鹿野_念願のコラボレーションが実現しますが、まずは山口一郎からフィッシュマンズへの愛を語って頂きたいのですが…。
山口_高校の時からフィッシュマンズを聴いてきたし、僕の中での "THE東京" というイメージだったんです。実際に自分が東京に出てきて音楽で生きていくようになって、今こうしてフィッシュマンズと一緒に音楽をやれるって事が凄く考え深いですし・・・緊張しますね。
鹿野_フィッシュマンズの音楽をどう捉えていたの?
山口_はじめて聴いた曲が
「Go Go Round This World!」って曲で。純粋に沁みてきた音楽でした。僕は当時の日本の音楽シーンに馴染めなかったんですよ。
でもフィッシュマンズを聴いて、自分がやりたいと思っていた音楽とはかけ離れていたけど、フィッシュマンズのお陰で日本でもこんな面白い事をやってる人達がいるし、シーンを確立出来るんだなって・・・東京という街は面白そうだと思えたキッカケをくれたアーティストでした。
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| Go Go Round This World!
フィッシュマンズ
(from Single『 Go Go Round This World! 』) |
鹿野_フィッシュマンズの音楽はダブという音楽ジャンルとギター1本でも説得力の持てるメロディを合わせた90年代発の音楽だったと思います。そういうフィッシュマンズの音楽をどうフィードバックしましたか?
山口_日本人が演るソウルやファンクを僕はあまり好きになれなくて。
だけど
「Go Go Round This World!」聴いた時にこれって日本人のマインドじゃないぞ、と。バランス感覚に凄い惹かれたんですよね。聴き込んでいくとダブの要素が入ったり、ライブ映像見ても明らかにサイケだし、だけど人気があって日本で活動していて、好きなものと広めたい気持ちがミックスされてるところに影響を受けました。
あと、ダブっていう音楽ジャンルを知ったのもフィッシュマンズのお陰でした。
茂木_ほんと!? 僕、そんなダブのこと知らないけど(笑)
全員_(笑)
茂木_今の話を聞いて、思ったんだけど、山口君は自分に相応しい音楽を探してたって事だよね?
山口_その通りですね。
茂木_佐藤君も言ってたけどザ・クラッシュに影響を受けて最初は早い8ビートの曲を書いてたけど、でもやってみたら自分にはあまり似合わなくて。じゃ、自分はどういう音楽が合ってるんだろうと探した結果、ダブよく知らないって、さっき嘘言ったけど(笑) ダブを探っていって、好きだからという純粋な気持ちもあるけれど、ダブが佐藤君の持ってくる言葉だとか、メロディだとかに実にしっくり来る道具であったという事に気が付いたんだよね。
ただダブでやってみよう! というよりは、これは自分に相応しい道具なんでしょうか?っていう事をしつこく追求する作業が大事だと思って。当時、そうやって探す感じだったなぁ、という事を思い出しました。
山口_例えばシングル用に曲を書く・・・という考え方がサカナクション5人からすると "よそ行き" で、馴染んでないんですよ。
だけど、"よそ行き" の服を合う服に着せ替えて自分達らしくするという作業がサカナクションな気がするんですよね。茂木さんの話を聞いて、似合わないものであっても、なんとかして自分達の似合う音楽にデコレーションするのがサカナクションな気がします。
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| バッハの旋律を夜に聴いたせいです。
サカナクション
(from Single『 バッハの旋律を夜に聴いたせいです。 』) |