「はい、これは「三日月サンセット」ですね。この曲を作った時は、サカナクションの山口一郎くんは、警戒した猫のような目を毎日していて、ギラギラ……日本の音楽シーンにはこんな曲がなきゃだめだって偉そうなことを思って、「こういうのを主流にしていきたいんだ!」「もっといい曲があるだろう!」と思っていたわけですね。なので、この曲を出した時はある程度自信があったわけ。だけどね、デビューアルバム(『GO TO THE FUTURE』)にも関わらず、1800枚しか売れなかったの。1800枚しか売れなかったことに愕然としたんだねー。だけど、この曲を出したときにいろんな人が反応をしてくれたんですねー。FPMの田中知之さんとか、m-floの☆Taku Takahashiさんとか、妻夫木聡くんとか……当時、この曲を聴いて反応してくれたんです。無名の、北海道の田舎者が集まったバンドの曲を東京の人が感度よく反応してくれているというのは、ある種、メジャーっていうのは人に届ける手段としてはすごいことなんだなっていうのが分かったような曲ですね。なので、この曲から始まったのは、僕たちにとってよかったんじゃないかと思うねー……。」
「さあ、次はどんな曲かな……釣竿をぴゅっと……そうすると聞こえてくるわけだねー……」
■ サカナクション / ワード
「これは「ワード」だな。この音の立ち上がり方は「ワード」だ。この曲はね、実は僕が全然売れていない頃……全然だめだった頃、お金がなかったんだ。その頃にビクターの人が助け舟を出してくれたの。YUKIさん……元JUDY AND MARYのね。そのYUKIさんがソロで曲を出すってことになって、インディーズの人から曲を集めているから、楽曲提供をしてみないかって言われたの。僕は、これはきたと、採用されたらしばらくスタジオ代は払えると思って、絶対に応募しますって作ったのがこの「ワード」だったんです。これは、YUKIさんが歌ったらいいだろうって思ってつくったの。YUKIさんが "僕は" って歌うの素敵やなーって。だけど、見事落選してサカナクションの曲になったわけですね。実は、自分用に書いたんじゃないけど、自分のために最終的には使われるようになったっていうちょっと異色の曲なので思い出深いですね。そういうイメージで聴いていただけたらと思います。」
「さて、次にかかる曲はどんな曲かな……」
■ サカナクション / ネイティブダンサー
「これは「ネイティブダンサー」って曲ですね。実はね……でもこれは『魚図鑑』に書いてるんだよなー……いろいろと詳しい事(笑)。そこに書いていないうんちくをちょっと言うと、この曲は登戸(神奈川県川崎市)の家で作ったんだけど、僕はアコースティックな雰囲気の曲から突然ダンスミュージックに変わる曲にチャレンジしたかったの。みんな知ってるかな……ファットボーイ・スリム(Fatboy Slim)っていう人の、「Right Here, Right Now」っていう曲があるの。あの曲は、ストリングスっぽいものが入ってから、いきなりダンスミュージックに変わるわけ。そういう要素がある曲を作りたいって、なんとかフォークとダンスを混ぜたいと思ってつくったのがこの曲なのね。」
「なかなかサカナクションのことを深くサカナLOCKS!で話すことってあんまりないの、実は。リリース時期くらいは、サカナクションのことを話すっていうのもいいんじゃないかなとも思ってやらせていただきました。いかがでしたでしょうか。サカナクションのベストアルバム『魚図鑑』に収録されている曲を釣り上げて解説するという解体ショーをお届けしましたが、CDの形態によっては、"深海" に潜む魚もいるわけだなー。その完全生産限定プレミアムBOXは、在庫切れが多い。素材にこだわりすぎて部材がないっていう……これしか作れませんっていう分しか作らなかったからね。転売とかも早速出始めているけど、お店に行ったらあるから。お店で購入してください。深海の一番底には、「グッドバイ -binaural field recording-」も収録されています。これは、公園で僕とモッチ(岩寺基晴先生)が横で歌っているっていうのをバイノーラルで体験できるっていう……『魚大図鑑(完全生産限定プレミアムBOX)』にしかついてこないから。購入して聴いてもらえればと思います。」