「……ということで黒板を書きたいと思います。」
「今回はまさかの3週連続のプロモーター企画!サカナLOCKS!はひょっとしたら永遠にプロモーターの授業になっていくかもしれない(笑)。そのくらいこの授業を山口ディレクターは気に入ってるから(笑)。今回も、話を聞いて気になった楽曲は本当のラジオディレクターのように、かけちゃう。よろしく!」
⬇ 前回、前々回の授業の様子 ⬇
「音楽にまつわる職業『プロモーター(第4回)』(1)」
「音楽にまつわる職業『プロモーター(第4回)』(2)」
ということで今回も、エフエム小樽※の山口一郎ディレクターの元に各レコード会社のプロモーターの皆さんが、はるばる小樽までプロモーション活動にやってきます。(※一郎先生は、北海道・小樽出身ですが、実際に「エフエムおたる」というラジオ局があることは知っています。)
山口「あー……もう大変だなー。小樽って街は観光がメインなんだけどね。街に住んでいる人たちがどういう音楽を求めているのかっていうのをちゃんと冷静に考えながらいい新曲を探しているんだけどなー……」
中道「山口さん、今お時間よろしいでしょうか?」
山口「よろしいです。」
中道「初めまして、日本クラウンの中道と申します。」
山口「……首から何ぶら下げてんの?」
中道「あ、名札を……」
山口「(爆笑)」
中道「ふふふ(笑)」
山口「"日本クラウン株式会社 中道風花"って書いてある。」
中道「はい!アーティストよりは、まず私が覚えてもらわないと意味がないと。」
山口「伝える側だからね!」
中道「はい。私が全アーティストを背負って日本クラウンから局に来ているわけなので。」
山口「日本クラウンを私が背負っていると!」
中道「ははは!(笑) TFM(TOKYO FMのこと)では私が背負っているっていう気持ちで、かけてきました。」
山口「おー、その気持ち大事だ。今日は何?どんな曲を紹介してくれるの?」
中道「はい、今日私が紹介したいのは、吉澤嘉代子というシンガーソングライターをかけていただきたく持ってきました!」
山口「あ!僕ね、大好きよ。1回ご挨拶もさせてもらってるよ。」
中道「本当ですか?」
山口「すごいいい子で。」
中道「そうなんです。すごい柔らかい……本当に、こんなにたくさんの曲が頭の中に詰まっているとは思えないくらいのおおらかな方なんですけど。今回吉澤嘉代子がアルバムをリリースすることになりました。」
山口「それは聴きたい。」
中道「ありがとうございます!昨年の10月にリリースした「残ってる」って楽曲がちょっと各所からいい声をいただいていて。」
山口「うん、わかるわかる。」
中道「今年1月、テレビ朝日系の『関ジャム 完全燃SHOW』で、売れっ子プロデューサーの蔦屋好位置さんと、いしわたり淳治さんが選ぶ、2017年のマイベスト10曲に2人とも「残ってる」を入れてくださったんですよ。」
山口「うん。」
中道「そんな「残ってる」が入ってるアルバムになっていて……ただ今回、私が聴いていただきたいのは、「女優」というリード曲になっています。」
山口「リード曲。」
中道「はい。この「女優」という楽曲なんですけど、今まで自覚していない才能に目覚めた人が女優になっていくっていう様を表していて、リスナーの生徒さんにも多いと思うんですけど、その曖昧な気持ちとかまだ全然確信していない自分の才能とか光を信じて気づいてほしいなと思って持ってまいりました。」
山口「おー。」
中道「……どうでしょう?」
山口「いやー、吉澤嘉代子ちゃんはねー……素晴らしいミュージシャンだと思っていた矢先に中道さんが持ってきたからね。」
中道「日本クラウンから来ました、中道です!」
山口「でもね、ただね……ここサカナLOCKS!なんだなー。」
中道「あ……だと思いました。ちょっと年齢対象が違うんじゃないかって言われてきました。」
山口「そうなのよ。」
中道「ただですね、先日、9月22日に『王様のブランチ』で、吉澤嘉代子が今きてるマイ急上昇アーティスト(10代・20代編)の2位にランクインしているんですよ!」
山口「おー!」
中道「なので、10代の方だってはまっているのに、お気づきでない!(笑)」
山口「ほー。……君もね、一個お気づきでない点があるな。ここね、テレビじゃなくてラジオなんだよな。」
中道「あ……そっか……!」
山口「テレビの話ばっかりだね。」
中道「いや、そんなことないです!ラジオでかけることが意味のあるアーティストであるっていうのは私も重々承知です。だって、耳に入ってくるじゃないですか。目で見なくても!……だから今からでも遅くない、かけていただきたい!」
山口「ははは!(笑)」
中道「(笑)」
山口「……来週もっかい来てもらえる?」
中道「えー!!コメント持ってくる感じですか?」※(※先週のプロモーターさんが、アーティスト本人のコメントを収録してきたので)
山口「これ、発売日が来週だもんね?」
中道「11月7日です。」
山口「来週もう1回来てもらおうかな。」
中道「……ラジオでかけることに、何度も言っちゃいますけど、意味があると思うんです。でも、そもそも私はサカナLOCKS!でかかる以前に、山口さんに聴いていただきたいです!」
山口「僕、聴いてるもん!」
中道「この「女優」は聴いてないですよね?」
山口「多分な、うん。」
中道「これ、新曲。」
山口「そうだよな。でもなーちょっとな……本当に好きなのよ。 こんないいミュージシャン知らなかったなんて恥ずかしいと思うし、バンドもいいバンドでライブをやっているのよね。いいチームで。」
中道「そうです。ハマ(・オカモト)さんとか。」
山口「そうそう。美しくて難しいっていうものにチャレンジしているっていうのはあるわけじゃん。それを10代の子たちが聴いて……刺さるかな……」
中道「刺さりますよ……!みんな、あいみょん、あいみょんって……そうやって……」
山口「え?(笑)」
中道「そうやってみんな……あいみょん、あいみょんって言うんですよ。」
山口「お前……なんかちょっと慣れてんな(笑)。」
中道「初めましてです!(笑)」
山口「うーん……」
中道「……今、生徒さんに届けたい音楽。では、聴いてください。吉澤嘉代子で「女優」!」
山口「わははは!(笑) もう、聴いちゃおう。かけちゃおう。」
中道「イェーイ!」
■ 吉澤嘉代子「女優」MUSIC VIDEO
吉澤嘉代子
・4th ALBUM「女優姉妹」:2018.11.7 Release
山口「やっぱりね……吉澤嘉代子ちゃんは良いに決まってるのよ。だからちょっと新しい曲をね……この小樽の街に響く、長崎屋で流れるいい新曲がないかなと思うんだよねー。敏腕プロモーターいないかなー。」
阿部「すみません、ご挨拶させていただいてもよろしいですか?」
山口「あぁ、はい。」
阿部「私、ユニバーサルミュージックの、EMI Recordsの阿部と申します。」
山口「(名刺に書いてある「阿部ゴリ正喜」を見て)この "ゴリ" っていうのはどういうことですかね?」
阿部「これはですね、あだ名です。」
山口「(笑)」
阿部「うちの部署に阿部が5人いまして、僕が一番下だったので、「お前はゴリだろ。」ってことで入っているという。」
山口「ははは!(笑) ちなみにゴリさん、おいくつですか?」
阿部「40です。」
山口「もう敏腕っていうか、ベテラン?(笑)」
阿部「みたいな(笑)。」
山口「(笑)」
阿部「あの……一番最初に、山口さんにお礼をしなきゃいけないなと思っていまして。」
山口「はあ。」
阿部「山口さんがアーティスト時代に、私がプロモーションさせていただいています、松任谷由実の番組『Yuming Chord』に出演していただきまして、そのお礼をまずは言っておかなきゃなっていう。」
山口「いやいやいや……ちょっと待ってね。」
阿部「感謝しているというのを、まずはお礼をしたいと思って来ました!」
山口「ずるいなー……!僕の一番弱い方の名前を出してくるあたりが……」
阿部「いやいや、そんな……」
山口「松任谷さんの『Yuming Chord』……なるほど、その節は本当にお世話になりました。」
阿部「お世話になりました、本当に。ありがとうございました。」
山口「そうですね……」
阿部「…………。」
山口「ゴリさん、何かけてほしいんですかぁ、今日は。」
阿部「はは(笑)。そんな中ですね、ぜひプロモーションしたいアーティストがいまして……C&Kというアーティストなんですが、ご存知ですかね?」
山口「いや……ちょっと知らないですね。」
阿部「実はですね、このアーティスト、男性2人組のユニットなんですけど、ネクストブレイクを期待されて、10年目のアーティストなんですね。そろそろ……大ブレイクするんじゃないかっていうので、このエフエム小樽をきっかけにヒットするんじゃないかと思いまして、今日は……」
山口「小樽からね、火をつけたいと。」
阿部「火をつけたいと思っておりましてですね、今日はお持ちしました。で、紙資料にも書いているんですけど、彼らの魅力っていうのは結構ありまして、5キーワード……5つにまとめると、「ライブ力」「圧倒的な歌唱力」「ファンとの絆が熱い」「日本全国地元化計画」「紅白歌合戦」……っていう、いろんなフレーズがあるんですけど、一番推したいのは、2番目の「圧倒的な歌唱力」。これがすごくてですね……紙資料の2ページ目にいっていただきますと。」
(一郎ディレクターが手渡された立派な紙資料を見ながら)
山口「ふふふ(笑)」
阿部「とにかく、彼らの……説明しづらいんですけど、2人組のアーティストで、ハイトーンボイスとシルキーボイスって言われている声質なんですけど、あらゆる人をその声で魅了しているんですね。ここに書いているんですけど、東京スカパラダイスオーケストラの谷中(敦)さんが、この曲を聴いてTwitterで……」
これはなんにも関わってないんだけど 笑 もうもう良すぎて何回も聴いちゃう。凄い、。是非聴いて欲しい。感動を共有したい。
— 谷中敦 (@a_yanaka) 2017年6月9日
C&K『Y』https://t.co/3AcJrKXhjQ
山口「谷中さん……僕めちゃめちゃお世話になってるんですよ。」
阿部「谷中さんも推してますし(笑)、マッキーさん……槇原敬之さんも推してくれていて。」
山口「僕、「どんなときも。」大好き。」
阿部「やっぱり!さすが!そのすごい方がみんな一目で惚れているというアーティストです。」
山口「じゃあ、ちょっと味見しよう。」
阿部「ぜひ!」
山口「味見して判断するかな、まずね……」
■ C&K – Y
山口「(歌いだしを聴いて……)はい!」
(曲を止める)
山口「……あれ?透き通るね……」
阿部「透き通るんです。」
山口「女性っぽいっていうかな……なんか……聴き入るね。」
阿部「そうなんです。声に特徴があって。」
山口「これはどちらの方の声なんですか?」
阿部「これは、Clievyっていう……(紙資料の写真を指して)」
山口「え?!この外見であの声で歌っちゃうわけ?」
C&K アーティスト写真
※Clievyさん(左)、KEENさん(右)
阿部「そうなんです。本当に……え?この人が?っていう。よくラジオでかかると女性に間違えられるんですよ。そのくらいの声質で。」
山口「へー……これはアルバムとかも出るんですか?」
阿部「アルバムも出ますね。」
山口「……じゃあアルバムの時に来てもらおうかな。」
阿部「いや!ぜひここで!アルバムはアルバムで持ってきます。」
山口「うーん。」
阿部「なので、ここは「Y」を是非お願いします!(頭を下げて)」
山口「(笑)」
阿部「お願いします!!!(ほぼ土下座)」
山口「そんな……いやいや、頭を下げないでくださいよ、ゴリさん!」
阿部「お願いします!お願いします!!」
山口「いやいやいや……(笑)そこまでしてくれたらな……そんな……」
阿部「ぜひ、ラジオから聴きたいです、この曲を!」
山口「……しょうがない、もう、かけちゃおう!聴いちゃおう。」
阿部「ありがとうございます!」
(♪曲のゆったりとしたイントロが流れてきて……)
阿部「……僕は本当に小樽まで来れて、こんな景色も見れて……」
山口「ははは!(笑) いい街でしょ?」
阿部「もうすごい綺麗で、また出張で来ることがあったらプロモーションに来れたらなって思っているのでよろしくお願いします……。」
C&K
・「Y」:NOW ON SALE
山口「でも、もう……ぶっちゃけ売れていますよね?」
阿部「いや……サカナLOCKS!でかかったら多分、反応があると思うんですよ。」
山口「そりゃあると思う。でも、もう少し違うミュージシャンにチャンスを与えるべきですよ。やっぱり、サカナLOCKS!のようなこういう場でね、聴いてもらいたいのを持ってきてもらいたいですよ。C&Kさんはネクストブレイクっていうか、もうブレイクしてるんじゃないですか?……ネクストブレイク詐欺だ!ネクストブレイク詐欺だよ!」
阿部「……そんなことありません(笑)。」
山口「かけてから言うのもあれだけど。」
阿部「次、来ます。次来ますので。」
そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。
山口「やっぱりね……プロモーターっていう職業は難しいけど、ベテランプロモーターのゴリさん……話術っていうか、持っていき方がすごいし、紙資料の作り方や見せ方もうまいよね。あと、クラウンの中道さん。吉澤嘉代子ちゃん……僕好きだからね。多分、情報を仕入れてるよ。まだこれからっていうのを持ってきて欲しいと思いますよね。」