山口一郎 10分プロデューサー






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山口「いやぁ〜……ついに、この授業が始まるわけですね。先生もドキドキしているわけですが……。」

ということで、今回は、サカナクション、山口一郎先生による『 10分プロデューサー 』の授業をお届けします。
これは、音楽をやっている生徒を山口先生が10分間だけプロデュースする、10分間だけプロデューサーになる、そんな授業です。


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今回、山口先生がプロデュースするのは、愛知県 18才の女の子です。



高3なので、バンドは現在休止中です。私は、曲を作るのは好きなのですが、歌う事は本当に向いてなくて(音源を歌っているのは私です。)自分の曲の歌い手を探していました。
ボーカルの子は、それを承知してくれていたのですが、進学先は県内と県外に分かれそうで悩んでいます。人間の声やバンドでやるのを諦めた方が良いのでしょうか?
とびはね
女/18/愛知




「高校3年生、受験なのかな。そして、もう既に一緒にやっているボーカルがいて、自分では歌いたくないってことね。でも、その子と進路が分かれそうで、自分が歌わずに音楽を続けるのに、ボーカロイドみたいな手段も考えているっていうことかな……。こちらは、既に送られて来た音源を聴いています。とびはねちゃんの曲、聴きましたよ。歌詞も見て、今手元にあります。……これは、10分間だけなので、シビアに、きっちり10分間測りながらやりたいと思います!」


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それでは、山口先生による10分間プロデュース、スタート!

山口「もしもし!」

とびはね「もしもし、とびはねです。」

山口「こんばんは、10分プロデューサーの山口一郎です(笑)。先生も、緊張してる(笑)。……とびはねちゃん、音源、聴きましたよ。」

とびはね「あぁ……。何とも微妙なものを……。」

山口「いやいや、この音源にはドラムが入っていなかったけど、とびはねちゃんが自分で打ち込んで作ったの?」

とびはね「自宅のエレクトーンで多重録りができるので、ベースとキーボードだけ録って、それを流しながら歌って、ケータイで録りました。」

山口「あぁ、なるほどね〜。すごい事やってるね!じゃあ、ベースは自分で考えて弾いたってこと?」

とびはね「はい。」

山口「組んでいるっていうバンドは、どういう編成でやっているんですか?」

とびはね「もともとは5人いたんですけど、今は減っちゃって、形としては、ドラム、ギターボーカル、ベースがちょろっと弾けるキーボードの私って感じで……。」

山口「じゃあ、とびはねちゃんはベース兼キーボードってこと?」

とびはね「はい。」

山口「キーボードは弾かずに、バンドの中ではベースを弾いている感じ?」

とびはね「そうですね。」

山口「じゃあ、3ピースバンドか。とびはねちゃんは、そのベース担当だったってことか。」

とびはね「いや、あんまりちゃんと弾いてはいなかったんです……。」

山口「ちゃんと弾いてなかったの?(笑)」

とびはね「その前にはちゃんとベースの子が正規でいたので、いっぱい曲を作り始めた頃にはベースの子が抜けちゃって、自主練を始めた感じです。」

山口「あぁ、なるほどね。そうなんだ。」


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山口「応募メッセージには、"歌う事は本当に向いてなくて……"って書いてあるけど、歌うのはあまり好きじゃないのかな?」

とびはね「うーん……好きじゃないというか、自分で歌ったのを聴いても、魅力的に思えないというか……。バンドを組もうって誘ってくれたボーカルの子の歌は、聴いていて、歌うのに向いてるって思う子なので、そこにこだわりがあって……。」

山口「その子に歌って欲しいって思ったって事か。」

とびはね「はい。」

山口「先生が、とびはねちゃんの曲、「うらはら」を聴いた時、歌うのに向いてないなんて、全然思わなかったけどね。音楽ってさ、音を作るってことは、ひとつひとつの音をバランスよく混ぜ合わせて作っていくものなのね。歌も楽器の一部だと僕は思うんですよ。今、歌うときはどういう風に録音してる?」

とびはね「バンドとかでは歌をちゃんと録った事がなくて、簡易録音みたいなものばっかりで……。」

山口「うん、なるほどね。ギターとかシンセとかベースも、ひとつの音色に対して、リバーブだったり、ディレイだったり、コーラスっていういろんなエフェクターをかけることができるのは分かるよね。それと同じように、ボーカルにもエフェクトっていうのをかけられるのね。それで、ひとつの曲の雰囲気を作る事ができると僕は思う。とびはねちゃんの声を聴いた時に、僕は、自分の声に合うエフェクトっていうのを見つける事ができたら、もっと世界観のある声に聴こえるだろうし、曲もそういったものになるような気がしたけどね。」


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とびはね「あぁ……、はい。」

山口「もし、僕がとびはねちゃんをプロデュースするとしたら……いや、今もしてるんだけど(笑)、曲を一緒に作るとしたら、まず、メロディーをどういう風に歌って、どういうリズムで歌うのかをしっかり決める。今は、曲を作る時に、"このメロディの音階はこれ!"って、自分で自覚しながら歌ってる?」

とびはね「全然……。特に、送ったのは、"しょうがないから自分で歌うか……"って感じだったので……。」

山口「だけどさ、曲を作っているから、メロディーは決まっているわけでしょう。歌い始めの一文字目はどの音階か、とかさ。それがもうちょっとはっきり決まってきて、そのリズムも決まってきて、更に、エフェクトをこういうものにするっていうのを決めていくと、もうちょっとはっきりと曲っぽく聴こえてくるような気がするかな。今だと、どれがどの音階で、どのリズムで歌うのかが曖昧な感じがした。それをはっきり決めてからボーカルの子に提案すると、その子はもっと分かりやすく歌えるだろうし、ひょっとしたら、とびはねちゃんが自分で歌った方が良いって思うかもしれない。曲は、聴いた感じだと、Aメロとサビっていう流れで良いのかな?」


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とびはね「そうですね。」

山口「この曲を聴いた時、洋楽っぽいなって思ったんだよね。A→サビ→A→サビっていう流れの構成になっていて。でも、Aメロとしての完結と、サビとしての完結がちょっと弱いと思ったから、AメロをもっとAメロらしく、そして、サビに行く時に、直前のテンポが変わるフックみたいなものがあるとしたら、もっとそれを活かして、サビのメロディをサビっぽくしていったら良いのかなと思ったね。他の曲も聴いてみたいって思いましたよ。あと、歌詞は、とびはねちゃんの声で聴いた時にドキッとするようなフレーズが入っていて、そういう部分を自覚して、あとは、ストーリーを作れると良いね。あんまり、ひとつの景色が見えて来ないから、もうちょっとどういう景色で、どういう気分なのかを明確にできると、曲として追いかけやすくなると思う。」


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とびはね「おぉ……。はい、わかりました。」

山口「あと、バンドのメンバーと進学先が県外と県内に分かれそうで悩んでいるんだよね?」

とびはね「はい。進学するんですけど、バンド全体の第一志望の先がすごくバラバラで……。やっぱり、私は自分の歌に自信が無いので、やれるなら、そのボーカルの子とやりたいと思っていたんですけど……。今はボーカロイドとかも盛んなので、そういう手もあるんじゃないかって人には言われたんですけど、私は人間の声にこだわりたいと思って……。」

山口「なるほどね。ボーカロイドって多分、ボーカロイドを専門にやっている人がいっぱいいるのね。だから、始め方としては、そこに対して自分が共感できていたり、それを作りたいって思っていない限りは、あんまり踏み込まない方が良いのかなって思う。最終的にそれをやってみたいって思ってやるのは良いけど、自分が歌いたくないからとか、歌ってくれる人がいないっていう理由でやるより、それが好きで、それがやりたいって思うのが良いと思う。自分で歌いたいとか、人の声にこだわりたいっていうんだったら、それにこだわって作った方が良いと思うけどね。」

とびはね「はい。わかりました。」

山口「あと、ボーカルの子と進学先がバラバラになって、なかなか会う事ができなくても、バンドは続ける事ができると思う。本当にその子にやって欲しくて、自分の歌はその子に歌って欲しいっていう想いが強かったり、ボーカルの子が、とびはねの歌を絶対に自分が歌いたいっていう合致があるんだったら、県内と県外で分かれてやっても良いと思うよ。そうじゃなかったら、もっと新しい出会いを求めたり、とびはねが自分で歌ったりした方がいい。自分が歌った物は、最初は、人に聴かせる必要もないわけだから。自分で歌って、エフェクトかけてみたり、バランスを作って、ひとつのトラックを作ってみたりして、それから、人に歌ってもらって、それにエフェクトかけてみたりしながら、一緒にやる子を決めても良いと思うし。いろんなやり方はあると思う。」


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とびはね「はい。」

山口「とにかく、音楽を作る上で、誠実だったら良いなって思う。人に言われたからこうしたとかじゃなくて、自分がこうしたい、こう思うからやる、ってね。あとは、自分の可能性は狭めない方が良い……」

♪パッポー、パッポー、パッポー、パッポー(終了の合図)

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山口「はい! 10分経ちました!!」

とびはね「え〜!(笑) ……めっちゃバシバシ言ってもらえた〜。」

山口「ごめん! 言いすぎた?」

とびはね「いや! 全然! 誰にも聞けなかったので……。おぉ〜、すっきり!って感じ。」

山口「なんか、俺ばっかり話してごめんね(笑)。最終的には、音楽を楽しめたら良いんですよ。そういう環境を作れたら良いと思うし。メジャーデビューを目指す、目指さないは関係なくて、音楽は一生作っていけるから。50才とか60才でも、仕事をしながらバンド活動をやってる人だっていっぱいいるんだから。だから、同音楽を楽しむか、日常の中にどのくらい音楽を入れていくか考えるような生活を意識してくれると先生は嬉しい。」


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とびはね「頑張ります!」

山口「うん、頑張ろう。また新しい曲ができたら、送ってきてよ!絶対聴くから。」

とびはね「はい!受験が終わり次第……!」

山口「そうか、受験か〜。……世の中に対する受験っていうのがどういうものかというと、先生の考えでは、社会に出たときの集中力を養うものだから。集中力を学ぶということを忘れずに、頑張って下さい!」

とびはね「おぉ〜……!はい、頑張ります。」

山口「ありがとうね、これからもよろしく。それでは、さよなら。」

とびはね「はい、さよなら。」

山口「……だ、大丈夫かな……(笑)。結構、真剣にやったよ!本当に。だって、悩んでいるわけですから。僕、Twitterで、「最近、サカナLOCKS!の一郎、上から目線だし、口が悪い!」ってよく言われるんですけど(笑)、大丈夫かな……。プロデューサーだから、別に良いのか!(笑) 10分プロデュース、少しでも参考になったら良いなって思いましたね。さっき、新しい音源ができたら送ってねっていったけど、本当に聴くので、頑張って欲しいと思います。あと、生徒の中で、このプロデュースを聴いて、「俺もプロデュース受けたい!」っていう人が居たら、応募して来て下さい。音源は絶対に聴くから!歌詞も見るし。……是非!」


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ということで、山口先生の10分間プロデュースを受けたい生徒はまだまだ募集します!
<コチラ>まで送って来て下さい!

*プロフィールや方向性、今悩んでいる事
*バンドの音源+歌詞
*電話で直接アドバイスが欲しい場合は、電話番号も忘れずに!

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