liveとかもやるし。」

ハムハム「はい。Instagram Liveいつも見てます。」

山口「ありがとう。じゃあ、大学頑張ってね。また会いましょう。さよなら。」

ハムハム「はい、さよなら。」


今回の授業も終了の時間になりました。

山口「正直今の大学生が感じている孤独は、100パーセントを僕は理解できないんですよ。それは、あったものがなくなるっていう感じって、僕はミュージシャンとしてライブしかないから。それ以外のものは続けていけているし、失ったものの大きさはライブでしか測れなくて、日常的な部分でなくしたものってあんまりないから、完全に理解しきれないところがあるんだけど……ちょっと言い方があれだったかもしれないけど、孤独と向き合うことって絶対に誤魔化しちゃだめだと思うんだよね。もう、いろんなエンターテイメントがあって、簡易的に今の自分の感情をかき消すものってたくさんあるから。それに頼ることに慣れちゃうと、本当に自分の中にあった孤独とか悲しみって、本当に大事な感情だから。それが分からなくならないようにした方がいいかなって思うけどね。でも、アルバイトとかで感じていることもきっとあるだろうし、きっとこの経験が広島のハムハムの餌になるというか、糧になるといいですね。」


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