江島「はい、授業を始めますから席に着いてください。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。」
岩寺「Instagramを開いている生徒はInstagramを閉じなさい。授業が始まりますよ。」
江島「サカナクションのドラム、江島啓一です。」
岩寺「ギターの岩寺基晴です。」
江島「さて、今夜のサカナLOCKS!ですが、一郎先生がぶどう狩りに出かけているため、僕たち副担任が授業をお届けしたいと思います。」
岩寺「はい。副担任'sは久しぶりだね。1年ぶりくらいかな?」
江島「約1年ぶり。最近一郎先生は狩りには行っていなかったんですが、もうそろそろホールツアーが始まるこの直前に何やら、ぶどうが食べたくなったと。」
岩寺「あー……秋になるともう居ても立ってもいられなくなる。」
江島「できればスーパーあたりで済ませてもらえたらよかったんですけど(笑)。」
岩寺「もう……一郎先生は新鮮さに非常にこだわりますのでね(笑)。」
江島「ね、こだわって畑まで行っちゃって(笑)。」
岩寺「ふふふ(笑)。」
2人「…………。」
岩寺「……ぶどう食べたいなー!(笑)」
江島「食べたいね!(笑)……まあまあまあ。では、黒板を書いてもらおうかな、岩寺先生に。」
岩寺「はい。黒板書きます。」
江島「皆さん、お忘れかもしれませんが、僕たちサカナクションはSCHOOL OF LOCK!の [ バンド部 ] の顧問です。今夜は、バンド部宛に届いた書き込みを紹介していきたいと思います。」
岩寺「はい。」
江島「僕らは楽器の担当がドラムとギターなので、そのへんの質問に答えていけたらと思います。ただし、何やらバシッと質問に対する答えを言えないと次の質問にはいけないらしい。」
岩寺「あー、なんか前もあったなー……名言的な。」
江島「……やだ!このプレッシャーやだ(笑)。」
岩寺「これ、ハードル高いよ(笑)。」
江島「1年ぶりなんですよ、僕たち。だからお手柔らかにお願いします。」
岩寺「では、最初の質問。」
★ギターやりたい!
親が趣味でバンドを組んでいることもあり、最近ギターに興味が出てきました。アコギもエレキも弾けたらな〜なんて思っています。しかし、ギターは家にあるのですが何からやっていいかが分かりません。
女性/16歳/青森県
岩寺「これは家にあるのがアコギなのかエレキなのか……」
江島「でも、親もバンドをやっているんだよね?」
岩寺「じゃあエレキがある可能性もあるね。これはエレキがあれば、ぜひエレキを弾いてほしいよね。」
江島「おすすめ?エレキ。」
岩寺「楽しいじゃん。電気を通して音が変わるっていう。歪(ひず)んだりとかさ。」
江島「ギャーーッてね。」
岩寺「うん。(親が)バンドをやっているんだったら、ある程度エフェクター※とかも持っているだろうし。(※楽器の音が変わる機材) でも、最初に何からやるって……きっと家でいろんな音楽も流れているだろうし、よく耳にするもの……もちろん好きなものをやると、その音楽と自分が出している音との違いがすごく分かりやすいから。好きな、いっぱい聴いたことがあるものを最初に弾くのがいいんじゃないかなと僕は思いますね。」
江島「コピー?」
岩寺「うん。コピーがいいんじゃない?」
江島「すぐ曲をやるってこと?」
岩寺「曲を最初にやったほうがいいと思う。弾けなくても。」
江島「へー。岩寺先生はすぐ曲から入ったの?」
岩寺「僕は曲から入りましたね。ギターってTAB譜っていって、ギター専用の譜面があって、それがすごく分かりやすくて、それを見ると譜面を読めなくても押さえる場所と弦がわかるからそれで弾けるんですよ。そういうのを見て僕は最初、好きなバンドの曲をコピーしていましたね。」
江島「なるほど。」
岩寺「僕の場合は……最初は、家にあったのが5弦と6弦しか張っていないガットギター(クラシックギター)で。その2本で弾けるもの……」
江島「あんの?」
岩寺「あるある。ロックの曲とかだと割とパワーコードとかで、5弦と6弦だけで成立するフレーズだったりっていうのがちょいちょいあるんで、そういうのだと押さえる指も2本で済むし。」
江島「ちなみに、「新宝島」のギターソロとかは?」
岩寺「簡単、簡単。とても簡単です。」
江島「お、簡単?」
■サカナクション / 新宝島
江島「……TAB譜が出てないな!」
岩寺「出てないなー(笑)。うーん……惜しい。」
江島「惜しい。」
岩寺「耳コピはハードル高いですよ。」
江島「そうかー。これを聞いている音楽出版社の方、ぜひ「新宝島」のTAB譜を……」
岩寺「いくらでも監修しますので。」
江島「よろしくお願いします。」
岩寺「でも、親がやっているなら親に教えてもらえるからいいんじゃない?」
江島「いや、親にこっそり練習しようとしているのかもしんないよ。わざわざここに質問してくるっていうことは。」
岩寺「なるほどね……いや、いちばん身近にいる人が一番いい先生です!」
<名言の合図、太鼓ドドン!>
江島「おー!(笑)」
岩寺「きたー!」
江島「なるほど……ちょっと力強く言えばいいんだね。そういうことだな……」
岩寺「ははは(笑)。ふー。クリア、クリア。」
江島「じゃあ、僕もドラムの方の書き込みを見ていきたいと思います。」
★ドラムをやっております
テンポを合わせるコツを教えてください。
メトロノームはドラムの音が大きすぎて聞こえない(泣)。
ちなみに米津玄師さんの「ピースサイン」です。
女性/12歳/東京都
岩寺「なるほど。」
江島「「ピースサイン」を叩きたいんだね。」
■米津玄師 MV「ピースサイン」
江島「この曲ですね。」
岩寺「あー。」
江島「これ結構、速いでしょ。ノリがいい感じで。」
岩寺「シンコペーション、シンコペーションって感じで。」
江島「このテンポで最初からやろうと思うとちょっと難しいかもしれないから、ゆっくりやるのが、いちばん良いんですよ。」
岩寺「うん。」
江島「びっくりするくらいゆっくりで良いんですよ。ゆっくりやると、自分の手の動きがなめらかじゃない場合はすぐ気付くし。で、ゆっくりなテンポからちょっとずつ上げていけば良いんですよ。出来るようになったら。」
岩寺「なるほどね。」
江島「"メトロノームを聴きながらテンポを合わせるコツ" ……だよね。これはもう、2パターンしかありませんね。まず、メトロノームをイヤホンかヘッドホンで聴きながらドラムを叩く。その場合は、ヘッドホン越しに聴かないといけないから、自分のドラムの音は小さくなっちゃう。」
岩寺「そうか。」
江島「で、僕がドラムを習っていた時にやっていたのは、リハーサルスタジオとかにギターアンプとかベースアンプがあるじゃん。メトロノームをあれに繋いで、メトロノームの音を爆音で出す。」
岩寺「なるほどね。」
江島「この2パターンしかない、アコースティックドラムを叩きながらメトロノームを聴くっていうのは。」
岩寺「外部出力できるメトロノームっていうのを買えばなんとかなる。」
江島「今はスマホでダウンロードできる無料のメトロノーム(アプリ)がいっぱいあるんで。何かしらのケーブルが必要かもしれないけど、アンプに入れるとかヘッドホンで聴くとか。それでメトロノームは解決できると。」
岩寺「うん。」
江島「で、米津玄師くんの「ピースサイン」は……このドラムを叩いているのは僕の同郷の同じドラムの先生に習っていた堀(正輝)くんっていう、同い年のドラマーなんですよ。」
岩寺「札幌のね。」
江島「だから……聞いときます!コツを!」
<名言の合図が……>
江島「……あれ?(笑)。大きな声で言ってもだめだったなー(笑)。」
岩寺「(笑)」
江島「いや、だってさ。俺、叩いたことないんだもんこの曲(笑)。分かんないよ。」
岩寺「ま、堀くんに聞くのが、いちばん早いよね。」
江島「聞いとく。……すいません、なんか(笑)。」
岩寺「(笑)」
最後にもうひとつ質問を紹介します。
★質問!
シーケンサーって何ですか?
記録したり再生したりできるんですかね?
あと、どういう時に使えばいいのですか??
質問ばかりですいません…(-_-;)
今日ギターを買ったばかりの、バリバリ初心者なので、教えていただけるとうれしいです!
女性/16歳/香川県
江島「お!ギタリストなんですね。」
岩寺「まず、シーケンサーっていうのが何かっていうと、電子音楽で使うものであって、例えばシンセサイザーだったりドラムマシンだったりの音色を順番を並べてその順番通りに鳴らすもの。それがいろいろテンポを変えられたり、順番だったり、音符を変えられたり。」
江島「そうだね。なんて言ったらいいかな……自動演奏装置みたいな感じかな。」
岩寺「そうだね。だからシーケンサー単体では音は鳴らない。自動演奏するためのシステム。」
江島「システムだね。」
岩寺「僕らは結構、クラブミュージックみたいなこともやったりするので、興味を持ってくださっているんだったら、シーケンサーっていうのを使いこなせるようになると、いろいろダンスミュージックを作るのがおもしろくなるし、作りやすい。」
江島「そうだね。」
岩寺「シーケンサーっていうのは自分のコントロールできるグルーヴがいろいろ実験できておもしろいので、興味があるなら使ってみると良いと思うんですが、ギターとシーケンサーは関係ないです!」
江島「確かに関係ないかもしれないね……シーケンサーでギターは演奏させられないからね。」
岩寺「させられない。」
江島「あと今は、一般的なのはパソコンですね。パソコンをシーケンサーとして使う。」
岩寺「そうだね。でもパソコンを使うとシーケンサーっていう概念がちょっとまた分かりづらくもなるよね。」
江島「全部入ってる……みたいなね、パソコンだと。シーケンサー機能も付いてる。」
岩寺「うん。」
江島「でもね、興味を持ってくれているのは嬉しいですよ。」
岩寺「ね。」
江島「多分、ギターをやっているけど、ロックバンドも好きだし、そういうダンスミュージックにも興味がある方なんじゃないかと思う。ぜひジャンル問わずいろんな音楽を楽しんでもらえればなって。」
岩寺「そうですね。できればドンツク、ドンツクいわせてもらうと、それだけで踊れて楽しいので。」
江島「そうですね。ぜひ頑張ってください。」
そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。
江島「さて、1年ぶりの授業でしたけどね……どうでした?」
岩寺「いやー久しぶりだとちょっと緊張するね、やっぱり。」
江島「もっといっぱい質問がきていたので、全部答えたかったんですけど時間がないということで。」
岩寺「一郎先生の狩り次第、で……」
江島「え!?……まだ探すの、来週も?(笑) いやー……それはちょっと考えたくないなー……」
岩寺「うーん。」
江島「でも、帰ってくると思いますよ。」
岩寺「うん。帰ってこないと困ります。」
江島「ものすごい美味しい葡萄を持ってきて……あのね、帰ってこなかったことはないんですよ、今まで。」
岩寺「確かに。そりゃそうだ。」
江島「はい。一郎先生は行ったら帰ってきますから、ちゃんと。」
岩寺「うん。ちゃんと狩って帰ってくるからね。」
江島「それだけは今の所100パーセント。」
岩寺「そうですよ。そして来週、10月6日からサカナクションは全国ホールツアー SAKANAQUARIUM 2018-2019 "魚図鑑ゼミナール"が始まるけども。初日……茨城の皆さんには必ず美味しい葡萄をお届けしますんで!」
江島「お!……ふふふ(笑)。……できると思います(笑)。」
岩寺「茨城の皆さんは、いっしょに食べましょう。」
江島「はい。楽しみにしていただけたらと思います。」