聴取期限 2023年5月19日(金)PM 10:00 まで
<チャイム〜 ガラガラ(扉を開ける音)>
尾崎先生「この音に聞き覚えがあるのだと」
岩井先生「はい」
尾崎先生「もういろいろ思い出しました。『閃光ライオット』が、僕たちにとって本当に大事なスタート地点でもあり、今、あの時のことをちょうど思い出してるタイミングで、復活、ということで。
岩井くんはどうですか? 実際、別のバンドで『閃光ライオット』に出てたけど、『閃光ライオット』復活の話をどう知ったんですか?」
岩井先生「何だろう? 雄貴に聞いたかも」
尾崎先生「俺が教えたっけ? そっか」
岩井先生「たぶん、雄貴がSNSとかで見て、“『閃光ライオット』復活するらしいよ”みたいな感じだった気がするな」
尾崎先生「そうだったかな。俺はTwitterでふぁーって見てたら、『閃光ライオット』の文字がひゅって見えて、“まさかな”って一瞬流したんだけど、戻って、“え、やるんだ!”って思って」
岩井先生「たぶん、俺らの世代はみんなざわざわしたんじゃない?」
尾崎先生「そう。何度か、“『閃光ライオット』ってまたやればいいのにね”って勝手なことを、結構ちょいちょい昔を懐かしむタイミングとかで。ああいう場って本当に、僕らにとっては救いにもなったし、単純にあの時のことを思い返すと結構楽しくなるから」
岩井先生「そうだね。忘れられない」
尾崎先生「うん。
ということで、授業を始めていきましょう」
岩井先生「行きましょう! 黒板がありますね」
尾崎先生「ありますね。これ、この黒板に文字を書くのは、めちゃめちゃ久しぶりですね…」
(黒板を書く尾崎先生)
尾崎先生「しかも、もうこれめっちゃ緊張すんだよ。字、汚いから」
岩井先生「あーいい音出てますね(笑)」
尾崎先生「…ということで、この書いた文字なんですけど。これは当時、Galileo Galileiが『閃光ライオット』に応募した曲ですね。かなり昔の曲じゃないですか」
岩井先生「そうですね」
尾崎先生「僕が“曲を書こう”っていうさ。しかも友達同士で組んだバンドだから、“え、雄貴が曲書くの?”みたいな。まぁ、わかるじゃん。ちょっと肩パンしてくる感じ」
岩井先生「はいはいはい」
尾崎先生「…も、ありつつ、めっちゃ恥ずかしくて。そんな中で、その恥ずかしさをはねのけ、曲を書いてったんだけど…。たぶんね、初めて書いた曲の次だから、本当に2曲目とかかも知れない。“曲が書けるのかな?”って自分で思って、もう1曲書いてみた、みたいなとこがあるかも」
岩井先生「じゃあ始まりの1曲ですね」
尾崎先生「始まりの1曲です。『ハローグッバイ』」
♪ ハローグッバイ / Galileo Galilei
尾崎先生「『マイナビ 閃光ライオット2023 produced by SCHOOL OF LOCK!』に向けた特別授業、『閃光LOCKS!』。初回を担当します、Galileo Galileiのボーカルギター、尾崎雄貴と…」
岩井先生「ギターの岩井郁人です」
尾崎先生「改めて、僕たちGalileo Galileiですが、2008年に開催された第1回目の『閃光ライオット』でグランプリを獲らせていただきました。『ハローグッバイ』、これがその当時の応募曲になってて。
『閃光ライオット』に応募した時に…僕がまず『閃光ライオット』を知ったのが、確か学校の職員室の横に掲示板があって」
岩井先生「あ〜」
尾崎先生「それで僕、学校不登校だったんで、よく先生に呼ばれて連れてかれて、“お前、本当に大丈夫か?”っていう話をよくしてたんですけど、その時に掲示板にパンって貼ってあるの見て、“あ、『閃光ライオット』ってのがあるんだ”っていう。で、『賞金100万円』って書いてあって。
まず『賞金100万円』っていう文字より、『閃光ライオット』のポスターかな? 青いポスターのはずなんだけど。あれに、俺は何かをバッて感じて」
岩井先生「うん」
尾崎先生「その頃、当時まだバンドがコピバンだから、コピーと、自分たちのオリジナル曲、それこそこの『ハローグッバイ』とかもそうだけど、それを交えてライブしてて。僕らの地元の北海道の稚内には、ライブハウスも1軒しかないし、どっちかというとハードコア系のライブハウスで(笑)、ライブできる場所がなかったんですよ。僕のお母さんが看護婦やってたんで、その流れで、老人ホームのお祭りっていうか、何だろうね、出し物みたいな…(笑)」
岩井先生「それもすごい貴重な体験だね(笑)」
尾崎先生「それでライブやって、もうおじいちゃんおばあちゃんが俺らの演奏に耳を塞いで、めっちゃショック受けて」
岩井先生「(笑)」
尾崎先生「しかも、ビートルズとか練習したの。おじいちゃんおばあちゃんに向けてやろうと思って」
岩井先生「ビートルズはどうだったの?」
尾崎先生「全然、もう耳塞いでた」
岩井先生「マジで? それはショックだね」
尾崎先生「“こんなに寄り添ったのに”、と思ってね(笑) “伝わらねーんだ”って。
ちょうどバンドもライブをできる場所が全然ないから、なんか空中分解しそうになってたんだよね。それで、そのタイミングもあって、『閃光ライオット』のポスター見て、“これだ!”と思って。“ポスターありますか?”って聞いて、持って帰って、メンバーに“こういうのあるからこれ目標にしない?”って。で、“『閃光ライオット』に応募してみるか”っていうのが始まりだったんだよね」
岩井先生「すごいわかる! 俺も、たぶんライブハウスかスタジオ? 僕は札幌の近くで、ライブハウスとかスタジオが結構あったので、練習しに行ってたんだけど、そこで(ポスターを)見たのかな? ちょっと曖昧なんですけど。僕らのバンドにとっても、すごく希望が見えた感じがしてね」
尾崎先生「ピカーッてなったよね」
岩井先生「ポスターが光ってたもん。たぶん当時、雄貴は高校2年生。で、僕は、高校3年生だったと思うんですけど、そこで…」
尾崎先生「the Guildっていうバンドだよね?」
岩井先生「そう。the Guildってバンドで出場していて、その札幌の3次審査で初めて出会ったんですよね」
尾崎先生「俺に、『ハローグッバイ』のコード弾きながら、なんかニヤニヤ近づいてきてさ…」
岩井先生「はいはい(笑)」
尾崎先生「“俺もう、こいつ嫌いだわ”って、しょっぱなから思ったもんね(笑) 出会いは結構最悪だったよね」
岩井先生「(笑) まあね、“『ハローグッバイ』が繋いでくれた”とも、言えるには言えるんですよね」
尾崎先生「『ハローグッバイ』弾かないで来てくれた方が、もしかしたら仲良くできたかもしれない(笑)」
岩井先生「最初、イメージ悪い方だよね」
尾崎先生「うん」
岩井先生「その後がね」
尾崎先生「その後がいいからね」
岩井先生「ありましたね、そんなことも(笑)」
尾崎先生「結構、3次審査とかもそうだけどさ、何となくだけど覚えてるのが、出場者たちの独特の空気もそうだし、みんな、“ガチで来てる人”、もしかしたら“ガチじゃなかったけど来ちゃった人”って、いろんなのがいて。ガリレオは半分半分だったんじゃない? ポスター見た時の輝きでバーって行っちゃったけど、いざその場に立ってみたら、“これ大丈夫なんだろうか?”っていうドキドキで周りが全く見えてなくて。そんな中に『ハローグッバイ』弾きながら岩井くんが来たから、もう“なんだこいつ”って思って(笑)」
岩井先生「(笑) いやね、絶対仲良くなろうと思ったんですよ。当時、『ハローグッバイ』をラジオで聴いたんですよ。“なんだこれ”と。“北海道にこんなバンドいるのか”と、“絶対仲良くなろう”と思って、“絶対『ハローグッバイ』完コピしていこう”と思って(笑)」
尾崎先生「そうなの(笑)」
岩井先生「だから、俺は“これを弾けば仲良くなれる”と思って、弾いた結果…。まぁでも、そこでちょっと繋がったんですよ。それで稚内と、僕の地元は恵庭っていうんですけど、恵庭で電話してね」
尾崎先生「電話友達になったもんね」
岩井先生「そう。お互い悩みを相談し合ったり」
尾崎先生「なったなった。メル友になったもんね」
岩井先生「なんかそういう繋がりが、『閃光ライオット』によっていろんなとこでも生み出されてるんじゃないですか?」
尾崎先生「たぶん、それはすごい思うね」
岩井先生「なかなかね、案外バンドを本気でやってる人たちって、他と繋がれなかったりする人たちもいると思うんだよね。実はそれによって、普通の友達ができなかったりとか。それが、音楽っていうもので繋がってるっていうことが、結構すごく珍しい」
尾崎先生「確かに」
岩井先生「いなかったからこそ、稚内と恵庭で繋がってたし。っていうのがあって、そういう場所でもあるよね」
尾崎先生「そうだね」
岩井先生「実際ファイナルで、グランプリが現場で発表されるじゃないですか。東京ビッグサイトだったかな? 現場で、やましげ校長からグランプリが発表されるわけなんだけど、どうだったんですか? その時は、どういう気持ちだったんですか?」
尾崎先生「このファイナルはそもそも、本当に、もう一切“自分たちが優勝するだろう”っていう希望で来てなかったの。ただただ“この場を楽しもう”って思ってたし、100万円獲らなかったらバンド辞めなきゃいけないから(笑)」
岩井先生「もう“後がない”と(笑)」
尾崎先生「そうそう。実際、“優勝、Galileo Galilei”って言われて…。光? たぶん、そこまでめちゃくちゃ眩しくなかったと思うんだけど、バーって全てが、もうギラギラのピカピカになって(笑) 目が見えてない(笑) 目が見えてなくて、ステージに上がってって、校長も教頭もいてっていう中だったじゃん。もうこれ、見えてないの。ビカーッていう光の中で、お2人の影が何となくチラチラっとしてて。腰に手を添えてちょっと前に出してくれたりとかして、サポートしてくれてるんだけど、俺はもうそのイメージしかないですね。
で、そのままライブやるんだよね」
岩井先生「そうだね。1曲、ウイニングライブ的なのをやるんですよね」
尾崎先生「そう。もうね、それも…(笑) 逆に、よくできたなと思う」
岩井先生「確かに」
尾崎先生「だって、全くそんな想い考えてなかったのに、そこに立ってさ。たぶん今までの人生で1番緊張したライブだと思うし、ふつふつと喜びってよりは…。すごいめちゃめちゃでかい強い希望が目の前にドンって現れると、まずたぶん人間って、どっちかっていうと“これ、手にしていいのか”っていう恐怖…畏怖とかも感じると思うけど、頭がそれでいっぱいだった。そんな感じだったね」
岩井先生「僕は、人生で初めて挫折を味わった」
尾崎先生「そうなんだ」
岩井先生「無敵だと思ってたんだよね。10代の頃ってそういうとこある人もいると思うんだけど、“絶対に優勝できる”と思ってたの」
尾崎先生「あ〜、そうなんだ(笑)」
岩井先生「札幌の3次審査で、1番いいライブをしたと思ってましたし」
尾崎先生「まぁでも実際、当時のthe Guild、“なんで上がってこなかったんだろうな?”って1番思ったバンドだし」
岩井先生「人生で初めての1番大きな挫折だったんだけど、それがあるからこそ、“上手くいかないことも大事なんだな”って正直思って。今になってわかるけど」
尾崎先生「すいません、そんな中で…。たぶん俺らは、泣き崩れるとかもなかった思う…」
岩井先生「(笑)」
尾崎先生「“あ〜、ダメだったんだ。そうか、でもそれが現実だよな”っていう風なヤツらだったから」
岩井先生「でも同時に、“手にしたからこその恐怖みたいなものがある”って言ってたあったけど、そういう面もあったと思うと…」
尾崎先生「あった。だって、それこそファイナルにいたバンドは、さっき言ったようにみんなガチガチできてるから。しかも、みんな席がめっちゃ近くて、もうみんなが傍にいるわけ。そんな中で、やっぱりその日の緊張と、“やってやるぞ”っていう気持ちと、“やれるだろうか”って気持ちをみんな持ってて、それの中で、そのタイミングで、メンバーに対してめちゃくちゃブチギレちゃったりとかもいて」
岩井先生「それぐらいね。なかなか10代で体験できないほど熱くなれるというか、没頭できるぐらいのイベントだったなって。そう考えると、復活するのは嬉しいね」
尾崎先生「そうですね」
岩井先生「いろいろな物語があるんだな、というところで」
尾崎先生「たぶん、それこそ世代も違って、きっと置かれてる状況もちょっとずつ変わってって、今、全然新しい世代の人たちだと思うから、そのドキドキ感とかもまた違ったものだったりするんだろうなっていう」
岩井先生「確かに」
尾崎先生「『閃光ライオット』ってその楽しさがあって。実際、『閃光ライオット』に出場もできなくなった今でも、そういうことを考えると、なんかワクワクする。“今の人たちって、出る人たちはどんな気持ちで応募するんだろう?”“どんな応募アーティストがいるんだろう?”とかっていうところで」
岩井先生「それを感じるだけでも、刺激になりそう」
尾崎先生「そう。だから僕は『閃光ライオット』はやっぱり…これはね、自分が初代で優勝したからじゃ全くなくて、『閃光ライオット』から得たもので、今こうやってミュージシャンやれてるっていうことが、全て『閃光ライオット』っていうものの起こした魔法だし。やっぱりいまだにずっと感化され続けてるんだっていう風に僕は思ってますので。本当に僕は、復活、マジで嬉しいです」
岩井先生「嬉しい!」
尾崎先生「めちゃめちゃ声かけようかなと思ってます」
岩井先生「…さあ、そろそろ終わりの時間」
尾崎先生「はい。最後に黒板に…」
(黒板を書く尾崎先生)
尾崎先生「はい、書けました。『出口であり入口』」
岩井先生「はい」
尾崎先生「ということで。まず『出口』。
僕もそうですし、きっと僕が見た『閃光ライオット』に出場してた人たちみんなそうだと思うんですけど。当時、年齢的にも、何かしらの出口…別にそれは、今の状況から抜け出たい人もいるだろうし、単純にその今の状況より良くしたい人もいるだろうし、別に今のとこにいたい人もいるかもしれないけど、たぶんいつもみんな出口を求めていて。
僕らも全くそうだったから。この稚内っていう街で、ライブもできない、と。おじいちゃんとおばあちゃんは耳塞ぐし、っていうところで。周りも全然、バンドやってることにあんま興味示してくれない、と。だからそういう意味で、『出口』だったなっていうのと。
僕がさっき言ったように、ステージに立った時に光が見えたわけですね。だからもうあれは出口であり、入口。出口ってたぶん、次の入口だから」
岩井先生「そうね」
尾崎先生「僕はそういう“門”みたいなものを通ったんだなっていう感じはしたんで、『出口であり入口』」
岩井先生「全くその通りです。僕もそうです」
尾崎先生「同じ。でも岩井くんが挫折したっていうのもそうだ思うし」
岩井先生「本当に、ある意味あれは『入口』だと思います。『出口』であり、ね」
尾崎先生「別に優勝した僕らだけじゃなくて、たぶん『閃光ライオット』通った人たちはみんな、ここにいろんな通過点っていうか…しかもめちゃめちゃ輝かしい通過点というか、それを感じて通っていってるんじゃないかなっていう風に思うんで。だから、今の人たちは、『閃光ライオット』でそういう風に感じれたら、僕はもう本当に最高だなって。しかもそれが続いてるっていうのは、最高だなと思います!」
♪ 夏空 / Galileo Galilei
尾崎先生「『閃光ライオット』の話、そして、SCHOOL OF LOCK!に関係しているものに喋ってるっていうのが、僕、今、心の底から嬉しかったし」
岩井先生「絶賛、今、大会がもう真っ盛りというか。地方でいろんな審査が行われていて、ファイナル向かって進んでいる、と」
尾崎先生「やべー」
岩井先生「頑張ってほしいね」
尾崎先生「頑張ってしいね。頑張ってほしい…なんか、でも、同じ気持ちをぜひ味わってほしいって感じだもん。きっとみんな、それぞれあると思うんで。Galileo Galileiは、『閃光ライオット』をめちゃめちゃ応援してるんで!」
岩井先生「はい! 応援してます!」
尾崎先生「そして、僕たちは、このあと11時から『SCHOOL OF LOCK!教育委員会』にも出演させてもらいます。そちらでは、とーやま委員と一緒に、『閃光ライオット』以降の僕たちの話、そして5月31日にリリースする、僕らのニューアルバム『Bee and The Whales』から、『色彩』という曲を初オンエアします。生徒のみなさん、引き続き、よろしくお願いします!」
岩井先生「お願いします!」
尾崎先生「『閃光LOCKS!』、今夜の授業は以上です。Galileo_Galileiのボーカルギター尾崎雄貴と…」
岩井先生「ギターの岩井郁人でした!」
聴取期限 2023年5月19日(金)PM 10:00 まで