菊間千乃さんが司法試験に合格するまで(2016/07/16 放送)
先週に引き続き、今週も弁護士の菊間千乃さんをお迎えしました。
「(弁護士に)なってよかったなぁと思いますね」「もちろん大変なんですけど、大変なこといっぱいあるんですけど、凄くお仕事としてやりがいありますよね。アナウンサーはアナウンサーでやりがいがもちろんありましたけど、もっと面白いです」という菊間さん。ロースクールに通い始めたきっかけは、シドニーとアテネ・オリンピックの取材でアスリートたちに接したことだったとか。
「ホントに凄いじゃないですか、アスリートの方って。横でずっと見てて、私は何やってるんだろ毎日、って思ったんですよ。私も人の人生を応援してるのはいいんだけども、人に対して凄い!凄い!って言って終わる人生はヤだなと思ったんです。自分の人生を自分で胸を張って私は頑張ったって思いながら生きていきたいって思ったので、もう1回やってみるかって思えたんですよね」
先週、アナウンサーとしての付加価値をつけるために司法試験を目指したとおっしゃっていましたが、ロースクールに通っている間に心境の変化があったようです。
「フジテレビにずっといると思ってたんですね。ただ、ロースクールに通っていくと、先生がやっている事件がニュースになったりすることがたくさんあると。すると守秘義務の範囲内ですけど、私たちに生の事件の話をいろいろしてくれて。法律で切った張ったの世界で生きてる先生たちを見てたら自分もやりたいと。単に司法試験受かっただけだったら法律が知識で終わりますけど、武器にして困ってる人とか助けて欲しいっていう人の力になれるっていう仕事が凄く魅力的に感じたんです」
菊間さんと言えば、98年に『めざましテレビ』の生放送中にマンションの5階から落下した大事故のことを覚えている方が多いかもしれません。「あれも、アナウンサーをやっていて自分にしかできない仕事があると思って一生懸命やってたのに、翌日、もうほかのアナウンサーがそこに出てるっていうのを見た時に、凄くなんかこうショックだったのはありましたね」
「でも、結局そうなんだよね、ってその後に思うんですけどね。そうじゃなかったら世の中回らないから、私にしかできない仕事って思ってること自体がおこがましかったな、っていうふうに思うんですけど。ただ、その時にもの凄いたくさんお手紙を頂いたんですよ。千羽鶴とかいっぱい頂いて、自分ではテレビを見てそう思ったけど、でも待っててくれる人がこんなにいるんだ、っていうのがやっぱり励みになりましたね」
「たしかに、なんで私がこんな目に…っていうので塞いでた時とかあって。で、その時に担当のお医者様が、5階から落ちて死ななかったことがまず奇跡、後遺症がゼロで治るって人は僕が診てきた患者さんでは貴女が初めて、って言われたんですね。奇跡だから1年か2年ギブスを巻くことぐらい大したことじゃないと。だから、そこで気持ちを変えて…」
2005年からロースクールに通い始めた菊間さんですが、やはり司法試験とアナウンサーとの両立は難しいということで、最終的に退職するという道を選びます。
「40の時に会社に残ってて、あの時やっぱり両立してたから、本気で取り組めなかったから無理だったのよね、って言い訳するような人生は絶対に歩みたくないと思って。一生懸命やって全人生かけて散ったんならそれはそれでいいや、っていうのが、自分の今まで生きてきた人生からすると私らしいんじゃないかなと思ったので、自分らしく生きるのはそっちの道かなと」
ちなみに、退職してからの菊間さんは1日16時間も勉強していたとか。「後がないからですよね。自ら崖に立っちゃったから」「本当に追い込まれたらできますよ。本当。だってそうだったから。そんなストレス解消とか言ってる場合じゃないんですよ。本当に人間追い込まれたらなんでもできる」
「で、私は追い込まないと逃げがあるじゃないですか。フジテレビ、アナウンサー…肩書いいし、お給料出るし。そういうのを全部とっぱらって何もないところに自分を追い詰めたので、後は追い詰めたところから自分でまた這い上がるしかない、っていうことですよね」
そして、菊間さんは2010年、2度めの挑戦で司法試験に合格。その時は法務省に貼りだされる合格者の発表を見に行ったそうで、「あの感動は本当に忘れないですね。泣くと思わなかったんですけど、涙が出てきて…」とおっしゃっていました。
菊間さんは弁護士という仕事について「人に対する説得力とかコミュニケーション能力とかが大事」だと思っているそう。
「でも、私はまだまだだなと思うし…。なので、私みたいにいろんな社会人経験してから弁護士になるっていいんじゃないかなと思ってるんです。法律にはこう書いてあるからそうなんですっていう答えは誰でも出せるとして、でもそうじゃない、その幅っていうか、そこをどれだけ理解できるかっていうことと、それを理解した上でどうやって相手を説得したり、満足いく結論に導いていくかっていうのは人間力だと思うんです」
最後に、菊間さんは挑戦についてこんなことを話してくれました。「挑戦は成長かな?成長すること。失敗しようが成功しようが挑戦するっていうことで、昨日の自分よりは今日の自分が成長してると思えるんです。で、毎日そうやって生きていきたいです。1ミリでもいいから昨日より今日、今日より明日。で、最後、挑戦…って言いながら死にたいんです、私(笑)」
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